表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人造神の異世界創世記  作者: ネツアッハ=ソフ
芽生える想い
18/38

竜王の巣

 クオンに告白してから約一ヶ月・・・星蛇(ほしへび)神殿にて、リンネとクオンはいちゃいちゃしていた。


 それからの日々は、二人にとって(しあわ)せな毎日だった。とても甘い日々だったと言える。リンネもクオンも二人共幸せだった。レイとタマモも、そんな二人を暖かい視線で見ていた。


 レイはとても嬉しそうに二人を見ていたし、タマモはとても興味深そうに見ていた。


 こんな日々が、何時(いつ)までも続けば良いと思っていた。何時までも続いて欲しいと願っていた。


 しかし、そんなある日の事。幸せな日々は、早朝の慌ただしいノックの音で終わりを迎える。何時もよりかなり慌てた様子で、村長のマーカスが訪ねてきた。その表情は、恐怖に満ちている。


 一体何があったのだろうか?とりあえず、中に入れる。神殿の中に入れて、お茶をすすめる。


 マーカスはお茶をぐっと飲み干し、何とか一息吐いた。


 「えっと、マーカスさん?一体何があったんだ?」


 「あ、ああ・・・。実は、最近竜王(りゅうおう)の巣から竜王のエルが出てきて暴れまわっているんだ」


 竜王?と、リンネが首を傾げる。クオンがそれに補足(ほそく)を入れる。


 「竜王エル。神に等しいとされる原初(げんしょ)の魔物だよ。比較的に大人しい性格で、自らの巣から出た事なんて一度も無い筈なんだけど・・・」


 「その竜王が、何故暴れまわるんだ・・・?」


 「・・・・・・・・・・・・」


 リンネがマーカスの方を見て問い掛ける。しかし、彼は黙って首を横に振る。どうやら彼にも其処は全く知らないらしい。理由は不明。いきなりきな臭くなってきた。一言で言うと、怪しい空気か。


 どろりとした生暖かい空気が、リンネの背筋を這う。何とも不気味(ぶきみ)な空気だ。


 「・・・まあ、とりあえず様子でも見ない限りは何も解らないか」


 「っ、リンネ・・・・・・」


 クオンが心配そうな瞳で、リンネを見てくる。実際、心配しているのだろう。その瞳は、リンネを見詰めたまま潤んでいる。そんな彼女を見ると、リンネは胸が苦しくなってくる。


 本当は、クオンの(そば)にいてやりたい。クオンを心配させたくなんかない。ずっとクオンの傍に寄り添いたいとそう思っている。しかし・・・それは、出来なかった。


 リンネはそっと、クオンを抱き締めた。抱き締めて、彼女の耳元でそっと大丈夫と囁く。


 「大丈夫、俺は必ず生きてクオンの(もと)に帰ってくるから・・・。クオンは俺の帰りを待ってくれ」


 「うん・・・。信じてるから、必ず帰ってきて・・・・・・」


 必ず、私の許に帰ってきてとクオンはそう(つぶや)く。


 そう言って、リンネの背に腕を回した。その瞳は、不安に()れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