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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
3章 美味しいをはじめました。
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024 王がいっぱい。

みんなとってもイベントが好き。僕も。

お酒も来たしね。盛り上がってるし、料理頑張っちゃうよ。


おお、もう1箇所あるって、気がついちゃった? さすが!


ぺこり。

 お昼は、水なのか一段と美味しくなった。でもなぜか今日は少食の人が多い。勇者騒動の無駄な作業が無くなった効果かもしれないなあ。今日の話題は勇者の出立(しゅったつ)で、あちらこちらから笑いが起きている。立ち会った人は少ないから、わーっと取り囲んで盛り上がっている。僕は思い出し笑いをしないようにほっぺに力を入れてこらえていると。うちのテーブルから女の子達にカード王が引っ張られていった。こんな風にモテモテなのに、弟子になりたいのはムキムキだけって不思議なんだけど。


 今回ので効果が無いと、ゲームのようにどこかに押しつけないと町が崩壊する。勇者の称号が取れますようにって、新しい王たちを見ながら願う。


 ひとしきり勇者で盛り上がった後、新しい王だとちょっと騒ぎになった。まあ、見れば分かる。

 どんな(ちから)? って言ったことを勘違いした輝石王が、とても重い机を軽々持ち上げて、しかもくるくる回して、銀王が焦って「違うから()ろして」という、コントが面白かった。・・・ノリ、だよね。


 これから、畑に行かなきゃと思っていたところで、さてと立ち上がったときに畑のお姉さんがおじさんと一緒に入ってきた。

 昼をここで食べて、聖女にお願いがあるそう。ちょうど良いので新しい王には残ってもらって、採石場のこれからの話をしながらご飯が終わるのを待っている。じいっとみるとお姉さんには確かにある。おじさんにもふんわりあるけど、お姉さんラブっぽい。そう言えば一緒に居ることが多かったなあと思った。

 たぶんと思って食事中で申し訳ないと思いながら話しかけると(かも)を普通の畑でも働かせられないかということだった。


 畑は最初っから口だけベテランの男が多く、いまも勇者予備軍に苦労しているのを何度も見て知ってる。その惨状も手伝っていたので良く。畑は女の方々が男の人達のお尻を叩いて何とか維持しているんだよね。鴨の働きとかよく見ているなあと思う。でも、鴨は畑では難しいよ。では(すずめ)(はと)、と話していると、こちらの二人がポロポロと泣いて焦った。採石場はもっと(ひど)く実際の成果が無い。そう思い当たって畑は頑張っているのに申し訳ないって悲しくなったそうだ。


 なんかしんみりしているうちに食事が済んだので試したいことがあるから協力して欲しいとお願いした。もしかしたら喫緊(きっきん)の問題の助けになるかもしれないよと。

 ちょっと離れた所で、商材チームが様子をうかがっていて、こそこそっと周りに伝達されている感じがする。なんか微妙な雰囲気に、お姉さんはビクッとしているけど承諾はしてもらった。


「じゃあね。輝石王はお姉さんをぎゅっとして。で、銀王はおじさん」

 ふたりが抱きつかれるのをじっと見ていると、分かる感じがする。


「お姉さんは夕王(ゆうおう)。なんで(ゆう)なのかわかんないけど。

 自分で夕王だって口に出してみて。

 あと、おじさんは、ダメだった。お姉さんがスキすぎ」

 周りがさあさあ!って雰囲気になる。しばらくアワアワしてから、何かを決意した顔になって

「私は、夕王。大地を()べる者」

 おおおおおおおおって。大騒ぎになった。そりゃそうか。王の誕生を見たんだものねぇ。お姉さんも両手を挙げてとか、ノリ良いねえ。まあ、畑でもそんな感じだったし。


 何故(なぜ)か、おじさんがバンバン叩かれておめでとうとか言われている。訳が分からない。何なのって輝石王を見ると「おじさんは夕王のお父さん」って、こそっと教えてくれた。

 なんだ娘ラブか。


 すごかったなあ。良いもの見たよとか 口々に言って、仕事に戻って行く。

 ようやく落ち着いた感じになった。


「じゃあ、解説ね。何と6人目の王です! ぱちぱち。

 自分で分かるとおり、植物系の育成に特化してるの。あと菌類ね。きのこ。

 たぶん掌握系もある。勇者で苦労した影響かも。

 それから面白いのが情。トリだと思うけど聖女ほど強くは無いから従える感じ

 じゃなく、お願いするっていう感じ、トリとの友情?

