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人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
異世界とのファーストコンタクト
5/38

神の力

 「っ、マーカスさん、それは本当ですか?」


 玄関に行くと、クオンの緊張した声が聞こえた。其処にはクオンともう一人、青髪の青年が居た。


 二人とも、表情が硬い。何かあったのだろうか?リンネはクオンにそっと話し掛ける。


 「・・・クオン?」


 「あ、リンネ・・・。今から少し出掛けてくるから、リンネは此処で待っていて」


 「・・・・・・何か、あったのか?」


 やや(あせ)った様子のクオン。リンネは出来る限りやんわりと問い掛ける。


 クオンは少しだけためらいを見せるが、やがておずおずと話し始める。


 「・・・・・・近くの村に、オーガの群れが現れたの」


 「オーガ?あの頭に二本の角を生やした、巨躯の怪物か?」


 「うん、そうだよ」


 リンネの問いに、クオンは頷く。リンネの脳裏に、昨日出会った巨鬼(きょき)の姿が過る。


 なるほど、どうやら奴等が近くの村を襲っているらしい。


 もしかしたら、リンネが逃げたのを追って村まで来たのかも知れない。


 だとすれば、やはり責任は取るべきだろう。


 リンネは一瞬で考えを纏めると、マーカスというらしい青年に向き直る。


 「俺を、その村へと連れて行って下さい」


 「っ、本気か!?」


 「リンネ!!?」


 マーカスとクオンは同時に驚愕の声を上げた。二人とも、その表情は焦っている。


 当然だ。見ず知らずの人間を、オーガが暴れている村に連れていく訳にはいかないだろう。マーカスはリンネに諦めるよう、何とか(いさ)めようとする。


 しかし、対するリンネは動じない。真っ直ぐマーカスの瞳を見る。


 その真っ直ぐな瞳に、マーカスの方がたじろいだ。


 恐らく、リンネは絶対に引かないだろう。それを、即座に理解させられた。


 マーカスは溜息を一つ吐く。そして、リンネを真っ直ぐに睨んだ。


 「っ、解ったよ。死んでも知らねえぞ!!!」


 「っ!?マーカスさん!!!」


 クオンは驚きの声を上げる。しかし、リンネはマーカスを連れてさっさと出ていってしまった。


 クオンは慌てて二人の後を付いていった。


 ・・・・・・・・・


 村は酷い有り様だった。村の男達が必死に抵抗していたが、それでもオーガの方が優勢だった。


 中には、死人も出ていた。それでも女子供に死者が出ていないのは、男達の抵抗のお陰だ。


 それも、時間の問題だろう。


 その凄惨(せいさん)な光景に、クオンとマーカスは息を呑んだ。


 「っ、これは・・・」


 「ひでえ・・・・・・」


 呟いた言葉は、誰かの断末魔にかき消される。あまりにも酷い光景だった。無残だった。


 そんな中、リンネは冷静にオーガの群れを観察していた。オーガを確実に、残らず始末する為だ。


 オーガの数、個々の強さ、団結力を確実に把握してゆく。


 そんなリンネの様子に、クオンが不審に感じた。その瞬間———


 リンネが呟いた。


 「行けっ!!!」


 刹那(せつな)、リンネの影が蠢き、村人を襲うオーガの群れへと伸びた。


 「「っ!!?」」


 その光景に、クオンとマーカスは目を見開いて愕然とした。


 リンネの影はたちまち獅子(しし)の顎となって、オーガに食らい付いた。


 飛び散る鮮血。しかし、他のオーガがそれに反応した時にはもう遅い。


 影の獅子は次々とオーガ達に襲い掛かり、疾風(しっぷう)の如く駆け抜けてゆく。


 ・・・数秒後には、もう全てが終わっていた。影の獅子は、再びリンネの影に戻った。

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