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第七十八話

 テイラーとシェザンヌの婚約がなんだかんだで決まっていっていたある日、アマリーは剣術の稽古をしながら大きくため息をついた。


「はぁ。」


「どうしたんじゃ?身が入っていないのぉ。」


 セバスは剣を鞘に納めると眉間にシワをよせてアマリーを見た。


「いえ。」 


「何か心配でも?」


 アマリーは首を横に振ると、今日の稽古を切り上げることに決めた。


「あまり悩みすぎないことじゃよ。」


 そう励まされたものの、アマリーの心は晴れることなく曇っていた。


 実の所、ここしばらくアマリーはルルドに会えていないのだ。


 何やら今忙しいらしく、しばらくの間会うことが出来ないと連絡が入っていた。


 そう。


 連絡は入っているし、ルルドはまめなので、毎日花とメッセージカードを贈ってきてくれる。


 嬉しい。


 だがしかし、今までルルドとの距離が近かっただけあって、会えないこの数週間が辛くてたまらなくなってきたのである。


「はぁ、、、。」


 もう何度目かも分からないため息をアマリーがついた時であった。


 部屋の扉がノックされ、執事がアマリーに一通の手紙を運んできた。


 手紙の送り主はアメリアであり、アマリーは首をかしげると手紙の内容を読んで息を止めた。


 そこには、アメリアによる、ルルドのここ最近の浮気情報がのせられていたのである。


 その手紙を何度もアマリーは読み返し、手が震えたのであった。


「どういう事ですの?お仕事が忙しいと連絡があったはずなのに!」


 アマリーはその日のうちにアメリアと連絡を取り合い、そして、行動を開始することを決意した。


 ルルドが浮気など、疑ってはいない。


 おそらくだが、何かしらの理由があることはアマリーは悟ってはいる。


 だが、だからと言って嘘をついていいと言うことにはならない。


 アマリーはアメリアの手引きのもと、ハンス主催の近隣国の国の代表らを招いた舞踏会のある日、王城内に潜入することに決めた。


 色々な小道具を準備しながら、アマリーは心の中で自分を鼓舞した。


 やるのよアマリー!


 ここで知らないふりをしては女が廃るわ。


 私はアマリー・レイスタン!


 宰相の妻になる女なのだから、しっかりとしなきゃいけないわ!


「ルルド様!私に嘘なんて通用しませんよ!アマリーはやる時はやる女です!」


 拳を掲げ、アマリーは部屋で一人声をあげた。


 アメリアとの打ち合わせはばっちりだ。アマリーはにっこりと笑みを浮かべた。




 そんな姉のコソコソとしながらも闘志を燃やしている姿を目にした弟は、静かにそれを見ないふりをしたのであった。


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