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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
13章 秋まっさかりです。
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101 月の日はおでかけ日和。

約束がいっぱいあって嬉しいな。

でもあれもこれもって、忙しいよ。

楽しいかと言えば、さみしいもあって半々。

割合が変わるように頑張るね。


初投稿から1年。花祭り。ありがと〜!

 お休み明けの月の日、嵐の後は晴れると言うけれど、(くも)りで、急に寒さを感じるようになった。もう秋は終わりになる。昨日はまた謎の決着が付いたので、スッキリな朝。分かったわけじゃなくて、分からないものにしただけで解決じゃ無いとも言うけど、全部が分かる人なんか居ないし、これは分かっちゃいけないもの。

 たぶん、いじめられて嬉しいや痛いのが好きみたいなものだと思う。分からなくて良いや。

 今日は、おやつの時間に約束があるの。待ち合わせ。遠いから朝の用事が済んだら出る。嵐が過ぎたあとで良かったよ。


 もうね。毎日、無人なの。朝ごはん。当番にして朝並べてると思う。スクランブルエッグや肉詰めを()でたのが置いてあるし。シリアルや調味料・ジャム・パン(白いのと黒いの)なんかは、昨日の夜に用意したものだろうけどね。ちょっと早く起きて、マフィン(甘くない方)とはさむ用の目玉焼きを追加した。200個限定のきまぐれメニュー。温めて、真ん中を切って、チーズにレタスを乗せて目玉焼きに塩と胡椒こしょうをパラってすると美味しいよ。タマゴケチャップも試してみてね。

 何度も出してるから、用意して置いておくだけ。1つ作って、すみっこでモグモグしてるとこ。そう言えば、お菓子の方のマフィンを作っていない。小麦粉が入ったら作らなきゃ。

 見てると、みんな元気。やっぱり、いっぱい遊ぶのは良いみたい。


 ケンシュウの僕担当は居残りで、他の人達は各商店街に別れて実地というか、副店長扱いで指導をしているの。指導しなきゃいけない人達がいっぱい。

 で、僕らは人が少ないし本来の仕事があって、これからすごく忙しい。じゃあ代わりにやってにしたってこと。計算はシステムがあるから、ある程度できれば良くって、商品知識はふわっと。接客対応だけバッチリにしたの。

 予定外の部分はここだしね。閉じた町の今月の最終日は、お店を全部開けて並んでいるものに興味を持って、製品から作り方にって逆に辿たどってもらう。逆、完成からにするの。


 これはタテマエだけど、分かりやすいかなって、こじつけて誤魔化ごまかすのは得意。人は意味を持つものが好き、人魚さん達の「あった事」を周りが勝手に名前にするのもそうかも。働く意味に解説を求めたり、ポイする理由を聞きたいのも同じ。知性があるから?

 かもねえ。虫は生きるためにあざむくけど、人は破滅に知性を使ったりする。

 ホント馬鹿なの、死にたいのって思う。破滅したい気持ちが分からなくてモヤモヤしてたけど、分かりたくないからソウイウモノにした。もう気にしない。


 僕担当の人達は、目指すモノを分からせるためにジッケンをして、体感的に理解して知識の獲得を早めるということで、現象的に何となく近い、めっきをしてもらう。里の鉄は純度が上がって、買っていたものよりやや良いものになっているんだけど、道具を使っている全員作業なのに生産量が少ないのは、失敗が多いから。すぐにも資源棟に変更したいんだけど、これから東の国に行くし、収穫の受け取りがいっぱい。予定が詰まっていて、ちょっと待ってて状態にしてる。あの人達は調理前の魚、「今は泳がせておくぜ」とは、たぶん違う。


 でね。良くなったとは言え鉄だからびるし、色も悪くなる。お金持ちは銀の食器を使うけど、庶民は木なの。スプーンは良いけど、フォークやナイフは金属にしたいから、鉄。見かけ良くするのに、銀で薄くおおってる。電気っていうので、蒸発させて金属に付着させると、みかけだけ銀食器になる。

 繊維を細かくしたものに性質を持たせて電気を流すと、比較的大きい(ゴミや良くない)ものが残って、塩だけ通すっていうものができる。これは東の国の研究中のもので、まだ理論どまりだけど、僕の頭の中では構築が出来ているから実用化は確実なの。これを理解してもらう。道具だから半分程度の理解を目指して欲しいんだよ。


 商店街で使っているのをお客さんは銀食器だと思ってる、みたい。食べ物を買うとき上乗せして、食器を戻すとそれを返すんだけど、ほとんど戻ってこない。安く銀を手に入れたと思っているようだけど、使っているうちにげて鉄がコンニチハする。ずっと先の事だけど、ちゃんと鉄って言ってるから、うそはついてないよ。

 安いアクセサリーや、レースで使ったトロフィーもめっき、団体戦の大きいのも。遠足のブローチは亜鉛を磨いたもの。トロフィーは報奨で授ける国があって小さいの。金属の塊で重いからね。ウチのは、おじいさんが木で作ったのを型で取って謎素材を成形して、めっきして組み立てた、ネタ商品。大きいけど軽いし、報奨でもらうくらいのもあって色々、キラキラしてて、宝石もどきが、はまっているのもある。キラキラのも、大きいのだって軽くて安いよ。


