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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
15章 小さくない秋。
114/854

112 収穫の村や町のこと。

何にもしてこなかった冬が忙しい。

今まで、ノケモノだった子供達や女の人にも仕事がある。

やっただけ、豊かになる気がする。


季節的には10月〜11月って感じ。秋な期間はみじかいよ。

いつもありがとう。

 もう9月だからね。どんどん寒くなる。収穫が終わっちゃえばやることなくて寒い冬を耐えるだけって考えらしく、冬は何にも作らないっていう国が多いの。

 気持ちは分かるし、同意したい気持ちはあるけど、人は冬眠しないからね。起きている限りは(あらが)うし、楽しまないとつまらないって思うよ。


 収穫の契約をした町や村はね。購入だけで、委託栽培もお願いしたいなあだけだったの。色々作りたいけど、アレもこれもはやっぱりムリ。じゃあ買っちゃえ任せちゃえ〜だけ。

 表面上の付き合い、びじねすらいく、大人って感じでしょ。


 でもね、勇車隊から聞いた様子がずっと心配だったの。聞いた話では広さの割に収穫が少ないようだし、その量にしては住民が多すぎる。お年寄りをあまり見かけない。作ってる種類が少ないもある。

 お助けなら、自分で確かめなきゃだけど遠いし、僕が指定した所は、どこも(さび)れてるって聞いてた。押しつけ勇者は宴会とセットみたいだし、よそんちの勇者は面倒だから、もう関わりたくない。


 ちゃんとお世話できないなら言うべきじゃないって、心配を収穫だけにするようにしていたんだけど飛行の道具が出来たから、ぴゅ〜っと行って空から見た。

 森は元気なのに、畑に元気が無いの。住居はぼろぼろで、人が多すぎる。

 あ〜これじゃ長続きしないなあが分かっちゃったんだよね。何でが大体予想できるし。じゃあ(かこ)っちゃえって。都合の良い実験場にするけど、代わりに幸せにするよって。


 最初にケモミミへの嫌悪感を無くした、というよりわざとらしく植え付けられた(あく)感情を解毒(げどく)。外では隠しているけど、ついポロリしちゃうこともあるから、じゃあ隠さないで良いように意識変えちゃえにしたの。

 どこもいままで冬作や土作りもしないで収穫の後は、ぼ〜っとしてた。収穫後の処置や土作りの準備をやるべきなのに何もしていないとか、その結果どうなっていたのかは、アノ国の報告書を思い出して予想してた。

 人口に比べて収穫高が少ないの。僕が欲しかった種類の小麦だったけど、利用がパンだけになるから作っても評価が低くて、やる気が無くなっちゃったのかなあとかだけど、冬作をしてないとか畑のお世話が足りないのは数字で分かってた。

 僕はナマケモノって評価してたよ。

 それもあって、手を差し出すなら意識改革からは当然。里では勇者のお友達やそういうのに苦労したし、しているの。あの人達って「いかに誤魔化(ごまか)して楽をするか」なんだもの。

 お見通しだし、成果はちょっとなのに、評価が低いって文句を言う。似てるなあって思った。考えが自分勝手な(比喩的な意味で)子供なとこ。

 尻尾の人は、小人閑居(しょうじんかんきょ)して不善(ふぜん)()すって言ってた。意味を聞いてなるほどって。

 僕も小っちゃいから気を付けるねって言ったら意味が違うって。ハテナ。


 豊かになりたいのはみんな同じだよね。じゃあ頑張ろうね。働くのが夏だけっていうのがそもそもダメ。()もっているだけだとろくなことをしない。やれることをやろうねって、いっぱい仕事を作ってあげる。というか僕のため。作って欲しいのがたくさんあるの。


 やってこなかったのが不思議だった土作り、落ち葉や刈り取った草のものや家畜の(ふん)堆肥(たいひ)を作る。頻繁(ひんぱん)じゃ無いけどマゼマゼして空気を入れないといけない。里では(くわ)の大きいのを付けた大きな車でやっているくらいなんだから人力だけじゃ、すごく大変なんだけど、人がやたらいっぱいだから大丈夫。というか(ひま)にならないようにってこと。


 緑肥は当然するし、冬作しないと真夏まで何にも実らないから、ごはんが無かったでしょ。森を切り開いて、新畑の土作りをして、後はやってねにして、いっぱい出た木材は炭にしたり、内職用に使う。(まき)も必要だよね。

