あっさり片付くバトル
リンネ達が村に着くと、其処には一匹の狐獣人が居た。着物に似た衣服を大胆にも着崩して、頭部と腰部から狐耳と尻尾を生やしている。その手にはバチバチと雷電を放つ硬鞭が握られている。
恐らく、この狐獣人が大妖狐なのだろう。大妖狐は真っ直ぐにリンネを睨み付けてくると、低く鋭い声で問い掛けてきた。
「······お前が、神無月リンネだな?」
「ああ、その通りだ」
瞬間、激しい雷撃がリンネを撃ち抜き、彼の身体を瞬時に炭化させた。
余りにも激しい雷撃。例え、鋼鉄であっても瞬時に形を失い融解するであろう超高温かつ高威力の雷電だ。
誰もがリンネの即死を疑わなかった。大妖狐ですら、全く疑わなかったに違いないだろう。クオンの悲鳴が辺りに響き渡る。誰もが絶望の表情を浮かべて硬直する。
···しかし。
「お前、一体何処を見ている?」
「っ!?」
大妖狐がぎょっとして振り返る。直後、彼女の意識は暗転した。リンネが彼女の意識を操り暗転させたのだ。
リンネは軽く息を吐き、直後にクオンのタックルを受ける。
「リンネっ!!!」
「ごふっ!!!」
思わぬ衝撃に、リンネは呻く。しかし、クオンはそれに構う事なくリンネの身体をあちらこちら触りまくった。
「ち、ちょっ···。ク、クオン······?」
「リンネ、大丈夫?さっき雷に打たれたけど、何処も怪我は無い?」
「だ、大丈夫だから。俺は平気だからっ!!!」
クオンに身体中をまさぐられ、リンネは激しく動揺する。その光景を周囲の人達はそれぞれ様々な視線を向けていた。