表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
4章 あれもこれも。
30/849

030 カタバミちゃんとアサガオちゃん。

ぼくはとっても浮かれている。

文句を言いながらも1000人分の食事を新メニューで作ってしまうくらいには。

頭数あたまかずで言えば、最大はお城で圧倒的。思わずヨダレが出てしまうほど。


今日もありがとう。

 王たちや聖女さまのお話を聞いてたけど、さっぱり分からなかった影が動く。

「お話長〜い」「終わった?」「「「「ねえねえ、聞いて」」」」

 うん、いたのは知ってる。食堂の真ん中で話していたし、待ってるの()きちゃって、走り回ってるのもいたね。まあ、子供達がお姉さんに腸詰めを自慢(じまん)したいってことだよね。ちゃんと待ってるの偉いなあ。


「これからカタバミちゃんとアサガオちゃんの作るもの。

 みんなで作ったの。はい、説明」

 プレゼンうまく出来るかなあ。子供たち、鼻高々だよ。良いね〜。

 お姉さん達大好きだから、こうなるのは予想してたし、して欲しいと思って、丁寧(ていねい)に「どうやる」「誰が」「何のために」「注意するとこ」「使い方」から、食べた人達の声を聞くところまでパート分けして説明したから、忘れること無く、順番に説明する。離れていた子にそろそろって呼びに行ったりして微笑(ほほえ)ましい。

 話しが終わって。がんばったねって、こっそり拍手した。


 お姉さん達は、カタバミちゃんとアサガオちゃんの肩をトンと叩く。

「「うん。分かった。ありがとう」」ふたりは、にっこりと笑う。

 僕達は、いっぱい拍手する。次々と子供達が、ふたりに抱きついて、ワンワン泣き出した。


 子供達は、あの国で毎日、()られたり殴られたりだった、(ひど)い言葉もいっぱい。足りなくて、お腹が()いたときは(えら)そうな奴らから、かっぱらってみんなで笑った。それなりに毎日に楽しいことはあった。

 ある日、叫び声を聞いた、(しば)られて(まと)にされていた。棒で殴られていた。(はだか)(つる)されていた。叩かれて、蹴られて、笑われて、いつもいつも。それを見てるだけ、怖くて怖くて。あと一歩が踏み出せない。

 いつの間にかあの城壁の外に出て、いっぱい歩いた。着いたところはキレイで、ご飯はいっぱい食べられるようになったし、学んだり、仕事をした。

 他の子から「あの兄弟がいる」って聞いた。

 すっかり絶望して何も見えていない。みんなが自由になって、あの時なかった勇気や楽しい気持ち、ごめんねを伝えようと、考えたことは全部やることにした。いつも誰かがいて体温を伝える。一月(ひとつき)くらいして眼に生気が戻ったときは嬉しかった。二月(ふたつき)して表情が出せるようになった。いっぱい話しかけるけど、まだ心に届いていないことが分かってしまう。

 ノラネコが「最後の仕上げ」って、お姉さん達が外に連れて行く。残されて落ち着かなくって頼まれた腸詰めを一生懸命やった。応援するように心を込めた。

 無事に帰って来たときに心が戻った気がして、僕達も頑張ったことを伝えたかった。そうして微笑んだ、あの子達に心が戻ってきたのを確信して、ようやくあの時の一歩いっぽが踏み出せたって、とてもとても嬉しかった。


 こども達の気持ちは知っている。あの子達は怖さで何もしなかったことを悔いている。とても優しい。僕には無い心。この町はお世話になった人が報われないから逃げ出して、好きなように物作りをして暮らすという、ただそれだけのものだった。

 あの兄弟を見つけて、そこに命を守りたいが加わった。20人から出来る限りにした時は、困った顔をしたおじさん達だったけど、嬉しさを隠していたのは気がついていた。大変だけど体を持ち出すことはできる。でも心は難しい。僕もいまだに心の一部はあの国にあるしね。

 あの兄弟達の心を救うのは、心の欠けた僕では無理。それをあのこども達は精一杯の甘さで、心を引き上げてくれた、心の奥に光を見つけたとき、嬉しかった。それでも僕とお姉さん達では、引き出せるまでは足りなくて、救ったのはこども達。僕が心を持つきっかけの兄弟はもう大丈夫。

「ようやく助け出せた」とつぶやくと、お姉さんがナデナデしてくれて、き〜ちゃんとぐ〜ちゃんが手を握ってくれて「本当に良かった〜良かったよ〜」って、わ〜んと泣いてしまった。


 この町に来てからの僕は何か変だ。泣いてばかりな気がする。

 僕をナデナデして一人二人といなくなって、こども達が教師役のおじさんに引っ張られていくと、お姉さん達と兄弟だけになった。


「じゃあ、お仕事、ね」

 ずっと、よそよそしかったけど、お互い泣きまくって少し近くなった気がする。

 食堂を出て、左すぐの建物を指さして「ここが食材棟、君たちの」って言うと、ええって驚いてる。うん、何も無いからねえ。大丈夫!すぐいっぱいになるよ。


 それからテクテクと歩いて行きながら、狩りのときの話を楽しそうにしてくれる。お姉さん達の話がすごくて、ひ〜ってなるけど控えめに言ってくれているんだろう。あのたくさんの動物たちを見ているから分かる。

