109 最初にしたいこと。*
僕はやりたい事いっぱいあるの。
あれもこれも、いつかって予約中のまでいっぱい。
やりたくないことまである。
考えると楽しくなるね。
さんきゅう。
「したいことなあに」って聞くとね。おじさん達は、顔を赤くしてニヤニヤするし、お姉さん達は悪い笑顔をする。ぐ〜ちゃんはいっぱいって言うし、カード王は遠い目をするの。何を考えてるのか聞いちゃいけない気がする。
だからね。作りたいものはなあにって聞く。ルミナリエでね。
街が始まったし、すぐ色々始めたかったんだけど、お店が落ち着くまで待ってだって。お店やって、見て、気持ちが変わるかもって。町では商店が全部オープンしたの。
僕たちが直接サポートしている商店街だってまだ全部は開いてないのにね。全部専門店だし。
商店街じゃ、1階の店は食品関係(食材や軽食、お酒とか)だけど、2階の方は人が足りなくて、全部で1つの店、ちょっと良いものを置いてる店を中心にってしてたけど、運営が難しいので、大きいところの4階以上に移動した。思ったよりワルイヒトが多くって、防犯のため。
2階3階が日用品や雑貨に女の人のお店にした。グルグル回ってお買い物が出来る。広場を見下ろすって感じ。周囲はぐるっと空いててね、外から見ると大きな建物に見えるかな。横から見て左右が大きくてね。お店じゃ無い方は、居住棟になってるの。外側から見ると洗濯ものを干しているから分かる。
ここの1階が1つだけ開いてて、知識を売ってるの。「学校」という店。裏の方に事務所があって、商店街は、この隙間の門みたいな所から入る。ゲートって呼んでてね。クローネカードが無いと通れないし、道の歩道から内側へは近寄ることもできない。
納税の時に徴税官が代表に大けがさせたってことで結界を張って厳しくした。
新規登録はさらに審査が厳しくなって、クローネカードを持っていることは、ちょっとしたステータスらしい。
ルミナリエでは、お店が開いたものの、お客は見てるだけ、ちゃんと働いていた人達は余裕があったけど、これから無料支給が無いし、家賃(住民税込み)とか食事に衣服を考えると、まず必要なものを買って今度買うものを物色する。
今までは、みんなで生き残るためだったの。僕らが安全にして快適にするだけだとね。目的が無くなっちゃう。危うくなる。
お買い物やみんなのためを高い次元で考えるの。
ずっと疎かにしていた自分や会ったこともない誰かを喜ばせるって、目的を小さいのと大きいのにして、よく見えていなかった隣の人もね。笑顔にしたいなって、思ってくれますように。
種族が残るための命題だったのもね。笑顔の延長になるの。みんなの犠牲で自分がいるんじゃなくて、愛されている気持ちが集まったのが自分なんだって思ってくれますように。
そのための楽しみや目標を形にしたのが、たくさんのお店だったりするんだよ。今は、もらったものしか無い
かもしれないけど、元は僕でも野菜や肉はココで育ったもの。どんどん増えていくよ。
「で、ホントの所は」
みんなをさておくと、やりたい事あるって知ってるよ。
「酒、それもココだけのものが作りたい」
アカツキが言う。やっぱりだし贅沢な。まあ「おらが村の」は必要かも。
「じゃあミルクで作ろう」
数を増やそうと思って、繁殖メインで育てているから余剰が結構あって、ちょうど良いかなとチーズ用のを使う。お酒の苦手なひと用に開発した飲み物があるから、それをお酒を目指して作れば良いよね。
トコトコと厩舎に行って。隣に大きめに建てて設備を用意する。ジュースのと基本設備は同じままで大きく作る。これって頑張っても度数が低いから、蒸留設備を追加。冷やす道具とか、どれも難しくないので、厩舎の人の何人かを製造担当にして知識を焼き込み。ここの副業にしておこう。ミルクのお酒は北の方の健康飲料で子供も飲んでいるって聞くだけだから、蒸留酒は無いはず。ジュースのも無い。
ここの特産品になるだろう。良かったね。ズルして出来たのをいくつか持って帰る。これが里との初めての取引。これからいっぱいになるよ。
怖いけど守られるだけは嫌だ、商売もやっぱりやりたいって足だった人が言う。
商店街で指導してて「自信持ってやりたい。首を見られるのをビクビクしたくない、消せないか」って言ってきたから、ハイって消した。意識しないで出来る方が良いだろうと思って、水に入ると現れるようにした。というより、そうなってた。
効率なのか役割を分担して、長年ヒレの出し入れをしなくなった弊害じゃないかなって思った。ノドに修復の意識を向けただけで隠れたから、コレは聖女ならもっと簡単に出来るなって、ケンシュウの人達と里の子供人魚さんは治してねってお願いした。
僕としては、らしさが無くなるなあだけど、マイナスにしかなっていないなら治した方が良いよね。希望する人がいたら、都度治しているけど残したい人もいるみたい。らしさがないと、キレイなニンゲンにしか見えないなあ。水がかかるとエラが勝手に出るから注意だよ。