 東の方はね。貴重な精霊石をアテにするのをかなり前からあきらめて、電気っていうのに変えているのに、同じようなことができるって、スゴイね。

 でもって思う。使うものを理解しないで使えるよにすると、きっと頑張らない。何でって気持ちが起きないと思うし、感謝しない。

 あかりとかね、ポチってく。道具はただ光るだけのものも当然作れるの。でも作りたくない。イイヤのものって、当たり前になっちゃって「いつかできる」ってワクワクしない。動かせる道具は頑張がんばって理論をマスターしたら自分で作れる。応援したいの。


 そうは言っても街灯は、暗くなったら勝手に点く。電気の道具みたいな使い方が出来るのも、たぶん作ってる。売るための試作? どうだったっけ。物事に例外は付きものって、例外だらけな気がする。気分でやってる僕に一貫性とか期待しないでね。


 今日からお手伝いで、たくさん作って身体でマスターして、座学で勉強して理解するの、頑張って。

 最初だけ、作業の説明をして、ちょっと見てから河に行く。今日はケンシュウの第2団が来る、いっぱい。これから2日ごとに来て、あと2回、今月中は居る。里の人より多いし、賑やかになるね。


 ケンシュウの趣旨が完全に変わっちゃってて、最終のお店が分かっていた方が良いんだよなんて。説明しているときに思いついたってことは言えないなあ。

 でも、たくさんになって予定外に時間を取られていた人が開放されて、予定していた技術研修が出来るようになるからうそにならないよとか、今日東に行って新しい人が来たときに「少な〜い、がっかり」がなくて良かったなんて、言い訳や余計な事を考えたりしてる。


 しばらく待っていたら、船が来た。デッキに何人か居る。人数の制限は無くしたの。何人来るかなあ。

 待ち構えている人達はね。学校の人と商材棟から何人かとこれから東に一緒する人達。旗を持ってパタパタする。応援グッズで作ったもので、変なの〜とか無駄なモノをまた作って〜とか言われたけど、レースで盛り上げに役立ったし、いちイベントでいっぱい売れたもの。

 チーム旗とか大きいのもある。良いと思うと手のひらを返して派生商品がいっぱい。パタパタってお迎えは何か嬉しい感じがするかなって。


 里の人達は、湖の人魚さん達にポイされたのがちょっとトラウマになってるみたいで、第一印象にこだわるの。僕達の態度が悪かったからじゃないって分かったから、気を使うのは最初だけなんだけど、人魚さんの反応にいちいちビクッとして、ウザい感じだよ。

 ハイって、来た人のリストをもらう。布だったときは、字が大きくてバサって感じだったけど、カミだと字を小さく書けるから、ペラっと1枚で済む。うん、カミは良いネ。覚えている情報と照合すると、今回の人達は、養殖関連で150人くらい。渡してくれたのは戦いク〜。

 引率役で様子を確認して帰るってことらしい。この感じなら里の案内も誰かがしてくれるよね。


 じゃって、僕は何人かの尻尾の人と乗るでん。

 これから東の国に行くの。待ち合わせは、おやつの時間。かなり早いんだけど、たぶん向こうの時間とこっちの時間が違うの。前にお昼の前に付いちゃって、ごはんにしたんだけど「もうじき着くって思って、食べてなかったから、助かった」っていうナゾの言葉を言っていたんだよね。


 高度飛行になったので、ごはんを作る。一緒する人達は決まっていたから、この材料は人数分。尻尾の人だけなので、やっぱりコメを炊いて、鮭をポワレしたのと、イワナは竜田揚げ。漬け物に大根を擦ったもの、スープはヌルヌルきのこ。フォークじゃなくてハシでどうぞ。初夏に仕込んだ、調味料はまだ早いけど、味見用に熟成をズルしたもの。

 美味しいって言ってもらえた。本場の人達だからね、お世辞(せじ)でも嬉しいよ。調味料は要研究、もっとこだわらないとって思った。魚の焼き方は東とは違うけど、パリッとして美味しいね。煙モクモクだと匂いが心配だったの。気にしないで出来るように換気の方法を改良しなきゃ。炭火焼きしたいから良い炭も作らないとって、またやりたいこと増えてる。


 ここに居る尻尾の人達は、故郷に一度帰るって来たの。遠いからね。夏の時は悩んで残るって決めてくれた。でもね。もう、いつでも帰れるになったから、心配は無くそうねって。気軽に行き来出来るよってなって、東に戻るって向こうで会った人も、嬉しいけど、また悩むって言ってた。東でやりたいが増えたから、たまに〜だったのが期間が縮まって定期的に行き来になると思うよ。


 やとわれで待遇が悪いなら会社作っちゃおうって、尻尾の人達の会社作ってってお願いしてある。仕事は大変だったし、何でもやらされたから、一通ひととおりできる。すごく遠くへの移住だと躊躇ちゅうちょするけど、ただの転職なら良いって人は多くなると思う。

