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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
5章 美味しいのできました。
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035 おいしいのが増える。

色んなのあった方が楽しい。

美味しいはうれしい。

ラクは助かる。


ありがとう。

 町をぐるっと回ったら夕方になっていたよ。お姉さん達は夕食の支度。

 明日の朝は乾メンにするので、パン焼き時間分ゆっくり寝られると喜んでもらえた。こういう実体験は商品アピールになること。

 色々試すため夕食もメン。続けてパン無しは難しいので、パンも用意する。とはいえ、パンもお試し中ということもあり、いくつかお試しを混ぜてあり楽しめるの。


 パンの生地は、水と塩が主で、パリパリ感・香ばしさを残したもの。さらに乳や砂糖、脂を追加した柔らかいものの2種類で作ってみた。今まで、意識してなかったくせに美味しくなると、こだわり志向のめんどくさいのが増えたため、逆方向ので作ったってこと。僕はどっちも美味しいので喜んで作る。最近のお気に入りは、ようやく開発したクリームを柔らかいパンに塗って、果実を乗せたパン。おやつ・食事討論をしてたのがいたなあ。

 日持ちするのは、パリパリの方だけど。前のカチカチには敵わない。道を徐々に良くしているので、隣町なら大丈夫。カチカチも美味しくなったから、好んで食べる人もまだまだいる。遠出用に混ぜ粉セットも作った。生地こねまでやって、パン屋で焼いてもらう感じ。これも売れる?


 主食を色々にしていくとなると、不満は予想されること。今までひもじかったのが改善されるのだから良いだろうというのとは多分違う。多くの食べ物の本にはパンへの熱い思いが書かれていた。

 僕の食事は生きるためではなくて純粋な欲だから分からないけど知識で分かったふりはできる。他においしいものを色々と見せれば、そのうち気になんなくなるかな〜。こだわる人がいるから、逃げ道?の用意もするの。

 今までのパンは、せいぜいチーズを乗せて食べるだけ。中粘度の小麦粉メンでは可能性を見せた。今晩のメンは、同じ小麦だけど全く違うもの。多様性がすごい。おおいに驚くが良いよ。


 夕食に用意したのは3種類。採れたてトマトベースの野菜ゴロゴロ+ハム、同じくトマトベースの細かい肉いっぱい、オイルベースの野菜ゴロゴロ+ハム。トマトの真っ赤なのが嫌な人もいるかもって、トマト無しも用意してみた。

 元アレがおかわりが出来ない代わりって、バカ辛くするので、お姉さん達が給仕に付く。元アレは何でも遊びにするので困る。

 何度も言ってるけど、これはタダじゃ無い、値段を見るようにとイチイチ言う。計算が未だに出来ないので、お酒は無し。ガ〜ンじゃないよ、もう。

 笑っているほとんどが対象で残高マイナスなんだけど。変装しても認証具で分かるから無駄だって。顔の判別が怪しい僕が作ったんだもの。顔認証にするわけが無いし、顔認証は難しいの。

 最近、家メシがチラホラなので、食堂に売店もある、安い。お酒も置いてあるから提供不可になっていても買えば良い。ま、そういうのは残高マイナスだからムリなんだけど。


 おじさんがお酒を造るときに言ってた、果物や穀物をかんで壺に入れてお酒にするっていう、口噛くちかみみ酒をやったらしいんだけど、ちゃんと毎日歯磨きしてない人達だから全部腐ったらしい。おじさん達もそれで失敗してるって言ってたから、ちゃんと聞いてなかったんだろう。マジメに働いて買うという方に考えないのかなあ。

 まあでも、有用な菌か、そうじゃないかの違いなんだから変化があったってことは、それを生かせば(雑菌が入らないようにすれば)成功するんだけど、そこであきらめちゃうんだよね。

 失敗の先に成功があるってことは多いから、逆にバツ(勉強)としてやらせて、お酒を造るのも面白いかなあ。体を清めてね。ずっとカミカミさせて、頭がズキ〜ンとなるのがバツ。

 東の方では水の麦=コメをカミカミしてズキ〜ンとするところをコメカミって言うのはここから、昔は柔らかく炊けなかったせいだし、冷たいものを一気に食べてもなる。

 ・・と思ったけど、お酒が成功するとカミカミしてまた腐らせる気がする。「何で(成功した)」を知解しないと成功は相変わらず運だのみ。在庫を荒らされると困るから、ナシで。


