第七十五話
更新遅くなりすみません。
タイトルの名前付けに悩みまして、申し訳ありませんがここからは第○○話というタイトルでアップしていきます!
「え?」
テイラーは思わず目を点にして、シェザンヌを見た。
シェザンヌが本を読みながらウトウトとしていたのでタオルケットを掛けた直後に、シェザンヌの口が小さな声で呟いた言葉に、テイラーは硬直した。
「ん、、、、あれ、、、、テイラー?」
シェザンヌが小さく欠伸をしながら目をこすりテイラーに視線を移す。
「テイラー?どうしたの?あの、、、顔、真っ赤よ?」
そう言われ、テイラーは両手で自分の顔を覆った。
「み、、見るな。気にするな。何でもない。」
「どうしたの?」
目をぱちくりとさせるシェザンヌからテイラーは視線をそらすと、大きく息を吐き、どきどきとなる心臓を押さえて呼吸を整えた。
思わず、自分に言われた言葉かと思い、動揺してしまった。
違う。
あれは、寝ぼけて、あれは、寝言だ。
「す、、すまない。少し席を外す。護衛は他にもいるから、安心しろ。」
吸って、吐いて、吸って、吐いてと深呼吸をすると、テイラーは近くにいた護衛に声をかけてシェザンヌが何か言っていたがそれを振り切ってその場を後にした。
テイラーは近くの井戸まで移動すると、井戸の水をくみ上げ、桶に移すとそれで勢いよく顔を洗った。
頭から湯気が出るのではないかと思うほどに恥ずかしい。
一瞬、ほんの一瞬だったが、自分に言われた言葉かと思ってしまった。
テイラーはその場にしゃがみこむと、大きく息を吐いた。
「俺は、馬鹿か。いや、馬鹿だ。くそ。恥ずかしい。」
「あら、何が恥ずかしいの?」
「うわっ!?あ、、、アマリー。何でここに?」
アマリーはにやにやと笑いながら、ほほほと笑うと言った。
「シェザンヌ様にお茶のお誘いに行ったら、ふふふ。面白い物が見えたものですから。」
その言葉にテイラーはより一層顔を真っ赤に染め上げると、桶の中に入っていた水を、思いきり頭からかぶった。
「っきゃ。ちょっと、テイラー様。まぁまぁまぁ。動揺しすぎじゃありません?」
「う、、、くっそ。もう。くそ恥ずかしい。アマリー。頼むから、頼むから内緒にしてくれないか?」
アマリーは面白そうに笑い声を上げると言った。
「いいですわよ。それで、一体、シェザンヌ様は何とつぶやいたら、そんなに同様してしまうのかしら?」
「う、、、え、、、っと、、、、。」
「ふふふ。その様子からすると、テイラー様もまんざらではありませんのね?」
「え?」
「だって、シェザンヌ様の言葉を聞いた一瞬、すごく嬉しそうな顔をしていたではないですか。」
その言葉を聞いた瞬間、テイラーは目を点にする。
「え?誰が?」
「テイラー様が。」
「俺、、が?本当に?」
「ええ。それはとっても甘いお顔でしたが、違いまして?」
テイラーは一瞬考えたのちに、視線を泳がせて、それから頷いた。
「いや、、、それは、、、、、、あぁ。うん。」
アマリーはにっこりとほほ笑みを浮かべると、テイラーにはっきりとした口調で言った。
「今度は、諦めない方がいいのではないかしらね?」
「え?」
「遠慮ばかりしていたは、ご自分は幸せになれませんわよ。男たるもの、度胸を見せやがれです。」
其の言葉に、テイラーは言葉を詰まらせると、小さく息を吐いた。
「俺は、、、この気持ちに、、、、自信が持てない。」
「え?」
「よく分からないんだ。ずっと違う人を見ていたから、だから。」
言いよどむテイラーに、アマリーは笑みを深めた。
「近くにあったからこそ、見えなかった物ってありますよね。素直になって見られてはいかが?シェザンヌ様がうちのエリックと婚約したら、どう思いますの?」
「嫌だ。」
即答に、アマリーは笑みをさらに深めた。
「あら、早い。ちなみに、こちら、ハンス陛下からお手紙でございます。重要な書類のようですよ。」
「ハンス陛下から?」
「ええ。」
それは、話したいことがあるという内容のしたためられた手紙であり、テイラーはその後すぐに王城へと出向いたのであった。
隣国との話し合いが水面下で行われたとの話があったので、その話だろうと思っていたが、ハンスの顔色を見た瞬間に、違うのではないかと首を傾げた。




