028 予想は飛び越えるもの。
急に食事係に。
とにかく量が多い。食べ過ぎじゃない。
とかいいながら新メニューにしたくなるし。
今日もありがとう。
最初に言っておくと「すっごく眠い!」気分的には、寝たと思ったら起こされたって感じ。もう量がね。多いの。人数からは、あり得ない量。特に大して働いていない勇者もどき達がっ。
・・と言いたくなる早朝というか夜。毎食、パン焼かないといけないしで外真っ暗。朝早い人いるからねえ。と、ぶつぶつと言ってやっているものの、食べ物に手抜きは有り得ないので、丁寧に、愛情はしっかり込める。
大方の予想をうらぎり、今朝はメン。試食してから作っていなかったことに気がついたのが寝る前。消費しておかないと次のが来てしまうとあせったので、パン焼きよりさらに早い時間になった次第。料理にサプライズを求めたい年頃という困ったマッチポンプ。
今日は、野菜たっぷり、肉ちょっぴりのスープにめんを入れるという朝から新メニュー度抜群の出来!と、いそいそと早朝用の準備をする。しばらくして、ぞろぞろと朝の早い畑の人達がやってくる。
「今日は、また新メニューなの。最初に器にメンを入れて、パラパラのお肉。
この透明なスープ掛けてね。
メン入れすぎるとスープ入らなくなるから、いっぱい食べたいときは、また並ぶの。
ここに調味料あるので、ちょっとずつ試してね。
食べ物で遊ぶのはダメ。
お弁当は小麦パンに昨日のを焼いてから挟むの。
辛いのとか最初に入れると汚れない。あとね、野菜入れた方が美味しいの。
冷めない器用意したので、スープとか飲み物入れていってね」
がんばって、最初の人に言えば次々に言ってくれるから、あとは補充だけ。あ〜あ、そんなに喜んで焼いているから、並ばれちゃった・・・今朝の焼き係にスープ盛り係。僕も並ぼうっと。
腸詰めは大量に作った、内臓を使う習慣が無いし、肉の取り方がもったいない、いいからって全部残してもらって、そこから脂を取ったけど、聞いたことないって。もったいないなあ。
あそこは豊かすぎだから、無駄に使ってゴミが大量に出る。肉を切り出すときもかなり端材が出るから、そういうのを腸詰めに使っている。どれも今まで捨ててた。とにかくいっぱいあって、冷たい倉庫、あと燻製中。
今朝のは、絞った牛の腸を切って揚げておいたもの。今回は商材になるかのテストもある。使うの簡単だし、美味しいって声しかないから大丈夫。お世辞とかいえる人はいないから評価は本物。
食べ終わったら、朝食本番でどっと来るからメンを切り出す。多めにしたけど、早朝の食べっぷりだと残らなそう。今、町には400人くらいで、1000食も用意してるんだけど・・・
静かになったので、本番用のを次々持っていく。台に置くのとか無理なので、全部台車乗せたまま調理して、そのまま運ぶ。各テーブルで調理とか良いなあって、いっぱい作っておいて良かった。
中身が入ってると腸詰めや野菜でも無理、ほんのちょっぴりも持ち上がらない、えへん。じゃない?
空になったのをガラガラ持ってきて、洗わない。妖精さんがいつの間にかキレイにしてくれる。ありがとう、愛してるっ!
ひたすら、メンを切り出していると少しざわついている。新しいメニューなので、ちゃんと待ってくれたようだ。エライ!というよりも勝手にやったり、調味料かけすぎたりして食材をダメにすると色んな人から酷く怒られる。
料理はしても食べられないっていうのはよく聞いた。思い出して泣く人もいる。
また、並んでいる人達に食べ方の説明をする。お調子者が盛り係になって、お腹を鳴らしながら給仕をしている。懲りないなあ。まあ、説明係がいるのは助かるけど。
メンを茹でたり食材の補給を繰り返す。
朝食ループが終わり、片付けて学校の様子を見に行く。
無事に全員が名前を書けるようになった。簡単と思われることだけど、名前が非常に長い。始まりの名前部分で、30字くらいが普通で、両親の名前や生まれた土地、育った土地に由来が分からないものという感じに覚えられる限り足されていく。仕事や偉くなると長い役名が足されるから、その点だけ貴族は覚えられて偉いと思う。まあ、ぼくが覚えているはべ〜姉だけ。ぐ〜ちゃんは称号だし。
僕はさておき、文字は名前を書けるようにというのは、たいてい全部の文字が入っている。書けると他の人の名前が読めるから、そこでまず感動する。
で、次の段階になると、名前の最初の部分とか候補から作るの、自分の名前。最近の若者は呼び名というのがあるのでそれにちょっと足してかっこよく、あるいは可愛くしたのを名前として登録する。ノリで名前を決めると一生後悔するけどいいの、その変な名前で。
名前が長すぎて、オイとかお前とかしか呼ばないから、集団をまとめるときに苦労している。じゃあ作ろうというのが、まず学校でやる最初のこと。これがあると住民の記録が出来るようになる。これは世界初だと思う。記録は称号や役名で記録されて来たから、僕ならたぶん「空気な巫女」で、あの国に記録が残る。たとえば一般市民だと記憶のみとなり、ここの人達だとそれも無いってことになってる。アノ国が居なくても気付かないって言うのは、こういうこと。誰の意識は無いし記録もないから人数も不明。何かがいない、しか分からない。
(と言いながら、名前の登録は登録する人がまだいないので仮、ゴメンネ。後悔しなくて良かったねってことで)
それも大丈夫になると各グループの仕事の流れをだいたい覚えるのと足し算と引き算。その次はいよいよ野菜は水と日光に栄養が必要ですと、かけ算割り算になっていく。子供達は今はこの辺。
大人達は、落ち着いて座っていることからだから、進みが遅い。バカ者たちは指導で顔が丸くなっていく。個々の差が開く一方だけど、取り残しは勇者の元になるし、理解が出来ていないとゴーレムが暴走する。教える方は見捨てないと必死になる。僕は甘味で労るくらいかなあ。
まあ、いまは大変。学ぶ習慣が無かったしね。能力は高いんだから、そのうち普通になるはず。ガンバ。
午後は実地。今までのように自由にはさせない。学んで即実践と強制ローテーションで適性を無理矢理見つけることになっている。王が誕生したし、遊んでいるとすぐ分かる。
予想通りで大変だなあと学校を後にして、そろそろお迎えの頃。
森方面に歩いていくと、遠くから賑やかな動物の声が聞こえてくる。
何か線じゃなくて、面。塊が近づいてくる。うわっと思って走って行くとすごい動物の数!
