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人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
異世界創世記
34/38

星の大蛇神

 リンネは一瞬の内に術式を展開し、クオンとタマモとレイを異次元に隔離(かくり)した。自然、虚無の空間にはリンネとヨルムンガンドの二者のみが残る。一瞬、クオンの悲しげな顔が(よぎ)るが思考を切る。


 今は、そんな事を考えている暇など無い。


「死ね!」


 ヨルムンガンドは静かにその()をリンネに向けた。瞬間、宇宙開闢にも等しい威力の極光の熱線がリンネに向かい伸びてくる。まともに食らえば、たとえ人造(じんぞう)の神と言えども魂すら消し飛ぶ威力がある。


 これは拙い。そう思い、転移(てんい)の術式を脳内で組む。しかし、そんな事は当然あのヨルムンガンドが許す筈も無いだろう。輝く黄金の鎖が、周囲の空間から伸びてリンネを拘束(こうそく)する。


 鎖にはどうやら無力化と拘束の能力が宿っているようで、脱出が出来ない。


 引きちぎる事も不可能。死が、すぐ(そば)に迫る。


 拙い。避けられない、そして(ふせ)げない。そのまま、成す術もなく熱線に呑み込まれていく。


「分身、だな・・・」


 そう呟くと、ヨルムンガンドは自身の背後に向けて腕を()ぎ払った。薙ぎ払った腕を、リンネは極光の剣で辛うじて受け止める。リンネに、(きず)一つ無い。


 ・・・そう、先程熱線に呑まれたのはリンネの分身体(ぶんしんたい)だ。いや、分身体よりも能力としてはより高位の力になるだろう。名付けるなら、並列体(へいれつたい)か・・・


「っ、ぐ・・・」


 極光の剣を持つ手に、全力で力を籠める。しかし、微動だにしない。それも当然の話だ。大蛇神ヨルムンガンドとは本来、神々よりも高位の存在なのだから・・・


 神々すら滅ぼし、世界に終焉(おわり)をもたらす者。それが、星の蛇神(じゃしん)ヨルムンガンドだ。


 先程の極光の熱線も、ヨルムンガンドにとって大した力では無い。たかが、ビッグバンに等しい熱量をぶつけたに過ぎない。所詮、ヨルムンガンドにとっては大した事の無い一撃だ。


 ・・・つまり、本気はそれ以上という事だ。


(ほろ)びろ・・・」


 その一撃は、ビッグバンのおよそ千倍にも匹敵する。只の腕の一振り、それだけであらゆる防御を貫通してリンネの身体を薙ぎ払った。人造神たるリンネの身体を薙ぎ払い、虚無(きょむ)の空間を駆け抜ける。


 宇宙(うちゅう)を千回は薙ぎ払うだろう一撃。しかし、リンネはそれを身体が薙ぎ払われた瞬間に、既に再生完了させる事で何とか事なきを得た。その再生能力は、もはや神域(しんいき)すらも超えている。


 しかし、リンネが其処に思考を()く余地など無い。ありはしない。


 ヨルムンガンドは深い憎悪(ぞうお)の籠もった瞳で、リンネを見下ろす。そのあまりの憎悪の深度に、リンネの背筋に寒気が奔る。しかし、考えている暇など無い。


「これが、星の蛇神・・・か」


 リンネは、戦慄(せんりつ)と共に呟いた。

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