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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
5章 美味しいのできました。
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037 黄色いアレと茶色のアイツ。

まあ色んな人がいるのが分かっていて、

連れてきてるから今さらなんですが。

寝て起きてスッキリとは行かないようで・・・


今日もありがとう。

 過去の歴史、古今東西を熟知している僕が知識でショックを受けてる。衝撃の事実ってやつに。お姉さん達に眼が真っ赤とか言われてしまった。心もらしい。今朝は何というか、空気が重い。


 経験の少ない僕には食べ物しか思いつかないから、真夜中にもぞもぞ起きてきてパンを仕込んでいた。ちょっと明るくなった頃にお姉さん達が揃って来て「ウサギの目」って言われて、いっぱいナデナデされた。スープの用意とハムやチーズを薄く切ってもらう。

 早朝組の人が来始めた。目の前で卵を丸い型で焼いて、パンにハム、チーズに野菜、焼いた卵を乗せて提供していく。今日のは新メニュー、軽い感じの美味しいもの。

 朝にぴったり。お昼のは長いぱんに腸詰め入りの長い面白いお弁当。おいしいもの食べて元気になってって、心を込めて作ったよ。

 食べて少し元気になった気がする人達が仕事に向かっていく。

 その後のいっぱいの人が来たけど言葉少な。ちょっと元気の助けになったら良いなって思っていた。



 多分って思って、学校に行く。やっぱりこども達が不安顔で何か聞きたい雰囲気をしている。

「僕は信じるの。何度でも」

 願いを後押しする。強く言ったけど信じさせて、かなあ。

 ここにいるのは、僕と同じにあの国で存在を否定されていた人達。でもそれを当たり前にして楽しい人達もいたことはここに来て知ったし、いっぱい。おいしいを知って、仲間になってって連れてきたのは僕のワガママ。だから帰りたいって言う人は帰した方がって知識の僕が考えると、心は家族になりたいって言う。

 家族になってって願う。みんなのことは心の欠けた僕には分からないけど、家族になりたいは合ってると思う。


 知識は分かってる、家族と仲間。たまたまとか今はと言うのも仲間。

 仲間を信用するなという。聖貨がきらいだからと作ったアレがそう。便利で誤魔化しているだけ。他にもある、見えない壁。称号が見てくれているのもそう。

 浮き上がった悪意がひそんでいることはできない。そういう町。

 たくさんの妖精達が僕に微笑ほほえみかける。僕はそういう者。

 不安の色が薄くなって、こども達は教室に入る。今日こそ、おバカな仲間を何とかしなきゃって。


 僕は当てが外れた分の果実酒の仕込みに行く。寝かせておこうとしてた分を使う。今回ニセ者が買ってきたものは、どれも質が悪いというかゴミで使い道が無い。酒っぽいのは肥料かなあ。食器は粉々にして道路に使えば良いか。それにしても荷の良し悪しが分からないと思ったんだろうか。数さえあれば? いや、数も足りてない。ゴミ箱ごとというのもある。称号消しが主目的だったとしてもひどすぎる。どうして誤魔化ごまかせると思った? 着服したものは来る途中でどこかに隠してあるんだろう。そして向かう先はアノ国。バッグに付いている精霊石が望みを強めるからきっとそう。特に気にすることなく招き入れられ、僕らからかすめ取った大金や価値のある物は巻き上げられる。長期さぼっていたとはげしい仕置しおきもあるし、停滞していた仕事をやらされる、500人分のじゃないな。アレがちゃんと役割があったとは思えない。こども達を除くと半分もいかないだろうけど、真似事もムリじゃないかな。


 でも。と思う。あの10人が特別ってことはないの。アレの仲良し仲間がいっぱいいる。元勇者やモドキ達は仲間だったはずなのに、どうして助けないんだろうって思ったの。みんながすごくショックなのは、その仲間にも捨てられたってこと。あっさり見限るその冷たさに。その後に大騒ぎして笑っていられる怖さに。


 餞別せんべつを渡す準備はしてたけど、どんなでも仲間は助けるって信じていたの。称号に触れたもの達だしね。でも助けなかったと言うことで元勇者達の居場所がみんなは分からなくなっただろうけど、僕はやっぱりになる。怖い。

 みんなには何度も止められたけど、帰郷の希望を聞かないといけない。拉致らちされたと思っているから、また暴発するし、ここではアイツになる。みんなは冗談じょうだんだと思っているけど本気。


 蔵の仕込みが終わって、ゴミ処理の目処めどがついて戻ってくると建物の所が騒がしい。え〜またあ。って思いながら行くと、南方に行ったお買い物隊が帰って来たそうだ。

 おおっ、なんか行きの倍になってる馬車の数に人の数も。おおう。何となく見覚えのある人に近づく。


「おうっ。帰って来たぜ!! 言ってたヤツとあと新しい仲間だ」

 アレ! アレなのお! たーっと行って荷物を拝見。「やったあ〜!」僕はとっても嬉しくて、お買い物隊の人達とハイタッチ。なんかお姉さん達とか待ち構えてる? まあいいや。パシッパシッ・・・


