神無月レイ
「・・・・・・・・・・・・えーっと?」
神殿に戻ってきたクオンは呆然と立ち尽くしていた。よく事情が呑み込めないという表情だ。
・・・それもその筈。何故なら現在、クオンの目の前には知らない女性がくつろいでいたからだ。
「あ、お帰りなさい。貴女がクオンね?」
「え?あ・・・はい。えっと、貴女はどなたですか?何故、私の名前を?」
戸惑うクオンを尻目に、女性はクオンを見て顔をほころばせる。若干、その瞳には危険な光が。
「可愛いわ~。うん、やっぱりあの子の選んだ子ね。こんな子にお母さんって呼ばれたいわ~」
「え?ええ???」
クオンはもう訳が解らない。目を白黒させてどう反応して良いのかと判断に困っていると、其処に丁度よくリンネが帰宅したのだった。
「・・・えっと、ただいま?」
「あら、リンネ。お帰りなさい」
唐突に聞こえてきた女性の声に、リンネは目を見開いた。というか、素で驚いた。というか、驚かずにはいられなかったのだが。
その瞳は、何故此処にこの女性がいるのかと問うている。
「・・・・・・か、お母さん?」
「え⁉お母さん!!?」
「はーいっ、お母さん!!!」
リンネの義母、神無月レイが現れたのだった。
・・・・・・・・・
現在、リンネとクオンとレイの三人は広間に居た。レイはにこにこととても良い笑顔で、クオンはがちがちに緊張して、そしてリンネはそんな二人に頭を抱えていた。
「えっと、クオン。この人が俺の義母の神無月レイ。お母さん、この娘がクオンだよ」
「よ、よろしくお願いします・・・」
リンネはとりあえず、簡潔に紹介をした。クオンはさっきからがちがちに緊張している。緊張しながらもレイに頭を下げる。
対するレイはにこにこと良い笑顔だ。
「知っているわ。この娘が、リンネの気になっている娘でしょう?」
「っ、ちょっ!!!」
「・・・・・・え?」
その言葉にリンネは慌てた表情で母を見る。逆に、クオンは期待の籠もった表情でリンネを見た。
そんな二人に、相変わらずレイはにこにこと笑っている。
「ふふっ、リンネにこんな可愛い彼女が出来て私も嬉しいわ」
「ちょっ、彼女って・・・・・・」
「あら、違うの?」
「僕達はまだ、そんな関係じゃ・・・・・・」
言い掛けて、思わずそっぽを向くリンネ。そんなリンネにクオンは顔を真っ赤にしながらも嬉しそうな様子で笑うのだった。そんな二人を見て、レイは思う。
(・・・うん、これは脈ありね♪)
リンネとクオンは顔を真っ赤にしながら、ちらちらと互いの顔を見ている。そんな二人に、レイは静かに笑みを浮かべるのだった。
この日、神殿に新たな人物が増えた。
(・∀・)ニヤニヤ