お帰りなさ〜い。お疲れ様〜って,お姉さんを見つけて走って行く。動物たちの嬉しそうな声がとても賑やか。繋がれてるのはいないし、すごい掌握っぷり。
「食堂任せちゃって、ごめんねえ。いっぱい連れてきたから、これからはお肉の心配ないわよぉ」
「美味しそうなの、片っ端から採ってきたよぉ」「可愛い子ばかりでしょう」
僕が、あの子達を探していると気が付くと、あそこって指してくれる。
それぞれ大きな水牛に乗って楽しそうで安心した。
あっちねえっていうと、動物たちが向きを変えて城に向かう。うさぎや鹿までいる。トリは食堂の裏。長い列が続く。後で増築しなきゃ。食堂裏の広場もいっぱいになるから、広げて呼び名変えなきゃと思った。
特に手間取ることも無く。それぞれに納まった。お姉さん達は「まずお風呂」って子供達を連れて行った。
僕はてててって食堂に戻って、お昼の用意をする。また子供達が散って行ったから、いっぱいの予感がする。パンは足りないから、寝かせていた夕食分のを持ってきてメンにしていく。
ガラガラと押していって並べ終わった頃に、ほかほかのお姉さん達に腹ペコ集団が集まってくる。
メンは朝のだけどスープは別、メンにタレを掛けて、半茹で卵をのせて茹でた野菜をぽんと乗せる。当然、腸詰めがあるので、子供達が一生懸命お姉さんに説明して、鼻を3割増しにしている。
「朝とは、大体同じなのに違うもんになるもんだ」という声。可能性を感じてもらいたい。
今回は、お姉さん達は食べる側。お疲れ様だから、ゆっくりしてもらわないとね。
ご飯が終わっても席を立つ人はいない。まあ、聞いてるだろうし。真ん中が不自然に空いている。
夕食時間よりも多いし、この町にいる全員が揃っているんじゃないだろうか。
「分かっているようなので・・・ お姉さん達と二人は前に出てね」
おずおずとしながらも、行く前のビクビクした感じは消えているし、顔はちゃんと前を向いている。これは大丈夫と思って、お姉さん二人にそれぞれぎゅっとしてもらう。ぽわっと明るくなる。ねずみ色の髪がうす黄色とうすピンクに変わった。髪の色が変わったのは初めてで、文献でも見たことは無いなあ。
「「「「うおおおおおおお!!!!!」」」」
「すごいっ!」「初めて見た!」「ステキッ〜〜!」「おめでとう!」「やった〜!」
ものすごい歓声になった。じっと見ると確かに称号が見える。
みんな大興奮で、落ち着くのに、だいぶ掛かった。
「髪が黄色のキミは、聖カタバミで、ピンクのキミは、聖アサガオ。
声に出して言ってみて」
お姉さんに促されて「私、聖カタバミ」「わたしは聖アサガオ」と顔を赤く、でもハッキリと言うと、今度は明るくパーッと明るくなる。
誕生と言うより「えっ男の子だったの?」というのに、驚いたみたい。お姉さん達に大きなリボンつけられて、フリフリのスカート姿だし・・・。
似た格好だし、僕は誰も間違わないのになんでだ。そういえばお風呂も右の方に入ってたし。
お姉さん達は色で、この子達は花かぁ。
まあいいや。狙い通りだしね。これで僕の美味しい計画が進むってニヤリとする。
「大丈夫、可愛いわよぉ」「ぷにぷにさせてぇ」「ナデナデしたい〜」って、撫で繰り回される。
これからもっと楽しくなるなあって、ナデナデされながら思っていた。
よかった、ほんとうに。心を取り戻すの無理だって思ってたから。
みんなありがとう。
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