告白
大空から世界を眺めながら、リンネは覚悟を決めた。クオンに想いを伝えようと。
リンネはクオンの肩を抱く力を強める。
「クオン・・・」
「うん?何———」
クオンの言葉が不自然に途切れた。リンネとクオンの距離が、一瞬で零になる。クオンの目が、驚愕に大きく見開かれる。クオンのすぐ目の前に、リンネの顔がある。
一瞬、クオンの思考が真っ白にクリアになった・・・
クオンは混乱する。混乱して、やがて状況を理解すると顔を真っ赤に染めた。
「っ⁉っっ!!?」
リンネが、クオンの唇を奪ったのだ。僅かに抵抗を試みるが、この体勢じゃ上手く力が入らない。
当然だ。此処は大空の上で、今クオンはリンネに抱えられているのだから。
唇を重ねるだけの、軽いキス。それでも、クオンは脳がとろけるような感覚に襲われた。しばらくしてクオンの身体から抵抗する力が消えた。クオンも、リンネに身を委ねるように唇を重ねる。
周囲が、二人だけの世界に変貌する。真っ白な、純粋な空間に変わる。
しばらく、ついばむようにひたすらキスをする二人。その姿は、とても情熱的だ。
やがて、リンネが唇を離す。クオンが、とろんとした目でリンネを見詰める。
「クオン・・・」
「リンネ・・・・・・」
リンネとクオンの視線が交わる。その視線は、とても熱っぽい。とても情熱的な視線だ。
その視線は、二人の想いを如実に表している。曰く、その想いは情熱的なまでの恋と愛だ。
やがて、リンネがその想いを告白した。
「クオン、俺はお前の事が好きだ。きっと、初めて会った時から大好きだった」
「・・・・・・うん」
「愛している。俺と結婚して欲しい」
「っ、うん‼」
そう言い、再びリンネとクオンは唇を重ね合わせた。場所は高度四千メートル、リンネとクオンは大空から世界を見下ろしながらその想いを通わせる。二人を邪魔する者は、一人も居ない。
故に、二人の愛は何処までも高まり合う。文字通り、天井知らずだ。
澄み渡る大空で、二人はついばむようにキスを交わした。それは、クオンにとってリンネからの最高のプレゼントだった。クオンの目から、一筋の涙が流れ落ちる。抱き合う力が、より強くなる。
この日、クオンにとって忘れられない最高の思い出が出来た。
・・・・・・・・・
同時刻、星蛇神殿で・・・神無月レイは何かを感じ取った。その目を鋭く細める。
「む?何か、決定的な瞬間を見逃したような気分かしら?」
「はい?何を言っているのですか?」
タマモは理解出来ず、首を傾げた。どうやら、神無月レイのアンテナは絶好調のようだ。