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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第97話


「……んで?その国のトップ二人共が、疑うとこもせずに、あの怪しさ爆発している通信まるごと信じちゃったのか?マジで?」


『ええ、その様です』


「……マジかぁ……」


そう呟きながら、今まで座っていた椅子の背凭れに体重を預けると、ギシリと音を立てて軋みを上げる。


先日行った作戦の結果を、首都に潜入させたままにしていたハサンに調べさせ、それを報告させていたのだが、思わぬ方向へと舵が切られていた様だ。

……いや、だってさ?

これまで音沙汰無かった侵攻部隊から急に連絡が入って、いきなり人員を送る何て言う、それこそ怪しい匂いがプンプンしている様な情報が来たのであれば、普通はいぶかしむか裏を取ろうとするモノじゃあ無いのかね?


俺としては怪しみ、いぶかしんで貰い、相手さんの思考が混乱する、又は停滞した際の隙を狙い、これでもか!と厭らしさ満載の『あの手』『この手』で撹乱しつつ、こちらの手札の一枚である『空間転移魔法』を最大限活用し、多少回りくどくても確実に首都を陥落させる事を狙っていたので、そのため第一手としての偽通信(魔道具自体は本人の死体から入手、通信の際は従者だと偽装)だったのだけど、まさかの相手さんが全面的に信用してくれちゃっているので、今後の作戦展開については、考え直す必要が有るかも知れないかなぁ……。


何せ、疑われる事前提で、色々と考えていたモノだから、『疑われずに信じられる』事を前提としたパターンを、あんまり考えていなかったんだよねぇ……。

どうしよう?


『……主様、自分が始末(・・)してきましょうか?』


自分が渡した情報で俺が長考状態に入ったからか、今だ『意志疎通』スキルによって通信状態が続いていたハサンが、そんな事を尋ねて来た。

恐らく、俺が考えていた筋書きから外れかけた事態になりそうだ、と言う事を察しての心使いなのだろうが、今それを『俺達』が殺ってしまうのはあまり宜しくないので、無言のまま『了承(殺って良し)』のサインが出たと勘違いされる前に、ハッキリ『no(殺るなよ?)』と返事を出しておく。

……フリじゃあ無いから、ガチで殺っちゃダメだからね?


『……了承しました、主様。しかし、今トップの二人を消してしまえば、ココ(首都)はソコソコの混乱が発生すると思われます。それに乗じて、主様が訓練を施された方々を送り込まれれば、回りくどい手を使わずとも、ほぼ確実に落としきる事が可能であるかと思われますが?』


おぉう、流石は暗殺者(殺し屋)潜入諜報員(スパイ)

効率的且つ合理的な考え方だのう。

そして、かなりの割合で現実的でもある。

……まぁ、確かに?ハサンの言う通りにすれば、ほとんど確定で首都は混乱の渦に叩き込まれるだろうし?それのタイミングを、こっちが現在進行形で仕掛けさせている複数の転移魔方陣の内の一つを急いで使用出来る様にした辺りに合わせれば、万事恙無く事を成し遂げる事が出来るだろう。何せ、こちらは幾らでも何時でも強襲可能。なのに、相手さんには、こっちが現れるまではどうやっても察知出来ないし、そもそも警戒する事すら出来ない、って言う、正に攻める側としては、夢の様な状態が再現出来てしまう訳だ。

多分、実行すれば、かなりの高確率でその通りになるのは、まず間違いは有るまい。

あまり俺に意見を言ったり、自分を表に出そうとしないハサンが言ってくるのも、納得出来るだけの勝算と成功率が望めるであろう事も、また間違いは無いのだろう。

……だけど、ぶっちゃけそれはやりたくない。

……いや、やっちゃいけない(・・・・・・・・)ってのが正しいかな?


『……何故でしょうか?理由をお聞きしても?』


……そう言えば、ハサン(こいつ)は自意識が確立してから、基本的に任務(潜入)ばかりやらせていたから、そこら辺の説明は詳しくしていなかったっけか?と思い出したので、これを期にこいつにも教えておくかね。


「良いか?ハサンよ。今俺達が関わっているコレ(・・)は、何処と何処が戦っている戦争だ?」


『……?ユグドラシルとノーセンティアでは無いのですか?』


「うん、その通り。じゃあ、その二国間での戦争に、あまり関係の無い、又は有ってもそんなに親密でない処ないし集団が関与又は武力での介入をするのは、当たり前の事か?」


『……いえ、基本的には関与しない事が当然かと思われます。もしくは、関与したとして物資等の支援をする程度が限界であるかと。例外としましては、その後に何かしらの報酬が確定していれば、介入までしてくる可能性は無くは無い、と言った程度でしょうか?』


……何だ、分かってるじゃあないか。


「なら俺達が、面倒臭かろうが、回りくどかろうが、直接的な武力介入をしない理由も、分かるだろう?」


『……それは、我々が分類上その『あまり関係の無い集団』に分類(カテゴライズ)されるからでしょうか?』


「まぁ、早い話がそう言うことさね。それに、(チミ)は忘れていないかね?効率だとか、勝算だとかを気にするのであれば、俺か幹部連、もしくはウチの部隊長達の誰かが一軍率いて出陣すれば、それで即座に何もかんも全てをお仕舞い(ゲームセット)にさせる事が簡単に出来るって事を、さ?」


