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ため息

 アマリーはアメリアにお茶会に呼ばれ、中庭で二人だけのお茶会を楽しんでいた。


 庭には美しい薔薇が咲き誇り、甘い匂いを風に運ばせる。


「アマリー、その後体調は大丈夫?」


 アメリアの言葉に、アマリーはにこりと笑みを返して頷いた。


「ええ。大丈夫です。アメリアがご無事で本当に良かったです。」


 その言葉にアメリアは顔を顰めると言った。


「助けていただけたのは嬉しかったけれど、でも、やはり自身を危険にさらすのはやめてほしいわ。私達友達でしょう?お願いよ。」


「はい。ありがとうございますアメリア。」


「ふふ。分かってくださればいいの。それで、、、その後ルルド様とはどうなの?」


 その言葉にアマリーは令嬢らしからぬ噴き出し方をしそうになったのをぐっと堪え、そして声を上げた。


「ななんあななななな。何のことですの?」


 アマリーの動揺する姿に、アメリアはにやりと笑みを深めた。


「あら、あら、あら。何があったのかしら?」


「そそそそそ、そう言うアメリア様こそ、ハンス陛下とはどうなのですか?」


「え?えええええっと。まぁ、その、良好ですわ。」


 自分の事となると視線を大いにさまよわせるアメリアは、顔を真っ赤にしている。


 二人ともお互いに静かに紅茶を飲み干すと言った。


「な、なんだか今日は暑いですわね!」


「ほ、本当に!とっても暑いですわ。貴方もそう思うでしょう?テイラー。」


 突然自分の名が呼ばれた、護衛をまかされていたテイラーは自分に話が振られた事に驚くと、顔を顰めた。


「春風が心地よい陽気ですよ。お熱いのは、お二人のご婚約者様との関係でしょう。」


 その言葉に、二人は顔を真っ赤に染めた。


 テイラーはハンスから二人の護衛を頼まれており、自分は陛下の護衛なのにと渋ったが、婚約者を第一に考える二人の惚け共に押し切られた。


 今この二人の周りは、陛下の護衛よりも守りが固い。


 最初こそテイラーも生暖かい眼差しで見守っていたものの、数週間も甘い雰囲気を醸し出され続け、惚ける陛下と宰相にこの国は大丈夫かと少しばかり心配になった。


 だが、ひとたび仕事が始まれば優秀な二人である。


 そう。


 優秀なのだが、最近、惚気る場所がないからなのか、二人ともお互いに惚気あったり、自分に惚気たりすることが多くあり、テイラーの不満は溜まって行っていた。


 少しばかり独り身の自分を気遣ってくれてもいいじゃないかと、一人不貞腐れている。


 それに周りはまったく気がついてはいない。


 だからこそ、最近では自分達の幸福をこちらにまで幅を広げようとしてくるのである。


「テイラーも良い人を見つけなければね。」


「そ、そうですね。こう、素敵な人をね。」


 今まで浮名を流してきたテイラーではあったが、大抵は女性達に見抜かれていつも振られるのだ。


『貴方、私の事好きじゃないでしょう。』と。


 それぞれの女性達に対して真摯にふるまってきたつもりだったが、やはり女性には分かるものなのだと、半分あきらめにも似た感情をその度に抱いた。


 不誠実な自分。


 アマリーとルルドにはもっと女性の中身を見ろと言われ、そうするように心がけるようになった。


 やっとアメリアとハンスとが婚約し、自分の気持ちにもしっかりと踏ん切りがついた。


 けれどそうなってみると、何とも言えない感情が湧きあがる。


「ご心配ありがとうございます。ですが、自分は見る目がないので、もうしばらくお二人の護衛として見る目を養わせてもらいますよ。」


 そう軽口をたたいて、自分を落ち着かせる。


 二人は苦笑を浮かべ、また会話に戻る。


 何となくだが、自分にまた恋愛が出来るとは思わず、テイラーは二人に気づかれないように小さくため息をついた。



 




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