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人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
異世界創世記
33/38

全ての終わりのプロローグ

 リンネは崩壊した神殿(しんでん)の瓦礫を必死にかき分けていた。木材を退けた時に手に刺さり血が出る。しかしそれでも彼は瓦礫(がれき)を退け続ける。その下に、居る筈の二人を探して・・・


「くそっ、何処(どこ)だ・・・。母さん、タマモっ。何処だっ!()たら返事をしろっ!」


「リンネ!それ以上したら、リンネの手がっ‼血がっ‼」


 クオンが止めるが、それを気に留める事も無く瓦礫を退け続ける。今のリンネには、そんな事など全てどうでも良い事なのだ。故に、気にしない。


 手が血だらけになっても、それでも彼は瓦礫を退け続ける。(あせ)りが、心を支配する。と、その時瓦礫の奥から何かが動くのを見た気がした。慌ててリンネは瓦礫を退ける。


 手から血がしぶくが、そんな事などどうでも良い。心底どうでも良い。


 其処に居たのは、深手を負ったレイとタマモだった。二人とも、息はあるが(ひど)い怪我だった。それを見てクオンとリンネは思わず息を()んだ。心の底から、動揺(どうよう)した。


 レイはかろうじて意識はあったが、タマモの方は意識を失っていた。かなり(まず)い状態だ。


 早急に医者に見せねば、命に係わるだろう。それ程に、重傷だった。


「リ・・・ンネ・・・・・・」


「母さん。くそっ、早く医者に・・・」


「私とタマモは大丈夫・・・。それより、貴方達はさっさと()げなさい」


「それは・・・」


 リンネは思わず言葉に()まる。


 リンネがためらうのも無理は無いだろう。彼は今、状況を理解出来ていない。それに、リンネにはレイやタマモを置いて逃げるような真似(まね)は出来ないだろう。それ程に、彼にとって大切な存在なのだ。


 それに、もう逃げている(ひま)も無い。もう、崩壊(ほうかい)はすぐ傍に来ていた。


「ちっ、もう遅いか・・・」


「っ、あれは・・・・・・」


 空間に、亀裂(きれつ)が走った。そう感じた直後には既に、もう遅かった。


 見ると、空間全体にヒビが入っていた。その空間亀裂は世界全土に、そして宇宙全土にまで広がりそして脆くも崩れてゆく。そう、世界の崩壊だ。


 世界の崩壊はやがてこの宇宙の最果(さいは)てにまで到達し、儚くも(くだ)け散った。


 世界が崩壊した後、何も無くなった虚無(きょむ)。其処に、一人の男が立っていた。その男は、神無月リンネを見下ろし憎悪の視線を向けている。黒河辰巳だ。


 しかし、彼はもはや人間ではない。彼は既に、人間を()めてしまっている。


 其処に居たのは、全身を(へび)の鱗で覆われた白髪に深紅の瞳をした蛇神だ。彼は、大蛇神ヨルムンガンドを取り込んで自らが大蛇神へとなり()わったのだ。故に、彼は既に黒河辰巳ですらない。


 そう。其処に居たのは、大蛇神(だいじゃしん)ヨルムンガンドだった・・・

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