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人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
芽生える想い
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最悪の事態

 星蛇神殿(ほしへびしんでん)。その境内でクオンは右へ左へ行ったり来たりを繰り返していた。実に落ち着きがない。


 しかし、クオンはリンネを心底から心配しているのだ。何故なら今回の相手は竜王(りゅうおう)エル、原初の魔物であり神にも等しき竜種の王だ。例え、人造神であるリンネであろうと容易(たやす)い相手ではないだろう。


「・・・・・・ねえ、リンネはまだ帰ってこないの?」


「クオン、そんなに(あわ)てずともきっとリンネは帰ってきますよ・・・・・・」


 そんなクオンを必死に(なだ)めるのはタマモだ。神殿の境内を右往左往するクオンの姿に、思わず苦笑を浮かべるがやはりタマモとて心配ではある。どうか、無事に帰ってきて欲しいとそう願った。


 しかし・・・その隣でレイが思案するような顔で(うな)っていた。その顔には、僅かな怪訝が。


「・・・・・・やはり、どうも嫌な予感がするわね」


「・・・あの、それはどういう意味ですか?」


 タマモがそう訊ねると、レイは思案した様子のまま答えた。


「いえ、貴方の時もそうだったけど。この一件も何者かが背後で暗躍(あんやく)している可能性が高いのよ」


「それは・・・・・・」


 タマモは一瞬言葉に()まる。しかし、それでも首を左右に振り何とかそれを言葉にした。


 ・・・本当は、そんな事考えたくもなかったが。


「・・・それは、リンネが無事に帰ってこないかもしれないと?」


「っ⁉」


 その言葉に、思わずクオンはびくっと肩を(ふる)わせた。今にも泣きそうな顔で、二人の顔を見る。しかしそれでもタマモはレイの顔を真っ直ぐ見詰めたまま、視線を離さない。じっと答えるのを待つ。


 しばらく考えていたレイだったが、やがて首を左右に振る。


「まあ、考えても仕方がないわね。無事に帰ってくる事を(いの)りましょう・・・」


 ・・・と、そう言った直後の事。遥か遠方から天地に轟く咆哮(ほうこう)が響いた。


「ギイイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!」


「「「っっ!!?」」」


 その咆哮に思わずクオン達は勢い振り向く。遥か遠方、空を飛んで此方に向かってくる影がある。


 その影は、まさしく竜王エルの物だ。その姿に、全員が戦慄(せんりつ)した。


「・・・・・・まさか、竜王エル?」


「そんな馬鹿な・・・、リンネが敗北(はいぼく)したと・・・?」


「・・・・・・リンネ」


 やがて、竜王エルは神殿の境内に()り立ち、そしてその背に乗せた何かをそっと丁寧に降ろす。それは先程まで話の議題になっていたリンネだった。リンネはぐったりしたまま、ぴくりとも動かない。


 その姿に、クオン達は思わず悲鳴を上げそうになった。リンネは血に(まみ)れて赤く染まっていた。


 その悲惨な姿に、レイとタマモは絶望の表情を浮かべて硬直(こうちょく)した。


「っ、リンネ!!!」


 クオンが真っ先に飛び出し、リンネに飛び付く。しかし、リンネは反応しない。


 事態は最悪(さいあく)の方向へと進んでいった・・・

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