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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第94話

……まったく、ひどい目に合ったぜ……。

仕込みの結果を高見の見物と洒落混んで居たら、思わず溢れた独り言をメフィスト(どこぞの誰か)に聞かれていたらしく、作戦を終わらせて帰ってきた部隊長達にリークされ、全員から詰め寄られてしまったわぃ……。


まぁ、あの野郎(メフィスト)には、どのみち後で酷い目に(復讐)あってもらう(する)予定だから、覚悟だけはしておいて貰うとするかねぇ?



※尚、コレと同じタイミングで、某仮面の変態が何かを感じ取ったのか、背筋を凍えさせたる事になるだが、それはまた別のお話。



あ、『部隊長達に詰め寄られた』で思い出したけど、彼等からの集団お説教を、半ば無理矢理終わらせてから、今回の作戦での報酬をどうするかって話になったのだけど、その際に、第四部隊隊長のクズハさんからは


『際立った功績を残した者を、誉めて上げて欲しい』


と要請が有った上に、隊長のクズハさんが報告等で俺に会いに来るときに、以前から良く一緒に連れて(付いて?)来ていた猫系の獣人の女性を、ついでにと紹介されたんだけど、俺が見ていた限りだと、第四部隊で一番ハッスル(意味深)していた人の特徴と良く似ている(猫耳・フサフサで立派な尻尾・女性)な~、なんて思っていたら、どうやらドンピシャでご本人様だったらしい。


今回紹介された時の名前等の特徴と、訓練開始時の身元調査等の情報を思い出しながら照らし合わせて見ると、確かこのメイって娘、元々このユグドラシル出身で、浚われて無理矢理に奴隷にされた経歴が有り、イストリアで俺が色々とやらかした時に解放された口であり、生国へと帰る事を選択した人達の一人だったらしいね。

ユグドラシルへと帰還した後は、俺達が来るまでは普通に暮らしていたらしいのだけど、この国に俺が来たこと、人族と戦いが起きる事がほぼ確定している事、俺がこの国を救おうとしていること(注・違います)、そんな俺が人員を募集していることを聞き、訓練兵として応募したのだったかな?


……うん、訓練開始の時からなんとなく見た覚えの有る顔だなぁ~、とか、他の教官とかが居ても、割りと俺に話し掛けて来るな~、だとか思っては居たけど、まさかそんな経歴の持ち主だったとは……。


……いや、ね?

似たような事をイストリアだけでも、何件かやらかしているもんだから、ね?

助けた人達の、一人一人まで、細かく覚えている訳ではなくて、ね?

最初の顔合わせで、覚えていなかったとしても、仕方がないんじゃぁ無いかなぁ~、なんて、ね?


…………はい、すみません。

完全に忘れとりました。

ぶっちゃけた話をすれば、こんな機会でもないと思い出しもしなかったと思う程度の認識しか無かったッス。


……まぁ、取り敢えずソレは置いておくとして、今回話題のメイさんを改めて観てみる。


先程も言った通り、猫系の獣人族で女性、歳は多分二十歳前後って処かね?

顔立ちは、どちらかと言うと綺麗系ではなくカワイイ系の顔立ちをしており、笑顔が良く似合いそうだ。

スタイルもメリハリが効いているが、どちらかと言えばスレンダーなタイプだね。ちょっと猫っぽい?

まぁ、どこぞの誰かとは違い、ちゃんと出るところは出ているけどね?……おっと、何処かから殺気が……。

……成る程、これは浚いたくもなる、かな?


そして、彼女の特徴かつチャームポイント(勝手に認定)である猫耳と尻尾なのだけど、両方ともフッサフサである。

耳の方は他の猫系の獣人族と違い、耳の内側から延びている長い飾り毛と、耳の先端に房になっている毛の塊?(房毛?)が付いているのだ。

耳自体に生えている毛も長く密集しているため、とてもモコモコ?(フワフワ?)とした触感を想像出来る。

お尻から生えている尻尾も、どちらかと言えば細目な尻尾が多い猫系の獣人族の中で、パッと見た感じで腕並みの太さがあり、垂らせば足元に届くんじゃないか?と思うくらいに長い尻尾を持っていて(普通太さは指二本分位、長さは膝下に届くかどうか程度)、とてもフサフサとした毛に覆われたソレらは、思わず手が勝手に動いてモフりに行きそうな位に魅力的なお耳様と尻尾様であった。