水が掛かるとエラが一度だけパカッと開いてちょっとエグいの。
行商用にぎそうしゃを作成する。馬をよく見て練習するの。
道も後で整備しておくね。寂れた街道なのに雨で泥濘んだり、水たまりが出来たり、雑草が生えたりしないものにするけど、気にしたら負け。
塩作りは簡単なものから段々とって思っていたけど、体感や経験っていう感覚的に理解できれば知識を受け入れられる容量までの焼き込みができる。多分だけど。
Maxまで入れて、半分以上残ればOKという乱暴な方法でいけるかなと。
この5人は繰り返し実験をさせて、結果を感覚的に理解しているはずなので大丈夫なはず。
じゃあやるね。いくつか方法はあるけど、今回のは知識量が多いので確実にする。
スプラッタ系か痛いだけのを選んでもらう。いっぱい体験しているから、ビックリさせられると思うよ。
流されアーサーがスプラッタを選ぶと3人が続いて、一人が痛いのだった。たぶん甘く見ているらしく食堂でやることになった。あっさり修得してカッコいい自分をアピールしたいとかかな。
弱っちい僕の体験や痛みなんか可愛いものだろうって、べ〜姉のと比べているんだろうけど、あれってイメージの力でアイアンクローしてるの。べ〜姉の手はどちらかというと小さいから、僕には顔を隠している程度なのに、周りで見ている人は掴んで見えるんだよね。
僕のお手々は小さいからおでこに当てているだけ。「いくよっ」ってイメージを作ると手が大きくなって、がしって顔を掴んで見える。ミシッて音とぎゃ〜って叫び声。映像はご想像で。痛みのピークで知識を送り込む。周りはワハハハ〜ってする。シャーデンフォロイデだなあって。
ウケ狙いの演技だと思ったらしく、自分も絶叫するぞ〜なんて言ってる。バンバンの、だそうなので、おじさん達が作った銃で試し撃ちをされているシーンを見せた。この時、当たり所が悪くて一人亡くなっているの。
それから、アノ国でメッタ刺しされたのとか、この前のでバウムで両足が折れたのやアズールで飛ばされ石だたみに削られて、血だらけになったのを見せた。
周りが期待した通り、3人は絶叫して、2人は焼き込みが終わったら気絶した。演技だと思ってるんだろう。大爆笑してる。もっとすごいのもあるんだけど手加減した。意識を保って、ちゃんとお願いしないと妖精さんには分からないから、気絶すればオワリ。(嵐の時みたく何とかしてくれる気もするけど)終わるまではガンバルの。
僕はどんなに痛くても意識を手放さない。かつては日常だし痛みに慣れたせいもあるかなと。
王でも復帰に時間が掛かったからね。2日くらい後にしとく。町が落ち着くのも時間掛かるし、また今度ね。ぼや〜っとして、意識が隣の世界に行ってそうなのや気絶してるのを運び出して、ロードマップだけ発表した。
まずこの冬を元気で過ごせるかどうかが第一目標になるよ。がんばろうね。
ルミナリエは不安要素をポイしたので、安全ラインになっているの。全員抱えても僕たちが補助すれば大丈夫なんだけど、今までのもこれからのも物資は里の売り物なの。海の自活はずっと先になるし、里が自転車操業じゃみんなの下支えになるどころかお荷物になる。海では露骨な態度をする人達が出ていたし、放っておくと争いが起きるのは予想してた。
その場合、守る側に根拠が無い。自浄に委ねるのも1つの手だけれど遺恨は残ってしまうし、姫の求心力を弱めてしまう。保護が長いと自然に上下が出来るのが嫌だしね。みんなが期待するように差し出したたくさんの婆を全部引いた。そのせいで、みんなと明かな線が引かれている。
家族とか描いていたんだって、何を期待したのかねえ、僕。
それから、商店街を回って、同じような線を確認して里に戻ると、ゆ〜姉が待ち構えていた。
「お酒造るって言ってたのに、どこ行ってたの!」
たっと走って飛びついて、ぎゅってするとナデナデしてくれる。
お土産のお酒を下ろして「ルミナリエの特産品」なの。
飲んで感想を聞かせてねっていうと、にこ〜ってする。これを味見すると僕が普通のを作らないのが分かるかな。
ワインとか、あるものは美味しくできるかテスト。飲んだこと無いモノの方が作って楽しいし。新しいお酒、きっとオイシイよ。
造るお酒の話をしたときには、たしか「何で」は言ってない。紙も次に作りたいものがあるの。実は切実。
通年温室は、ルミナリエでは始めちゃってるし、ここでもやりたい。畑の人は、みんな道具の使い方が上手いから、かなり高度なものでも、たぶん大丈夫。
資源棟も始めなきゃだし。冬の服、量産しなきゃ。すぐに寒くなるし、ルミナリエは寒くなってた。
あと追加したいのがあるんだけど、だ・れ・に・し・よ・う・か・なっ。
辛かったなあや痛いを思い出す。
僕はいつもガマンしたよ。
痛いが平気になっちゃダメって思う。痛いは痛いまま、辛いも忘れない。
またねえ。