 料理は好評だった。全種類の上にパンも食べて、おなかパーンがちらほら。僕は手招きされたところにお邪魔してちょっとずつ、いただく。すぐお腹いっぱいになるので、味見程度の量で大丈夫。ん。どれも美味しかった。

 元アレが賑やか。いると楽しいんで良いんだけど。おバカ発言が時々出る度にヒヤヒヤする。

 ソースは良かったので、これも商材にできる。売るときメンだけというのは、やりにくいから良いし、お姉さん達も料理が楽になる助けになると思う。家メシ派にも良いしね。


 そう言えばこの前、お姉さん達が楽でズルいというのが何人か居たので、もれなく1日体験させてあげたら何度も泣き入っていたって。朝はすごく早いし、パンにしても種類が多い。食事の仕込みも大変。お弁当組もいる。その上、とにかく量が多い。片付けの後、食材棟で指導。お昼ご飯の用意。片付け。お城で指導。牛を何頭か潰す。夕食。片付け。明日の準備までが、その日ので。

 牛の血が飛んだときに全員が気絶したそうだ。何度も青や白くなったり泣いたりで、面白かったとお姉さん達が話してくれた。これが不満分子達に伝わって不満を聞かなくなった。「この前はこれをノラちゃんが一人でやってたのよ」と言った言葉だけは全く伝わることは無かったけど。

 経験は必要なこと。お姉さんはわざと最初の頃のように、全部手作業でやったけど、今は道具で出来る事が多いから、実際はちゃんといっぱい余裕がある。じゃないと僕1人でとか無理だって。あとパンは、いつもはそんなに種類作ってない。気付こうよ、ね。


 道具はとても便利なんだけど理解していないと動かせない。

 勉強するのは仕事の理解もあるけど、なにより道具のため。単純な作業を道具にやらせて、ラクしようよってこと。色々の何でが分からないのが多いけど、道具の意味が分かれば、少しは意欲が向上するんじゃないかと日々失望がやるせないおじさん達に頼まれた。


「ということで、僕の理解が一番の、ぐ〜ちゃんにお手伝いをお願いしました」

 まあ、皆さんお喜びで。いまやぐ〜ちゃんズというアイドルグループになってるし。人形を売るときに販促に良いかなあって思ったのが最初。

 作詞作曲ぼく、編曲べ〜姉、振付おじいさん、衣装お姉さん達という豪華スタッフで始めて見たら、超盛り上がっちゃってね。弟子〜ズは残って製作中。

 いや、今日は歌わないからね。


「この腕にカタバミちゃんの似顔絵を描いて、持って踊るというのを付けます」

 もにゃってやって、先頭の人の腕にペタッと付ける。


「はい、お願い」

 道具をぐ〜ちゃんが触る。んっと念じる。触られたのがホオを赤くして喜んでる。


「手に込められし我が願いを今、発現せよ!」

 びしって、ぐ〜ちゃんがポーズを決めながら言うと、その人の手がぐぐっと動いて似顔絵を描いて、書き終わったら踊り出した。


「じゃ」って、石版を渡すと、ぐ〜ちゃんはささっと似顔絵+衣装の絵を描く。

 動かしてみてって、全員にやってもらったけど、ぴくりとも動かなかった。


「こういうことなの。命令以上のことができないと動作しない。

 だから勉強してるの」

 じゃあねぇ。がんばってぇと教室を出る。これを全部でやったけど。最後の方の部屋は分かったか怪しかった。


 その後、食堂の調理室で約束のブツを献上、なんだけど。やっぱりお姉さん達が嗅ぎつけて人数分作った。食べながら、やはりクリームがあると一段上になるなあと考えていた。


「やる気になってくれるといいねっ」「おいしいわあ」「このカラメルっていうのが」「ん〜♡」


 最初は、おじさんを除くと動かせる人は居なかったんだけど、称号持ちがしばらくして大丈夫になる。そして称号持ち直下の人達からパラパラ出来るのが出てきた。本気でやってるからだと思う。ぼんやりしているのにはきざしすらないし。

 僕の甘味のために大いに頑張って。ウマウマって思った。

ラクをするために、ガンバルっていうのをなかなか理解してくれない。

正反対だとか、矛盾してるとかいうの。

同じことを何回も繰り返すのって、つまんないって言ってるじゃない。

それにさ。「同じこと」が、いつも同じに出来るなんてことはないんだよ。


次は火曜日の22時に、またね。

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