 家は汚かったし、ボロいので新しく用意した。区別無く全員がここ、長屋、来年(ライネン)ハウス。将来というか今を何とかするために男女は別。指導者らしき人が溜め込んでいた書籍やなんかに事務や作業棟にお風呂も並んでいるの。

 乳児は女性棟だけど、そのぶん子供は男性棟に多めに振り分けてお世話。時々入れ替えて、生活を繋ぐ。これは人口対策。

 妊娠している女の人が8割って異常事態でしょ。女性が畑仕事をあまりしないと文句を言ってるのにはお腹に10KGのおもりを付けて、言ってないのには5KGを付けて、この冬は仕事をさせる。命がお腹にいるということを分からせるために水袋にしていてね。割れたら夕ごはん抜き。朝と昼食べているから仕事には差し支えないよって、冗談だったんだけど女の人からとっても支持されて、実施。

 やらないのは昼夜抜きだって。


 共同生活にして、負荷を知ってもらって仲間意識を高めるというか、ナマケモノ意識を無くしてもらうの。頑張っている人は報奨(ほうしょう)で差を付ける予定。出ていきたいのは推奨(すいしょう)だけど、子供含めて、みんなが働くようになるから、里帰りって一時帰宅は歓迎するけど出戻りには厳しくなると思うよ。

 

 ここには人いっぱいだから、ウチで言う道具は今まで無かった街灯と家の(あか)りくらいで、精霊石は暗くなったら()く機能だけのエネルギーにしか使っていないの。

 作業用具はウチの貸与品、ボロボロだったし。便利用具は例のアレで作らせている。この冬は割り増しして払った分が農具の使用料で消えて、冬作の収穫はゴッソリ取られるんだけど、それでも沢山残るし、内職分はある。ウチからの行商品を買って、ほとんど無くなるとは思うけどね。(お金が急にいっぱい入った人はみんなそうだもの)


 ごはんはあるし、美味しくなるから、栄養失調気味だったのはすぐ良くなる。清潔になれば、病気も格段に減るだろうし、たまに聖女だって来る。

 ケガや病気で少なくない人が亡くなっていたみたいだし、寿命が短かめも改善する。豊かになって、知識を持てば、外に興味も出るよね。スキルが上がってくれば用具も工夫するだろうし、仕事をいっぱいにしても効率が上がるから人は余り気味になって出ていく人も多いだろう。

 この人達は技術と自信を持っていて、ケモミミに偏見(へんけん)の無いニンゲン。作業効率や衛生やオイシイを知っていて、種族差別が無くなりますようにという気の長い願いでもあったりする。


 夢ではごはん食べられないからね。理想を横に置くと、品質と収量が大事だし(こだ)りたい。初夏の買い付けのものは粉になっちゃってるから、詳しくは分からないけど栄養価は低かったし、()き方が良く無いのも分かるから、基礎情報と合わせて、だいたいの予想はしてた。


 粉にするときには石臼(いしうす)を使うんだけど、使い続けるとボロボロと崩れて石がいっぱい混じるの。大事なのにケチる人が多い。食味(粘度)のこともあるけど、等級が下げられている一番の原因はこれ。大きいのはフルイの網目を細かくすれば取り除けるけど、細かくなったのや色が似ているのを取り除くのは難しくてね。


 食べているときに石でガリってするのが当たり前なんだけど、僕は嫌だから、取り除く道具を作ったの。坂に滑らせるときに風を当てて、軽い粉の方向を変える。重い石は真っ直ぐ落ちるっていう重さの違い。風の調節は微妙だし、一定じゃ無いといけないから人力じゃ大変。理想の状態をセットして道具を作った。

 仕入れた粉の石は全部取ってあるし、優秀な里の岩塩を()いたものだって石はちょっと混じるから道具に通して石を取ってあるの。


 商店街を開いたときに、ちっともガリってしないって、良く聞かれたって、売ってる人達もそうだなあだけだったんだけどね。警備を担当してる子供達のまとめ役の子が「何か売り物を作りたい」って言うから、粉をいっぱい買うお使いをしてもらって、道具の使い方を教えたの。

