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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
7章 分かるかな?
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052 夏まつりの前に。

いよいよ夏祭り。

田植えの時のは、お昼休みの出店だったし、時間制限あって忙しかった。

ちゃんとやるのは初めて、楽しんでね。楽しみたいな。


よろしくぅ。

 夏って、暑いんだって知ってた?

 僕はあの国では「夏はくさい」しか知らない。モワモワで発酵はっこうしたようなニオイが風が吹く度にウッとなる。この時期は鼻栓びせんが必要でヘンナカオばっかりだった。

 ぼくはね。臭い時期が来たら身体の周りを結界でおおってたから、何にも感じなかった。食べるものにほんのり臭いのが付いてるのがイヤだったなあだけ。ここに来るまでは夏は暑いって知らなかったよ。


 暑くなって最初の頃は「くさくないねえ」がみんなの会話の始めだったのが、「暑いねえ」に最近変わった。僕は、みんなと暑さを共有できるのは新鮮で楽しい。ここには一年中暑い建物があったり、暑さが変わらない建物があるけど、自然ってすごいなあって思う。どうだ!って言われたらへへ〜っとしちゃうよ。


 そうそう、この前簡単な車の操作ができないのが大量に出て焦っちゃった。しばらく様子を見てたけど、道具が使えないと作業が大変な畑の人がかわいそうで、夕食イベントにべ〜姉に強制記憶をやってもらったの、希望者だけ。

 結構痛いって商材棟の人から聞いていたらしく尻込みしてたんだけど、畑は、ゆ〜姉がにっこりしすると青い顔をしながら全員が希望。とっても必要だからね。叫んでいるのが面白いらしく、大盛り上がり。

 食材棟はね、カタバミちゃんとアサガオちゃんが「がんばって♪」って言ったら、次々と希望者が出てきた。さて、採石場はというと銀が「後で頭なでてあげるから♡」で、女の子全員が嬉々(きき)として希望。あれって思ってたら、き〜ちゃんは小鬼ちゃん達と鉄づくりで話し込んでた。で、採石場で希望する男の人はいなかった。頭を抑えながら「お前らは良いよなあ」と言われて自慢そうにしていたけど、逆だと思うなあ。


 何日か後に鉄づくりの釜ができたって教えてもらったので見に行く。

 いくつもある、本当に粗鋼の全部を作らせるらしい。それにしてもスゴイと思う。知識で分かっているけどその通りできるとか、上手く(料理で言うと美味しく)できるのは別のこと。本に書いていない工夫というのもある。知識をちゃんと手に入れたみたいに思えるし、何よりも質感! 実物ってスゴイ。小鬼種って素晴らしい人達って思う。

 き〜ちゃんが大量の不合格を放置したのは、これがやりたかったからっていうのは分かるんだけど、甘々(あまあま)な性格を直すためだけじゃなくて、製造に組み込むとは思っていなかったよ。大事な仕事になるので頑張って。


 釜が稼働して早々に泣きが出た。そう大変なの。考えなくても分かるはずだけど、石が溶ける温度なんだから、すごく暑い、危なくてキツイ仕事。

 やってるうちに製鉄を理解するなんて事は無いかな。長い時間を掛けて見つけたものをキツイしか言わない人達には無理。

 これ大事な工程になってるから、き〜ちゃんがきるまでかな。夏の暑さが涼しく感じるから良いんじゃ無いって、同僚の声がヒドい。

 でもね。こっちの人達も大変。最低5工程くらいのを1工程ずつしかできないから、息を合わせてっていう仲良しパワ〜でやるの。楽しそうだけど、集中しないといけないので大変。あんなこと言ってたけど、絶対失敗しないって、頑張りを無駄になんかするもんかって熱意と真剣度がすごい。

 頑張って、ようやく鉄ができた。質は悪いんだけど、あの二人を除くと、採石場で初めての成果になる。鉱石も製品なんだけど、2次、3次加工される他のグループのものは、1つだけで山盛り掘った石より高く売れたりする。そりゃまだまだだけど、これで作ったって胸を張れる。


 僕達は、ずっとモヤモヤして卑屈(ひくつ)になっていたあの人達に、作ることを味わわせたかった。(あわ)てたり、(あせ)ったりしてたのは、誰も取り残さないようにするため、あの人達は自分の心に気がついていないけど、やたら上を見たり、急な能力の向上をしようとしてたのはそういうことかなって。

 ちょっと危ないなあって心配だった。まずやって分かったかな。もう大丈夫だと思う。これで、お祭りを楽しめるねって。


 さっきできた鉄も行程をいくつか飛ばしている鉄のかなり手前のもの。お祭りの後は、き〜ちゃんに絞られるだろうけど、今度からは楽しめるって思う。がんばった人に僕からお酒をちょっとだけ出してあげた。賑やかなのは、いつも通りだけど晴れやかで、時々涙ぐむ人もいる。