どうにか意思の力を総動員して、反射でルパンダイブをキメそうになった体を抑え込み、その場で「良いではないか、良いではないか!」「あ~れ~!」な事には成らずに済んだのだが、どうやら視線やら表情やらで、俺がナニをしたかったのかバレていたらしく、彼女との会話を進めて行く内に、何処か恥ずかしそうにしながらではあったのだが、彼女からこう切り出されたのだ。



「……あの~、そんなに気になるのでしたら、よろしければ触ってみますか?」



……神はここに居たのか……。


その素敵な申し出に、一瞬意識が飛びかけて、無意識的に飛び掛かりそうに成るが、寸での所で自らを取り戻し、どうにかギリギリの所で踏みとどまる。


「……獣人族にとって、耳や尻尾を触らせるのは、家族や伴侶と言った極近い者達だけのハズ。言わばある種の神聖な行為とも取れる様な事柄のハズだ。

一応は上官であり、そして恩人の類いでも有るらしいけれど、そんな間柄では無い俺にそう簡単に許可を出して、自分を安売りするような事は、あまりよろしく無いのではないかな?」


そう、血涙を流しながら諭しては見るが、端から見ていて欠片も説得力が無いらしく、同席していた人達からは白い目で見られてしまう。


しかし、その程度の代償で、彼女が自分を大切にしてくれるなら、まぁ良いかなぁ……なんて考えていたのだが、それでも彼女は、その立派な尻尾をピン!と立てて、顔に満面の笑みを浮かべながらこんな事を言ってきたのだ。


「まぁまぁ、そう固いことは言わずに、ね?無理矢理ならともかく、してもらう側の私がそうして欲しいって言っているのですから、大丈夫ですよ!

それに、獣人族が耳や尻尾を触らせる相手って、司令官が挙げられた例の他に、『自らが定めた上位者』も含まれるんです!なので、司令官なら割りと触られても良いって人は多いですよ?」


……衝撃の事実!

確かに、獣人系の訓練兵達からは、割りと好意的と言うか、肯定的と言うか、とにかくそんな感じが強かったけれど、もしかしてそう言う意味だったのか?

実際、目の前の彼女は、今だニコニコと笑みを浮かべたまま、まだかまだかと言わんばかりに耳をピコピコと動かしているし、尻尾もピンと立てたままだ。

……猫と同じ様な感情の動きを表すのであれば、あれは嬉しい時の動きのハズだ。

……ならば、本当に、大丈夫、なのか、な?

本人も、大丈夫って言っているんだし、良いんだよ、ね?


そんな感じで、一応の言い訳を自分の中で確率させてから、恐る恐る手を伸ばし始めたのだが、それを見た彼女は、耳と尻尾をペタリと下げて、それまで笑顔だった表情を俄に曇らせてしまう。


……あれ?何かミスったか?


と、内心パニクりかけていたのだが、 そんな反応を見て確信したのか、少々悲しそうに切り出す彼女。


「……ア、アハハ……。……やっぱり、元奴隷の耳を触るのは、さすがに抵抗が有りました、よね?

……すみません。隊長に、戦果の報酬として、司令官に直接誉めてもらえるって聞いて、頑張って戦ってみたんですけど、私の都合ばかり押し付けてしまいました、よね?

……私、これで失礼しますので、報酬は次点の人に譲って、上げ……て、下さ……」


そう言って、俺の反応を『触りたいのを我慢している』のではなく『どう断ろうか考えている』と勘違いしたらしいメイさんが、半ば泣きながら踵を返してこの場を去ろうとするけども、そんないじらしい姿を見せられた俺は、理性でギリギリ押さえ付けていたモノを押さえ付けられなくなり、本人的にも凄まじいの一言しか無い様な速度で彼女を後ろから捕獲すると、彼女がキョトンとしている間にその場から連れ去り、別の場所にあつらえておいた俺のテントへと連れ込んだ。


そして、「……嫌だったんじゃ?」とか、「……あの、ここは?」とかを呟いている彼女の、その立派な耳へと顔を近付け、こう囁いてやる。



「……悪い『子猫ちゃん』だ……。もうどうなっても、俺は知らないからな……?」



そして、顔を覗き込んで見ると、それまでの半泣き顔は綺麗に無くなり、有ったのは期待に満ちて、キラキラと輝く猫目と、先程までと同じ様にピン!と立てられた尻尾様だった。





この後どうなったのかは黙秘させて貰うが、翌日やたらとツヤツヤした毛並みをしたメイを見た、同じ第四部隊の獣人族達が、彼女と同じ様な事を自分達にも!と、集団で要求してくる事になるのだが、ソレはまた別のお話。


尚、主人公はこの後、婚約者達から搾られた(意味深)んだそうな。

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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