表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
異世界とのファーストコンタクト
4/38

刺激の強い朝

 夜、8:23―――


 リンネは神殿の屋上で星空を眺めていた。夜空には綺麗な星々が燦然と輝いている。


 その景色はとても美しく、とても綺麗だ。それはまるで、夜空のキャンパスに数多の黄金を散りばめたかのよう。


 そう、それは夜空のキャンパスだ。一枚の絵画のごとき美だ。


 「綺麗だ···」


 思わず呟くリンネ。すると、背後から誰かが近付く気配がした。


 「そう思わないか?クオン···」


 「こんな所で、身体に(さわ)るよ?」


 クオンは心配そうに毛布を片手にして、リンネに近寄る。しかし、リンネは僅かに寂しげな笑みを浮かべ、呟く様に答えた。


 「大丈夫だよ」


 「大丈夫じゃないよ。風邪(かぜ)を引くよ?」


 リンネの肩に毛布を掛け、クオンは尚も心配そうに言った。しかし、それでもリンネは首を横に振ってそれに答える。


 「大丈夫さ、俺はこれでも普通じゃないからね」


 「···それは、どういう事?」


 「そのままの意味さ···」


 それだけ言って、リンネは黙り込んでしまった。クオンはそんなリンネの肩にそっと寄り掛かって言った。


 「そんな事は無いよ。もっと自分の事を信じなよ···」


 「············」


 その何処までも優しい言葉に、リンネは僅かに悲しい気持ちになった。


 ·········


 「············」


 「すぅ-···すぅ-···」


 現在、朝の7:30―――


 リンネはクオンに抱き付かれて寝ている。


 ···もちろん、やましい事など何も無かった。昨夜は確かに別々の布団で寝た筈だ。それなのに、今朝起きたら一緒の布団で寝ていたのだ。


 ()せない!!


 「······いや、何故?」


 「ん~~~っ······、すぅ-···」


 クオンは相変わらず、(やす)らかな寝息をたてて寝ている。


 ぎゅっ···。豊かな胸の膨らみが、リンネの身体に押し付けられる。


 思わず、リンネの胸がドキッと高鳴った。


 リンネとて男だ。人並みに性欲だってある。クオンくらい可愛い少女を相手にドキドキする事くらい当然ある。


 「っ、クオン!?クオン!!」


 「······んっ、すぅ-···っ」


 慌てて呼び掛けるも、クオンは尚も安らかに寝息をたてる。


 「···············」


 その安らかな寝顔にリンネは溜息を一つ吐き、そのまま二度寝に入った。


 「············んっ、リンネ···」


 ぼんやりとした意識の中、リンネは名を呼ばれた気がした。


 ·········


 朝、8:52―――


 リンネとクオンは黙々と朝食を食べていた。献立は山菜をメインに、薄めのスープと玄米のご飯だった。中々美味しい。


 「どうかな、美味しい?」


 「······ああ、美味しいよ」


 「······むうっ、反応が淡白」


 「···············」


 不満げに頬を膨らませるクオンに、リンネは黙り込んだ。


 黙々と朝食を食べるリンネ。すると、クオンは何か名案(みょうあん)を思い付いたような顔をして頷いた。


 「······ねえ、リンネ?」


 「っ!?」


 クオンはリンネの傍へとすり寄り、そっと身体を寄り添わせてきた。


 この思わぬ行動に、リンネはドキッと胸を高鳴らせる。


 「リンネ······っ」


 「ク、クオン···!?」


 包み込むように、クオンはリンネを抱き寄せる。顔と顔がかなり近い。


 互いの呼吸の音や心音すらも、解る。


 不味い。これは非常に不味い。心音が高鳴る。冷や汗が頬を伝う。


 「リンネ······」


 「っ、クオン···」


 限界―――そう思った瞬間、ドンドンと戸を叩く音が聞こえた。


 「巫女様!!巫女様は()られますかっ!!!」


 男性の声が聞こえてきた。その声はかなり(あせ)っているようだ。


 クオンは溜息を一つ吐いて言った。


 「残念、続きはまた今度だね···」


 「············」


 いそいそと去って行くクオンに、リンネはこっそりと思った。


 ―――た、助かったっ!!


 リンネは一人きりの部屋で、こっそりと溜息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