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悪寒

 アマリーの弟のエリックは、はっきり言っておこう。


 シスターコンプレックスである。


 小さな頃から、優しく、強く、真っ直ぐなアマリーと共に育ったこともあり、それはそれはエリックは見事なシスターコンプレックスになっていた。


 そして、あのぷにぷにとした体に抱きしめられることがエリックは好きで、大きくなってからもアマリーを恥ずかしげもなく抱きしめてはそれを安心材として利用していた。


 手紙で激やせした事を知った時には、枕を涙で濡らした。


 そんなエリックだが、さすがはアマリーの弟と言うだけあって、ハッキリ言おう。


 ポチャッ子子息である。


 それでもエリックはかなりもてている。


 何故かと言えば、エリックは甘え上手であり、年上からは絶大なる支持を得ていたからであった。


 だが、もう一度言っておこう。


 エリックはシスコンである。


 それ故に、どんな美女やお姉様方からお誘いを受けても、やんわりと女性を立てつつも断りを入れここまできたのである。


「氷の宰相か、、、絶対にアマリー姉さんをお嫁になんてやらないんだからな。」


 アマリーから届いた、ルルドと共に今度の誕生日に合わせて帰ると言う旨の手紙をぎゅっと握りながらエリックはそう言った。


「姉さんをどこの馬の骨とも分からない宰相に何てやらないんだから!」


 いや、どこの馬ではない。身元もはっきりしている。地位もある。しかも氷の宰相と呼ばれながらもかなりの人気を博している事も知っている。


 それでもなお、エリックはルルドを認める気がない。


「ここに来たが最後。その本性を暴いて、婚約破棄してもらうんだ。」


 せっかくダンという婚約者がいなくなったのだ。


 なのに、こんなにも早く婚約者が出来るとはエリックも思っていなかった。


 ダンの事できっとアマリーは相当傷ついたはずである。


 それを癒せるのはきっと自分だけだ。


 エリックはどうやってルルドの本性を暴き出すか計画を練っていく。


 それをひっそりと見守っていた母はため息を漏らすと自室に帰ってゆっくりと紅茶を飲んだ。


「あの子の難点は、アマリーを愛しすぎている事かしらねぇ。」


 母はそう呟きながらも口元はほころんでいてどこか楽しそうであった。


「ふふ。久しぶりに屋敷がにぎやかになりそうね。」


 領地にははっきりと言えば刺激があまりない。


 なので、アマリーの母は少しだけ楽しみにしていた。


「ふふ。何か起こるのかしらぁ。」


 そんな弟と母の気持ちなどまったく気づかないまま、アマリーはルルドと共に領地へと帰る。


 ルルドは何となく背中に悪寒を感じるのであった。






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