色々刺激的すぎるデート
その日、村では何時もより大きなどよめきに包まれていた。ある意味大妖狐が襲撃してきた時よりも大きなどよめきに包まれていた。その中心には、リンネとクオンの二人が居る。
ある意味、村人にはとても衝撃的な光景だった。
「・・・・・・えっと、これ・・・予想以上に恥ずかしいのだが?」
「わ、私だって恥ずかしい・・・よ・・・・・・?」
バカップルが居た。そう、バカップルが居たのだ。主に、巫女であるクオンがリンネの腕に抱き付いてその身体とか胸だとかを押し付け、いちゃいちゃと村を歩いている。うん、普通に目立つ。
目立つし、とても恥ずかしい。恥ずかしくて、二人とも赤面する。
リンネは何だか歩きづらいなーっと、若干現実逃避をして目線を逸らした。二人とも、顔を真っ赤に染めて歩いている姿は初々しくて、尚且つかなり甘ったるい。村人は今にも砂糖を吐きそうだ。
「ねえ父ちゃん。巫女さま、一体何してんの?」
「息子よ、あれは見て見ぬふりをするのが正解だぞ?」
何だか、親子とおぼしき二人が何かを放している。不自然に、その言葉が心を穿つ。
リンネとクオンは、共に赤面してそそくさとその場を去る。うん、くっそ恥ずかしい。二人とも今にも顔から火が噴きそうな勢いである。いや、出ないけど?出るわけないじゃん。
・・・とまあ、さておき。
リンネとクオンは二人揃って村を出ていった。流石に、これ以上此処に居たら恥ずかしさだけで死ねる自身があると思う。リンネはそう思う。
村から出て、やがてクオンはふと聞いた。
「ねえ、リンネ?これからどうしようか?」
「ああ、そうだな・・・・・・」
少し考え込むリンネ。やがて、リンネはふと思いつきそれを実行した。
それは・・・
「え?きゃっ!!」
クオンが軽く悲鳴を上げる。リンネがクオンを横抱きに抱えたからだ。俗に言う、お姫様抱っこ。
「しっかり摑まってろ?でないと落ちるからな?」
「え?え?落ちるって何?」
クオンが軽く混乱するが、リンネはそれに答えない。そのまま、空に浮かび上がった。
「え?ええ?ええええええええええええええ!!!???」
クオンが、驚きのあまり絶叫する。まあ、当然だな。そう、リンネは思った。思って、苦笑した。
しかし・・・
その驚きの表情は雲の上、更にその上空に昇った時には別の驚きに変わっていた。
「・・・・・・・・・・・・うわぁっ」
それは、余りに綺麗な景色だった。絶景だった。世界を空から見渡すと、とても綺麗な物だ。リンネは確かにそう思うから。だから、クオンにそれを見せたかった。
普通、此処まで急激に高度を上昇させると、高山病を発症する危険性がある。しかし、それをリンネは無理矢理気圧とかもろもろを操って何とかして見せた。故に、どうという事もない。
そして、リンネはクオンにこう言って見せた。
「ようこそ、空の旅へ」