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その3 3パート

 そこはまるで、いつも二人でいつもおしゃべりをしている車折神社そのものの様な場所だった。

ただ、今の神社とは決定的に違うのは、「寂れた感覚が無い」のである。

また時代の感覚も違っていた。一言で大昔と言えばそうかも知れないが、そうでもない。

いずれにしても不思議な空間が僕の目の回りに見えているのは確かだった。

そんな建物の中を見ると、一人の人物を八人の人間がぐるりと円をなすような形で座っており服装も和装・洋服・中華風と色々であった。また年・風貌もみんなバラバラで老若男女問わずという構成でもある。

「主上、そろそろお時間でございまする」

「そうじゃな、始めるとしようかの」

中心の人物が話しを始めた。

顔までは見ることが出来なかったが、声を聞く限りはかなり若い男性の声であった。

「今日集まって貰ったのは他でもない。そろそろ皆も、代変わりしてもらわないといけない時になってきたようじゃのぅ」

一番中心にいる人物が口火を切る。

「たしかに。主上の生命は永遠ですが、それをお守りする我々の寿命は有限ですからのぉ」

周りを囲む人物の一人が答えた。

他の七人も同様に同意しているという感じで有った。

「では、桜花よ。まずそちが一番最初に人界に降りて準備をしてくれぬか?」

と中心の人物が命令を下す。

「拝命いたします、主上。では人界に行って役目果たして参ります」

とお辞儀をして顔をあげると…

そこにいるのは桜花そっくりの女性ではないか?


 蘇って来る様な感覚が途切れた瞬間、桜花は目を覚ました。

「大丈夫か?桜花!」僕は桜花に呼びかける。

「ああ…倒れてしもたかぁ…うちの正体知られたみたいやなぁ」

弱々しい声で桜花は答えた。

「今のは何?」つい今「見えた」景色について質問してみる。

「あれがうちの正体や。信じられへんやろけど、うちは人間やあらへん」

「人間じゃ無いって…」

「うちはあの神社を守る八体有る狛犬の一人なんよ」

確かに神社には四対・計八体の狛犬が有る。

「うちらの寿命って有限でなぁ。子孫を残さんと神社を守って行けへんのよ。そこで人界に降りてきて子孫を作るんよ」

「そんな話信じろって言われても…」

正直困惑するしか仕方がなかった、何しろいきなり「自分の本当の姿は狛犬です」と言われても信じられる訳がない。

「そりゃ、そうやろなぁ。うちも、こんなに早くこの話をするなんて思ってへんだし…」

「思ってへんだしって…言い方が何かおかしいような…」

「そうや、第一何もかも上手く行きすぎていると思わへんか?いきなり活発な女の子が現れて男の子の事を色々強引に引っ張っていく。そして男の子が段々成長していくし女の子との関係も良くなっていく…まるで何かのアニメか小説みたいな展開やと思うやろ?」

確かに、そう言われると何もかもが唐突に展開している様にも思える。

出会い・日常・アトリエ・デート…

さらに今までの会話を考えると桜花の生い立ちも聞いた記憶がない…

「確かに…」これが僕の精一杯の返答だ。

「そして、うちが子孫をつくるのに「この人がいい」って決めたのが亮太郎やったんよ。だから今正体を明かすとは「思ってなかった」という言い方はが正しいんよ。」

「何か…話がとても強引な様な気がするんだけど…」

僕は困惑の表情しか浮かべられなかった。

「まあ、いいねん。ぼちぼちこの事は話して行くさかいに…」

「さかいに?」

「こんな変なこと言うたり、亮太郎を困らせたりするのが大好きな女の子やけれども、これからも一緒にいてくれるか?」

「それは…」

「それは?」


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