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人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
芽生える想い
20/38

激戦開幕

「ギイイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!」


 世界を震撼(しんかん)させる咆哮(ほうこう)が響き渡った。その咆哮だけで、天も地も揺れ動く。


 竜王エル。その口内に膨大なエネルギーが収束される。これは(まず)い。そう思ったリンネは即座に最大出力の結界を展開する。この世界に来て、初めての本気の力の行使だ。


 瞬間、眩いばかりの閃光が視界を覆う。同時に結界が大きく(きし)みを上げる。竜王が放つ全力全開のドラゴンブレスである。その出力は、軽く世界を千回焼き尽くす威力がある。


 惑星など、一撃で容易く砕け散る威力はある。明らかにただ一人に向けて撃つ技ではない。


 あまりの高出力な威力に、リンネは思わず冷や汗を流す。生まれて初めてだ。リンネは生まれて初めて対等の敵を目前にした実感が湧いた。そう、こいつは敵だ。対等な敵だ。


 故に、リンネも生涯初めての全力の力を行使した。


「うううあああああああああああああああああああああっっ!!!!!!」


「ギイイイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!」


 このまま力づくでこのエネルギーを防ぎきろうとすれば、恐らく余波で世界(ほし)が砕けてしまう。そう理解したリンネは急遽(きゅうきょ)ドラゴンブレスを遥か上空に流す事にした。故、少し力を上にずらす。


 瞬間、ドラゴンブレスは上空へと軌道を逸らし、遥か宇宙の彼方(かなた)まで飛んで行った。


 ・・・恐らく、今の一撃で幾つか惑星(わくせい)が砕け散っただろう。それ程の大出力。馬鹿げた威力だ。


 しかし、次の瞬間竜王は更に口内へエネルギーを収束させてゆく。恐らくは先程の軽く倍はある。


 そのあまりに高密度なエネルギーの塊に、周囲の次元(じげん)が大きく歪んで特異な重力異常を起こす。ソレにより竜王の周辺一帯の地盤が陥没していく。かなり拙いだろう。リンネはそれを理解した。


「おいおい、マジかよ・・・・・・」


 リンネは口元が引き攣るのを抑え切れなかった。どうやら、一筋縄ではいかないらしい。


 戦いは更に激化(げきか)していく。


 ・・・・・・・・・


 その頃、竜王エルと人造神リンネが戦っている最中の事。


 その光景を遠く離れた場所から(なが)めている者が居た。その者は、顔に暗い愉悦(ゆえつ)を浮かべている。


 この世界に存在しない筈のスナイパーライフルを背に負った、謎の男。よく見れば、その男が着ている衣服もこの世界に存在しない筈の物だ。つまり、異世界人。


「・・・・・・神無月(かんなづき)、リンネ・・・」


 リンネの名を呟いた。その者の表情は名状しがたいモノだった。例えて言うなら、憎悪だろうか?


 そして、竜王とリンネの戦いは更に激化していく。

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