 まあ、荷物はさておき、ご一行様ごあんな〜い。

 ん。キョロキョロ、おどおどしてるね。まずはお茶と軽食をどうぞ。

 お茶が終わったら、お風呂にごあんな〜い。話はその後でね。


 最近開発のお風呂上がりに美味しくてゴロゴロしないのと、冷たいお菓子。暖かいお茶は、その後ね。

 まずは、うさ耳さんと新しい人。

 親戚が居るかもって、名乗り出た通りに無事見つけて、例によって空気になっちゃってた人や奴隷全員だそうだ。

 徐々に外に出して、後は一気にと言うのは一緒。商品を大量に買い付けて大商人って思われてるから、奴隷を買い占めても変に思われなかったらしい。道々、ここの事は話してるから分かってるって。


 じいっと見る。周りにはお買い物隊と来た人達。そしてお姉さん達や何か集まって待ち構えてる人達。うんって、うなずく。

「ごめんね。もう一度お風呂。いてきて。あと服。またあとで」

 それぞれ一人二人がついて。がしっと手を握られて連れて行かれる。


 さっきのお風呂は緊張をほぐす為でもある。今してるのが皮むきで徹底的に洗う。鏡は無いから自分は見られないけど、他の人を見てきっと驚く。最初のとこ空いてるから、この間に用意してくれてる。そしてマッサージ。たぶん、そのままお休みだから、夕食のときかな。


 僕は、うきうきと荷を見に行く。

 ぜひ見つけてと言った黄色い長い実を付けるコレ。木に見えるくらい大きくなる草。あったらお願いしていたトゲトゲもある。こんなのもこんなのまで。果実もある、青いのを買ってって言っておいたけど。もう黄色になってる。食べ頃!

 あと、この茶色いの。実はお試しでちょっと。あとは増やすのどんどん。すぐやらなくては。馬に合図して馬車を少し進ませる。他の2つを列に並ばせ、先頭を進ませれば後を着いてくる。馬車歴が長い子達だから、分かっている。向かう先は畑。


 着いて早々に、ゆ〜姉を見つけられた。手を振って呼ぶ。

「帰って来たの、お買い物隊。でね、見てコレ。いっぱいなの」

「よかったねえ。見るのね、はいはい」

 ん〜。みっつね、分けると。路地植え出来るのは畑を足す?


「管理しやすいように建てる」

 もにゅもにゅ、もにょもにょとできあがりを考えて、頭の中で組み上がる。おねが〜いっ。

 ぱああって、明るく光って、それが収まると大きいのが3つ建っていた。

 ゆ〜姉は、ほええ〜っと。周りから、うわあ、すげ〜、ぎゃああとか聞こえる。

 ううっ。仕事増やしてゴメンなさい。


 道具設置して、精霊石をポンポンっと。

「奥がジメジメで暑い。次のが暑いだけ。手前が普通の。

 土とか調整しながら植えるの」

 ゆ〜姉が全員を呼んで、アレコレ言って、植えてくれる。僕は言われる通りに調整を繰り返していく。

 合間に、東屋作ったり、池とか小川とか、石畳の道をぐるぐると。

「え〜と。何してるのぉ」

「みんなが見たことないものになるから、見て楽しむ場所になるかなあって。

 畑の方もね。どんどんキレイにしていこうね」


 ふぅ〜んって分かったような分からないような、感じなんだけど。えらい人は暑い所のものをワザワザ育てるのは結構いて、見せびらかすためにこんな風に道を作っている。大きいの作るのは難しいから道を作るとぎゅうぎゅうになるんだけど、この温室はすごく大きいから、広場って感じなの。今はね。

 すっごく大きくなるのとか、ワサワサってするのあるから、楽しいと思う。・・・今はただの広っぱだけど、花も全然違うから、きっとおおってなる。楽しみ。でも、寒いときに暖まりに来る人がほとんどのような気がするけど。ここは、いつも夏になるからあっついよ。ムシムシだし。真ん中はムシムシないから、池の周りを砂浜にしてしておこう。手前のは、キレイな花壇かだんって感じで、お城の前みたいにしているの。

 種はいっぱいだからとりあえず植えて育ってから植え替えかなあ。


 夕方まで掛かって、ようやく終わった。じゃあってみんなで帰る。温室が遠くから見ても大きい。キラッとしててなかなか良いと思う。大きく作ったはずの蔵が小さい。

 何にも無い原っぱが家いっぱいになってるところを想像して、楽しくなる。


「蔵の所、堀にしたらどうかなあ」

 えっ、え〜とってしてるけど、水があるの風景は綺麗だよ。想像してみてねって言っておいた。横の移動に船を使うのは最初に考えてた。蔵と船はぴったりでキレイじゃないかなあって。

ようやく届いた。南方植物。

ほとんど種子と苗なので、育ってからだけど。

実で買うと、ほとんどのが運んでる間に腐っちゃうからねぇ。

美味しいの楽しみ。


来週の火曜日22時に。またね。

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