 あの広い地域に生き物がいなくなっている気がするなあ。増やして、少し返そうと思った。


 お城に着いて、ほ〜って見上げている。がんばってステキなお城にしたから嬉しくなるなあ。童話の挿絵(さしえ)みたいにしているの、お花いっぱい。でも、あのたくさんの塔ってサイロだし、ステキな建物とかは厚みがない。ステキなのは牛舎の方。あ〜もう牛さんだけじゃないかぁ。お城に夢持ってる人にはゴメンネなんだけど、住みにくいからねえ、ぼくの好きなお城って。見栄(みば)えだけ。絵本ってそういうものでしょ。


 ここは、入ってからが良いの。むか〜しのある国の一番(にぎ)やかだった頃をモチーフにしてるの。入ってすぐがアーケードになっていて左右が牛舎(羊とか豚もいるけど)で、石畳。見かけだけ、お店風。

 素敵なお洋服屋さんを入ると、可愛い牛さんがいっぱい。働く人もいっぱい。忙しそう。


「ここのお城もふたりの担当なの。お仕事いっぱいあるの。でね。

 1つずつ、少しずつ覚えてもらう。

 まだみんな、マダマダだけど大丈夫になるとゴーレムが使えるようになる。

 今は、僕が動かしてるけど、大変。早く代わって欲しいの。

 みんないっしょ。お勉強中ってこと。

 ゆっくりゆっくりで良いから、楽しむこと。でもね。名前付けちゃダメ。

 辛くなる。お肉だから・・・ね」


 じゃあって、お姉さん達が引っ張って牛のところに連れていく。

 あったか〜いとか、かた〜いとか言ってる。さっそく搾乳(さくにゅう)をやらせるらしく、着替えさせたけど。リボンとかフリルは必要なの? 羽とか付いてるけど・・・。

 きゃあきゃあと楽しそうで何より。でも、後ろのお姉さんが髪のリボン増やしてるけど・・・


 向こうの方で、()きてサボっているのがいる。

 お姉さんが、カタバミちゃんにコソコソして、肩をぽんっと叩いて送り出すとトコトコして「ちゃんとやらなきゃ。めっ」って叱ってる。お兄さん達がぽわっとなって「は、はいっ」って仕事に戻っていく。おおすごい。

 今度は、アサガオちゃんが腰を叩いてるお姉さんのところに行って、何か話してから腰に手を当ててる。何か驚いてニコッとしてから、ナデナデされている。あの国では見えなかった聖なる()やしの力。僕やこども達が執着するほど()きつけられたもの。

 その後もお姉さん達からの勉強は続いている。今日は分かって無くても良いの。何が大事なのかが何となくでも、残れば良いこと。

 その後は(ひつじ)の毛刈りにお邪魔(じゃま)する。最初、ザクッとしそうだったのを止めさせて、同じ風にお姉さんにやられて怖かったので分かったみたい。


 このおべんきょうの時間に左右にドカン、ポコと建物を建てる。

 左が羊くらいの中型動物館でちょっとワイルド、(ひつじ)鹿(しか)用。その奥に水辺のある大きい水牛館で帆船乗り場風。右は小さい家がデフォルメして建てたカラフルで可愛い小動物館、(うさぎ)とか。その奥にお屋敷風のお城で、屠畜館(とちくかん)。ここにドナドナされて行くから、少しでも可愛くしたの。


 ここのアーケードの奥にちゃんと休憩するところがあってね、簡単な料理なら作れるようにしてある。広々とした原っぱに牛さん達が草を()んでいるのが見える。ぽや〜んとしていると休憩時間らしく、ぞろぞろと集まってきている。最近はみんながオシャレになった。商材作成の練習で大量の服、おだやかな毎日になったというのもあるけど、どこも花いっぱいで建物は可愛いかったりカッコイイ。何より、こびり付いていた汚れをむいたら、美男美女。汚くしてると怒られて、風呂に連れて行かれ、服を変えられデコられる。

 これがお約束みたいになっているの。抵抗したおじさんにドレスを着せて、リボンまみれにしたら結構似合っていて連れ回された。次の生贄(いけにえ)を探している人がチラホラ。


 これは僕が描いた町の姿の(はる)か上。隣町には空気な人はいなかったけど、遠くに行った人達がもうじき帰って来る。来た人が希望を感じられる町になったかな。

 僕はうれしい想像をしていたよ。

ここって牧羊犬とかいないの。脱走するのとか、勝手に動くのとかいない。

もう掌握とかじゃなく信者って感じする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