素直な気持ち
お城へと帰還すると、アマリーはアメリアに到着直後すぐに抱きしめられた。
「アマリー!無事で本当に良かったわ!」
その瞳は赤く腫れ、潤んでいて、アマリーは帰ってこれた事に改めて安堵するとアメリアを抱きしめ返した。
「ご心配おかけしました。」
「本当に良かったわ。」
馬車からハンスが下りると、アメリアは今度はハンスの方へと歩み、そして言った。
「陛下、本当にありがとうございます。」
「いや、アメリアにもアマリーにも大変な思いをさせて申し訳なかった。アメリア、少し時間はあるか?」
「え?ええ。」
ハンスは皆の方へと顔を向けると言った。
「私はアメリアと話があるので、ルルドはアマリーを頼んだぞ。テイラーは後始末を頼む。」
その言葉にルルドは頷き、テイラーは肩をすくめると言った。
「陛下ファイトですよ。」
その言葉を聞こえないふりをしてハンスはアメリアをエスコートすると中庭へと移動した。
そんな二人の背を見送りながらテイラーは言った。
「ずっとそわそわしていましたからね。アマリー嬢を助けたらすぐにアメリアに気持ちを伝えようと意気込んでいたのでしょう。」
どこか切なげな瞳を二人に向けたテイラーは一度瞼をつむり、切り替えると笑顔を浮かべた。
「それでは、俺は後始末へと行ってきます。では。」
テイラーはしっかりとした足取りでその場を後にした。
アメリアをベンチに座らせたハンスは、その両手を取り、そしてはっきりとした口調で言った。
「うやむやになって、またアメリアに嫌われるのは嫌だから、はっきりと言う。」
「え?あ、はい。」
「私は、アメリアが好きだ。」
帰還直後に、このような話になるとは思っていなかったアメリアは目を丸くしてハンスの言葉を聞いていた。
「うやむやにすると、また、キミに嫌われているのではないかと自分が情けないことを考えるのは目に見えているので、はっきり伝えておく。私は、アメリアを唯一の妃に迎えたいと思っている。」
真っ直ぐなその視線にアメリアは次第に顔を赤く染めはじめ、そして握られた手が汗ばんでいくのを感じながらもそのぬくもりに心地よさを感じた。
「本当に、、ですか?」
アメリアの言葉に、ハンスは大きくうなずいた。
「ああ。アメリアの気持ちを教えてくれないか。」
真っ赤になった顔を隠すように、アメリアはパッと手を離してから自分の顔を両手で覆って言った。
「私も、、、ハンスの事が好きです。」
その言葉を聞いた瞬間、ハンスは息を飲み、そして、自身も耳まで真っ赤に染めながら、頭をかいた。
「そ、そうか。」
「はい。ずっと、好きです。その、、、天邪鬼で、、、ごめんなさい。」
「いや、それは、私もだ。だが、絶対にこれからはちゃんとキミに気持ちを伝えていく。」
「は、、、はい。」
二人はお互いに顔を赤くしながら見つめあった。