 粉の量はつまみで調整にしたから風の操作だけ。石の全く無い粉を量り売りにした。街に買える粉があるうちは子供達にお任せ。

 警備のコースをちょっと変えてチラチラ確認してたり、聞き耳を立ててたりして、嬉しい顔をする。

 売値は買った値段と一緒なので、すぐ完売するのは当たり前、色が違っていればすぐ分かるけど、粉の色に近いと見つけるのも大変。

 そう石を取るのって難しいんだよ。いつまでは子供達次第だけど、この道具が使えるのを第一目標にしたみたいだから、勉強のモチベに繫がっているみたい。


 商店街への仕入れは安定しているから、気候や季節、需要によって変動しない定価販売だけど、この石取り粉の仕入れは街で普通に買っていてね。大抵(たいてい)が価格表示をしていなくて、買う人によっても変動がある。

 子供に値段交渉は難しいよ。どこの店でいくらで買ったを表示しているので、子供だと思って吹っ掛けるとそれを見て違う店を教えてくれたり、店に文句を言ってくれたり、悪質ってウワサを流したりしているみたい。

 たぶん、お客さんは子供が目を()らして、1つずつ取り除いているって思ってるんだろう。自分たちも取り(のぞ)きに挑戦して、上手くいかないのを知ってるから他人事じゃない。子供達可愛いしね。

 お母さん達を敵に回すとネットワークがスゴイから怖いんだよ。


 収量はとても大事でしょ。この辺だと2〜3倍くらいしかない。次に植える事を考えると、()いた量しか売り物にならないの。お世話が適当だし、土地を休ませるやり方だから、もっと少ない。

 今年の里の小麦大麦の収量は6倍だったって聞いたよ。今までの方法を丁寧にやっただけで、こんなに違うの。


 里では来年はもっと良い方法を目指す試験的な感じでちょっとだけにする。で、20倍を目指してる。水田はね。なんと50倍だった。もうワサワサって実がなるの。追肥は水に流すだけだし、鴨たちが雑草取りや水を()き回ししてくれて、ラクラク。(からす)達が、集まってくるトリを追い払ってくれたり、虫を食べてくれるから手が掛からなくて素晴らしい。広さそのままのつもりだったけど、100倍を目指すから、半分の半分でも良いかなって思っているところで、改良して寒冷や病害に強くてオイシくて、収量のさらに多いものにするの。

 麦もね。さらに良いものにする。実が重いよ〜ってお辞儀しちゃう、ワサワサってするのにしたいんだよ。


 収穫の村や町の冬蒔き麦は、開拓地の方で7〜10倍くらいを予定してる。粒の数じゃ無くて重さね。フカフカな土作りに里から肥料や調整剤を入れる最新の方法にしてある。来年は良いけど、次からはお任せに近いから収量が落ちそうなのを里の方法と品種改良した種籾(たねもみ)を持ち込んでさらに増やすつもり。コメは持ち込まない。

 北の方で出回っていたパサパサのは好きじゃ無い。もっちりコメはウチの独占。商店街では食べられるけど、コメは売らないの。ココだけ!は大事な事。


 あんまり関わらないにしてたのに、お節介が過ぎる。と僕も思う。ひもじいや希望が無い顔を見ちゃうとちょっと前の自分を見てるみたいで、幸せにしたくなっちゃう。

 でも、幸せの形は人それぞれだから、これは押しつけでしかない。

 表向きはダメダメな産地を改造しただけ、莫大(ぼうだい)な投資に見合うように働けっていうの。生活を改めろ。学べ。(なま)けるのは許さないって、ノルマやスケジュールは当然ある。ナマケモノにはステキな夢をというか予想される未来をリピートしてどうぞ。


 この冬、言われたとおりに頑張れば(強制)、いつもはひもじい春に成果を得る。今までサボっていた夏もお世話を頑張って秋に収穫があって、すぐ作付け。

 内職もあるし、他の仕事もいっぱい。一年中忙しいになるし、収入が各季節にもある。慣れに合わせて拡大のつもりで、収入は(けた)が変わってくるよ。

 言われた通りだったのが分かるようになって、自信が付くと将来を描けるの。

 あと、自分だけのっていう幸せを見つけられるようになっていると良いな。

今まで、働きが無いって言ってたの誰のせい?

作付けの頃、体調が良くないのとか、刈り取りに身体が重くて手伝えないこと、文句言われてた。

冗談じゃない身をもって知れば良いよ。


らいねんはうすって、繫がってるお家のこと。

将来に希望を持って欲しいって意味があったりするんだけどね。

木曜日にまたね。

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