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人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
異世界とのファーストコンタクト
7/38

リンネとクオン、秘密

 時刻はそろそろ昼に差し掛かろうと言う時。リンネとクオンは神殿の一室に向き合って座って居た。


 マーカスは既に村に帰った。村長としてやる事があるらしい。あの人、村長だったのか。


 リンネは密かに感心した。


 「リンネ、貴方は自分が人造の神だって、人為的に造られた神だって言っていたけど。貴方はそれで苦しくないの?そんな自分に苦痛は無いの?」


 見ると、クオンは悲しげな瞳でリンネを見ていた。きっと、優しい性格なのだろう。


 「まあ、苦痛が無かったかと言えば(うそ)になる。・・・けど、今は別に苦しくは無いな」


 「それは、何故?」


 「俺を救ってくれた人が居たから。そんな俺に手を差し伸べてくれた人が居たから」


 そう、あの人が居たから、神無月レイが居たから神無月リンネは救われたのだ。


 人として生きられたのだ。


 「・・・そう、(うらや)ましいね」


 そう、クオンは僅かに寂しそうに微笑んだ。リンネは僅かに思案すると、クオンを真っ直ぐ見詰めた。


 「クオン。俺の事は君に話した。今度は君から俺に話してくれないか?君の秘密を」


 クオンは一瞬驚いた顔をすると、リンネからそっと目を逸らした。


 「・・・・・・何の、事かな?」


 「俺はその手の事を察するのは得意なんだ。クオン、君は何かを隠しているな?」


 「っ!?」


 瞬間、クオンの表情が明確に歪んだ。その表情は、怯え。人に拒絶される事への恐怖だった。


 それを察したリンネは・・・優しく微笑んでクオンの頭を撫でた。


 「・・・あっ」


 「大丈夫・・・俺は君を絶対に拒絶しないから。だから、話してくれないか?」


 何処までも優しい言葉。その言葉はクオンの心に深く染み入り、優しく響いた。


 思わず、クオンは涙を流す。リンネは優しく微笑みながらクオンの頭を撫でる。


 「こんなに・・・っ、優しくされたの、は・・・ひぐっ、初めて・・・っ」


 「大丈夫・・・大丈夫だから・・・」


 ついに、クオンはリンネの胸元に抱き付き泣き出した。リンネはそんなクオンの背を優しく撫でる。


 ・・・やがて、クオンはしゃくり上げながらも泣き止んだ。その顔は羞恥(しゅうち)の為か赤い。


 「・・・・・・本当に、私の秘密を知っても私を拒絶しない?」


 「ああ、約束する」


 そう言って、リンネはクオンに微笑み掛けた。クオンはぷいっと真っ赤な顔を背ける。


 「・・・じゃあ、話すけど。私は・・・・・・不老不死なんだよ」


 「不老不死・・・」


 「ふふっ、驚いた?」


 「いや、それくらい俺も能力の一部として保有している」


 その言葉に、クオンの方が驚いた。目を見開いてリンネを見る。


 そんなクオンに、リンネは只笑みを向けるだけだ。


 「貴方も、リンネも不老不死なの?」


 「ああ、俺も不老不死だ。君と同じだな」


 「っ、うん!!」


 クオンは(うれ)しそうに笑う。その笑みは、とても眩しく思えた。守りたいとすら思った。


 だから、リンネはクオンを守ろうと(ちか)った。他でも無い、自分自身に。


 この日、初めてリンネに守りたい人が出来た。

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