そう、こいつ(ハサン)は後発組、つまり、対イストリア戦争以降に参入した連中の中でも、特に戦闘に関わらなかった口なので、俺達が直接戦っている場面を見たことが無いのだ。

恐らく、情報としては把握しているのだろうが、『ただ知っている』知識と『実際に見て・聞いて・体験した』経験とでは、圧倒的に後者の方が情報量が濃い(・・)のは、間違いは無いだろう。

そう言った経験が足りなかった故の見落としなのだろうが、ぶっちゃけると俺達の内の誰かが直接戦場に立てば、それだけで勝利は確定するのだ。……やらんけど。

俺を始めとした、本来の姿で全力を出したガルム、ウシュムさん等の魔物組ならば、単体で『国』(この世界の場合は『~領』丸ごと)を壊滅させる事は、簡単では無いにしろ出来てしまうし、詳しくは聞いていないから判断出来ないが、多分メフィストも可能だろう。

シルフィとウカさんはちょっとばっかし微妙(ウカさんは対多数特化で、シルフィはピンポイントでの暗殺や奇襲特化故)だが、まぁ頑張ればどうにか出来るんじゃないかな?って程度の能力と実力を持っている事は、間違いは無い。……残念な事に、レオーネはまだその域には、達していないけれど。精々、一人で一軍を相手取れる程度でしか無い。……まだ。

そして、ジャックやジェラルド等の上位アンデッド達は、配下のグール隊やゴーレム隊を付けてやれば、放って置いても、勝手に潰して来るだろう事は、割合と簡単に想像出来る。何せあいつら、いくら戦っても数が減らず、むしろ勝手に増えるから、俺でもあんまり相手にしたくは無いからねぇ。

……ドヴェルグとティーガ?

……ほら、二人共、まだ『人間』だから、ね?

シルフィやウカさんみたいに、もう『人間』辞めていたり、レオーネみたいに、地味に文字通りの『人外』に片足突っ込んでいる訳ではないから、ね?

それに、あの二人には、アルヴと一緒に色々と内政の事を任せている(以外な事に、ティーガに文官としての適性が有った)ので、あの三人はノーカンで良いんじゃないかな?


それらの情報を、多少面白おかしく、けれど脚色は一切せずに、まだ納得していなかった様子のハサンへと伝えて行く。

こちらの情報を一切渡さずに、相手との戦力分析何て出来るハズが無かったのに、それを怠ったのは明らかに、こちらのミスだったね。反省、反省っと。


「……って感じだ。分かったかね?」


『はい、理解致しました。しかし、一層の事本当にやってしまうのは、何故ダメなのでしょうか?』


……あちゃー、そう来たか。

どうする?詳しく説明してやるか?

……いや、何か面倒になって来たし、取り敢えず答えだけ教えておくとするかね。


「……ほら、何でもかんでも俺らが片付けてやっちゃうと、『何か起こればあいつら(俺達)に任せれば良いや』って成るからね?絶対。そうなると、ただただ面倒なだけだし、半ば以上俺達の処の属国って感じになっちゃうだろう?まだ(・・)建国すら(・・・・)していない(・・・・・)のに、属国何ていらないし、必要も無い。俺が欲しいのは、独自の文化や発展を遂げた隣国だからね。そうでないとつまらないだろう?」


そう返してやると、暫く唖然とした様な雰囲気が伝わってきたのだが、少しすると、奴にしては珍しく笑っている様な感じが、伝わってきたのだ。


『クフフ。成る程、流石は主様。そこまで深く、先の事まで考えておられたとは、自分には全く予想出来ていませんでした。感服致します』


……?はて?俺、そんな凄い事言ったっけか?

……まぁ、良いか?

特に悪い事が有るわけでも無さそうだし。


『それで、今回の作戦は、どの様に御運びになられるご予定でしょうか?僭越ながら、このハサン。主様のご用命であれば、どの様な事柄でも達成してご覧にいれます!』


「……そこなんだよねぇ……」


やべぇ、ちょっと忘れてた。

さて、どうしようか?


「……なぁ、ハサンや?何か良い手は無いモノかねぇ?」


『……良い手、ですか?フム……。現状を鑑みた上に、主様達の様な戦略級の戦力の使用が出来ない事を差し引いてですか……』


案外と酷い言い様だな!?おい!!


『……自分には、主様の様な優れた頭脳は無い様なので、確たる事は言えませんが、一層の事真っ正面から行ってみるのはどうでしょうか?』


……ん?

……いや、いや、流石にそれ、は……?

いや、待てよ?……案外と、それって……。


『……失礼しました。流石に安直過ぎ「それだ!」……へ?』


「それだよ!『真っ正面から』!良くやったハサン!!今回のコレが終わったら、報酬として欲しい物なら何でも渡すから、何か考えておいてくれ!じゃ、今回はこれで切るぞ!通信終了!」


ハサンの言葉によって天恵を得た俺は、他のメンバーとの会議を再度行うべく、急いで通信を終わらせる。

切るまでの間に


『……お褒めいただき、感謝の極みでございます……!』


と返信が入って居たけど、何だか大袈裟な奴だのう。

そんな風に思いながら、俺は『意志疎通』スキルによって、前回のメンバーへと連絡を入れ始めるのであった。




そして、その頃。

ハサンが潜入の為に成り代わっていた人物が、唐突に固まり、次の瞬間には、その場で身悶え出したので、周囲から変なモノを見る目で見られてしまったのだが、それは別の話。

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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