 1羽ずつだと思う。少しずつなの」


 よかったね。鴨に畑は無理だと思うから、違うトリさんかなあ。大敵のトリが身内になるとか苦労が報われているね。本当は、畑に行って確かめたいんだけど、おやつの準備があるので時間的に無理だなあということで、裏のトリたちで試してみることになった。ここに居るのは鶏だけ。真夏過ぎに鴨がここに来るので、池を作る予定。今は鶏小屋があるだけの原っぱ。


 鶏には大変好かれている。いや襲われている。何とか逃げ出したけど羽まみれ。笑ってしまった。

 次、と思っても夕王のこの力は弱いので、聖女にお願いする。お姉さんが手をちょっと挙げただけで、つぐみが止まる。それから色々な鳥が集まってきた。ふんふんとお姉さんが話しているような感じがする。


「食性で(はと)はダメ。小さい子は草や虫にも負ける。大丈夫なのは(からす)かな。もっと大きいのは鴨が怖がっちゃうからダメだって」

 参考になった? って言ってお姉さんは食堂に戻っていった。

 夕王は、仕方が無い雰囲気で烏に近づくとぱっと肩に止まる。相性がすごく良い感じがする。


「烏は良いと思うの。眼がとても良いし雑食。大きいけど鴨は怖がらないと思う」

 あと頭が良いよ、勇者よりと言うと、ぱあっと笑顔になった。勇者に苦労しているなあ。

 カラスかっこいいしというと、そうね。と嬉しそうだった。


 カラスを(はべ)らせていると魔女って言わそうだけどねとは思った。童話にはよく魔女が出てくる。実際は巫女っぽい、悪く書けないからねえ。魔女を巫女に変えるとぴったりするし。

 いや巫女はパーンだよ、烏に割られちゃう。頭の中で想像してクスッとした。


 それにしても、と思う。そう都合が良すぎるの。僕にとって。

 確かにここには可能性のある人は多いの。聖都の巫女たちはもちろん。えらい人達にも可能性がある人は、いなかったし、アノ兄弟くらいで住民達の誰も。まあ、じっくり見てなかったのかもしれないけど、可能性は近くに居れば分かる。じっと見るとその性質が分かるという感じだった。都合が良いというのは、その性質。

 持っていたのは無く。僕が付与したという可能性。こうあって欲しいという性質になっているの。思った事と合ってるなあって思ってたけど、ここまで続くと偶然とか理解とかとは違うなあと。

 だから・・・は、まあどうでも良いの。大事なのは今日のおやつなの。


 そう、頭の中では何度も作って大丈夫だったものだけど、実際に作るのは今日初めて。

 毎日甘味とか昨日言ったばかりなのに。今日のは甘くない。

 うそつき、くすくす。倉庫のアレ使いたいって思ったから仕方ないよって、言い訳した。


 食堂の調理場に戻ったら、お姉さん達がキラキラの眼で待ち構えてた。

 ゴメンなさい。今日のは甘くないの。お姉さん達、ガーンとか言ってる。お約束だなあ。


「必要なのは、丸いイモと油、塩、胡椒(こしょう)

 まあ、べ〜姉に作ってもらって、もう準備万端だし、作り方も説明済みだしね。様式美ってヤツ。

 ドンドン仕込みをしていく。イモを洗っていてもらうんだけど、小さい調理具を作ったからそれを使ってもらう。シュシュっと。お姉さん達「すご〜い」「かんた〜ん」とか言ってる。売れそうだ。


 むき終わったら、今度はこの調理具。こうね。ってやってみて、おねえさん達にやってもらう。

「すぱすぱって、気持ちイイ」

 おおこれも良さそう。


 あっという間に仕込み終わり。早かったので広げて外で乾かすの。

 浅い四角い皿状のものに、油をどば〜っと。火をカチッ。

 良い温度になったところにさっきスライスしたののお試し用を布で水気をしっかり取って、ぽいぽいっと入れる。ちょっと待って、ひっくり返す。ちょんちょんとして、固くなった感じがしたところで熱くする。

 さっさっと油切りのさらに置く。塩をパラパラ。半分には胡椒こしょうをぱらぱらっと。


「はい、試食」

「んん、パリパリ感が良い!」「いけるぅ!」「胡椒(こしょう)のも良いわあ」

 なかなか、好評で良かった。

 その後、すごくたくさん作ったんだけど、あっという間になくなったよ。

 好評すぎて、夜におつまみでも出すことになってた。

 まあ、久しぶりのお酒だし、羽目外さないでね。


 ぼくは、荒れていたあちこちが何とかなりそうで安心した。

 おやつを食べ終わって、後片付けをしているときに、次のおやつの事を考えていたかな。

美女とカラスだから、黒服着せなきゃとか。農作業舐めてんの。

暑いし、虫来るよ。

濃く染めるのってお金いっぱい掛かるんだから。


夕王の話がが7/7になったのは超偶然なの、ビックリ。

日にちに合わせた話を書くなんて高度なこと無理。第一今日は新暦だし。おしい。


毎週火曜日と木曜の22時にアップなの!

また、よろしくね。

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