 都会で一旗揚ひとはたあげようって来た人達なんだから、僕達の町に逃げるんじゃなくて、頑張がんばりたいじゃないかなって。

 せっかく移住をしてくれたけど、ここでやってみるも提案するの。僕は一番やりたい事を応援したいんだよ。

 

 時間がぽっかり空いたし、天候は視える範囲は平穏へいおんなので僕の想いを伝える。この人達が言ったのは「故郷を見に行く」だけど、タテマエって分かってる。実は2択で行くか戻るかでしょ。すごく考えてるのは感じる。恩義おんぎとか、来たばっかりなのに非礼と思ってるというのも。

 行く方は故郷で、全部(あきら)めて貧しいけど温かく過ごすだよね。うん、楽しそうだ。戻る方は里? あれれ。やりたい事は何処に行ったの。


「僕はね。欲張りなの、全部欲しいしね」


 飛行の道具を作る時に最初に王達にお願いしたのは、(北の国の心配は隠して)東の尻尾の人達を移住しないで助けたいだったの。浮かぶだけの道具は過去にもあるし大体は出来ていて、場所あるしイベントでやることも考えていたら、お昼食べながら構築完了まで出来ちゃった。僕が嵐の日に作ろうとしたのは、東の人達を何とかするのと大きな風船の飛行の道具まで。王の人達が来たから、お昼まで東の事を考えてもらって、飛行の道具は最終構想まで欲を出したけど、まさか出来るとは思わなかった。

 ふわふわにプカプカは、あっという間。昔の人達があこがれて、僕が長年夢想してきた道具が形になっていくのは、時計がものすごい速さで回って、未来に向かっている感じだったな。


 僕の東の国の情報と王6人の力で、どうにかしちゃう案が出来たの。誰も行ったことないし、情報はかなり細かいけど、観光寄りでね。アノ国が興味のあるのはそれと食べ物だし。王の人達は仕事の時に尻尾の人達から聞いていた程度。僕の希望はかなり無茶だったし、スゴイって思った。


 思いついたから行きましたって、東に行ったお買い物隊に追いついて、お話ししましたは本当だけど都合が良いって計画も説明したの。移住を誘うよりもやりやすいって言ってくれたけど、面倒さが何倍もになってる。

 業種は貿易と開発の会社なの。貿易先は里ね。ゲームとか日用品、食材も新鮮なものでお届け。この国が諦めた精霊石の道具が目玉。売れなくても主力は標準器。

 開発はね。故郷の村の生産力を高めたり、整えて観光の村にするの。うその伝統芸能や珍しい風習も用意する予定。尻尾あるだけの田舎者って見ていた都会の人達をあっと言わせるの。

 可愛いは最強なんだぞ、知らなかったのって。


 心配もある。せっかく来てくれた尻尾の人達が居なくなっちゃうかもしれない。すごく魅力的な人達だから、僕だけじゃ無く、悲しむ人は多いと思う。残って欲しいな。

 今頃言うんじゃ無くて、ちゃんと里で言うべきだったけど、他の人達も帰るって言わないように黙ってたの。ゴメンナサイって、ぺこりとする。

 話していたときは、ずっと驚いた顔だったのが、優しい顔になって「俺らの幸せを考えてくれてありがとう」って、ぎゅっとしてくれる。


 あの頃はあきらめばかりで、里に来ても逃げたっていう後悔がずっとあった。村を出た時に「幸せを自分でつかむ」って決意したことを今さら思い出す。チヤホヤされて、掴み取るを忘れていた。その後、落とされて明日を考えなくなっていて、自分で何とかしなきゃいけなかったのに周りも似たようなものって諦めていた。

 そこに突然ケモミミ達が現れて、新天地への移住をささやく。ただ垂らされた糸にすがり付いただけ。はるかな土地にはまさしく別世界があって、安全で豊かで幸せと希望にあふれていた。楽しいことや驚きに溢れていたんだ。

 それなのに逃げたって心がなげいていた。夏の終わりに空を飛ぶ道具が現れて、それはあっという間に東の国に届くという。これから時々往復するなんて言われる。気が付かない振りをしていた気持ちがザワザワとしていて、一時帰郷に手を上げたんだ。あの小さな子は上手く隠していた気持ちを察して、忘れていた気持ちに答えを出してくれる。ただ逃げたいだけだった自分を、自分達を好きだと言ってくれる。

 話を聞いて、ちっちゃな未練が広大な希望に変わったのを感じる。たぶん街に行くだろう。でも、別れじゃ無い。家族として里と繋ぐ役目をやりたいって、強く思っていたんだ。


 僕の話を聞いてモヤモヤってしてたグレーな気持ちに色が付いた気がした。尻尾がユラユラしている。お別れの気配を感じるけど最後じゃないって確信はある。

 僕はサヨナラばっかりだ。仲間を増やすんでしょ。頭の僕があきれている。

モヤモヤって楽しくないよね。

でも選べないって言う。だからね。選択をいっぱいにするよ。

全部選ぶもアリだからね。


じゃあ、またね。

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