異世界創世記
殺す・・・
何の為に?全ての復讐の為に。もう、それしか道は無いから。
殺す・・・
誰の為に?失った全ての者達の為に。それしか、皆に償えるモノが無いから。
殺す・・・
もう、それしか方法は無い。俺は、こいつを殺さなくてはならない。殺さなければならない。それでなければもはや、失った皆に合わせる顔が無い。もう、俺にはそれ以外の道が残されてはいないんだ。
だから・・・
「殺す殺す殺す・・・。死ねええええええええええええええええええええええええっっ‼‼‼」
ただ、俺は全霊を籠めて。その一撃に全ての憤怒と憎悪を籠めて解き放った。それは、俺自身が耐え切れる限界を超過していると知りながら。それでも俺はそれを解き放つ。
皆に、他でもない俺達の私利私欲の為に生み出してしまったバケモノに詫びる為に。他でもない自分自身への怒りと憎しみを籠めて。最後の一撃を放つ。
彼は、俺達が生み出したバケモノは。それを前にして、ただ悲しげに笑っていた。
・・・まるで、全てを理解したかのように。
・・・・・・・・・
ヨルムンガンドの・・・。いや、それを取り込んだ彼の膨大なエネルギーを取り込んだ結果、リンネはその想い全てを理解した。彼は、黒河辰巳本当は全てを後悔していたのだ。
リンネという人造の神を生み出した事。生み出した命を私利私欲で弄び続けた事。その為に、亡くした全ての友人や彼女や仲間達の事を。全てを後悔していたのだ。
その為に、全てを償う為に、辰巳に残されたのは復讐という名の自滅でしかなかった。
そう、辰巳は復讐の末に自滅する事で全てに対して詫びようとしているのだ。
だから。それを知ったリンネは———
「ごめん」
一言、謝った。
そうして、彼の全霊の一撃はリンネの放った創世のエネルギーにより掻き消えた。