 明日は全員で畑。収穫するものがいっぱいあるの。



 朝ごはんを食べたら、みんなでゾロゾロと畑に行く。お昼は広場なので、今日は屋台とかは無いんだけど、賑やかしは必要ということで、こども達に旗を持ってもらって、おじさん達は楽器を鳴らす。お姉さん達は昼の用意があるので、食材棟の何人かと居残り。お城は、お休み準備のために何人かが、お世話中。


「今日は、お祭りで食べる分と収穫しないといけないのがあるの。

 手分けして作業。(はた)の色を見て付いていってね」


 そう、こども達は案内係なの。作業の場所が多くて、間違うと終わらなくなっちゃう。大事な役目。王の人達とぐ〜ちゃんズは、監視兼盛り上げ係。お祭りが控えてウキウキしてるし脳筋度が高い人達だから、ブツリは要るの。監視の人からの特別選抜もあるからワクワクするよね。


 最初に植えた、麻とか全部刈り取り。種も必要だから丁寧(ていねい)に。服にって考えてたけど作るものいっぱいあるし、周りの街が栄えた方が良いから買うことにした。

 町作ったらド〜ンと人が増えるかと思ったんだけど、あんまり増えてない。あれ? 減ってる。つむいだりとか人手が要るものはムリなの。服をいっぱい作りたいから糸や生地は買うよ。野菜は採りすぎない、子供の指示に従って。

 これ、ゆ〜姉が決めたものなんだから、子供相手に文句言ってると「バシュッ」泥玉飛んでくるよ。隠れてもムリ、曲がる。中に入れた石で曲げてるらしいけど、石入りは痛いよ。

 土地を完全に掌握してるから、サボってるのは分かる。サボってると木に(つる)されて、よく(意識的?)忘れられるから畑でサボるのはいない。ゴーレム導入して、かなり楽になってる。動作させるには完全理解の半分くらいが必要だから、文字通り叩き込まれている。

 車の動作で不合格になった人は怖かっただろう、べ〜姉に頭に書き込まれて、コーチをやってもらって自主練もして、ちゃんとできるようになっていたよね。勇者事件の失敗は二度としないという決意がとっても強い。

 曲げて百発百中ってことはないから流れ弾で倒れるのもいるけど、当たりってことで倒したのは、荷車に乗せていく。一足先に行くって感じかな。ちょっと食材のトリが不足してるからめてもらおうと思って。


 温室の方に行った人達は楽しいと思う。ちょっとした旅行気分だしね。暑い夏よりさらに暑い場所があるって知ると楽しくなる。奥の温室は見るだけ。どの場所も見学ができるように作っているんだけど、他の場所を見ようとする人があまりいないから、ちょっとした交流目的。

 真ん中の温室は、ちょっと暑いくらい。これから拡大したいモノがいっぱい生育試験されている。あと、波が立つようにしてある池に砂浜。最初はここだけで他は土って変な感じだったけど、周りが育って中々いい感じになっている。お祭り後のお休みで、みんなと遊ぶのを楽しみにしているの。

 試験の場所を見せたのは、畑は植えとけば勝手に育つと思っている人が多いから。おいしいものを作るには、肥料入れたり、間引きや剪定(せんてい)が必要だし、袋を掛けたり手間が大変というのを見せたかった。ちょっとずつ知ってもらう予定で、これは全部の仕事場も考えていること。自分が一番大変と思ってしまうのは世界を狭くして、つまらないよって教えてあげるの。


 最後の温室は、今の時期は涼しい。ずっと春みたいな場所。弱いものはここで試験している。病気や虫が心配なら、入らないようにすればいいっていう温室。花もたくさんある。温室には、ゆ〜姉の加護が掛かるらしく生育がすごく良い。いろんな心配が余計かも知れない場所。蔵もそうだけど出入り毎に身体を洗わないでもすむ方法を研究中。特にここは気軽に来て欲しいところだしね。


 キノコ館はデリケートな場所なので、採取は畑の人でその仕上げ、切り取りや洗いをやってもらってる。

 管理棟の3階のカイコが可愛い。葉摘みをして、それをあげる作業。生育は上手くできたので一気に拡大して、絹の産地になる予定。ある国の秘匿ひとくだったんだけど、アノ国の上納リストに紛れ込ませて、届いたのを丸ごと頂いたもの。(きぬ)にするのは秘伝だし、生育はできないと思っているはず。糸は植物と動物からしか知らない者に、虫と絹を結びつけることはできないと思って上納に応じたんだろうけどね。

 ちなみに、虫が苦手な人は全く居ない。誰もがキレイな環境にいたわけじゃなかったし、怖がってたら病気をもらいかねない。毒虫は見つけたらソクが当たり前。当然、白くて可愛いカイコが嫌いって人は居ない(僕基準)。


 最初にまゆから糸を取った人はすごいなって、モゾモゾしているのを見ながら思ったよ。

春は泥遊びしてたけど、ずいぶんと立派になっちゃって

おっきくなったねえ。って何か違う。


毎週火曜日と木曜の22時にアップがんばってるよ。

また、見てね。


「悪のマ王がやってくる」も見てねぇ。金曜日。

どっちも落とさないようにガンバルね。

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