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第7話

本能に支配され、理性を蹂躙された彼だったが、自分が何をどうしているかは不思議と分かっていた。

意識はあるのに、自分の身体が勝手に動く現状に対して、どこか冷静に観察を行っている彼。


(一体何やってるんだこりゃ?)


彼が自分の事ながらにそう感じたのも無理は無いだろう。

何せ今の彼はスケルトン。

その身体は骨である。

骨しか無いのである。

それなのに、モノを口腔に放り込む事に何の意味があるのか?

舌も無ければ頬も無い。

挙げ句の果てには下顎の肉も、最終的に飲み下す喉や受け止める胃すら存在しないのである。

そんな口の中にモノの入れれば、ただ下へとこぼれ落ちるのが道理と言う物である。


だがしかし、予想は裏切られる。


放り込まれた魔石は、何かに受け止められ、奥へと送られた後、ゴクリと飲み込まれたのである。


「なっ!はぁ?!」


と、思わず声が出る。

そこで、身体の支配権が自分に戻っている事に気が付く。

慌てて口元と腹部に手を当てるが、別段緑色のゲロを吐く訳でも、エクトプラズムを吐き出す様子も無いらしい。

ズボンの中も確認したが、特に何も入ってはいなかった。

一応、吐き出す事も試してはいるが、どうやって呑み込んだのかも良く分かっていないので、どこをどうすれば吐き出せるのかも良くわからない。


何故?何?何で?と頭の中が?で埋め尽くされる。


どうしてこんな状況に?と考えれば考えるほど思考は滑り、袋小路へと迷い混んで行く自覚はあるが、さりとて止める事も出来そうに無い。

その時、


解・落ち着いて下さい主様。


とヘルプ機能から声がかかる。

そこで漸く思考のループから脱出するが、疑問は山積みのままである。


解・とりあえず、何かの状態異常かどうかを確認するためにステータスを確認するのをおすすめします。


おお!確かに!

最優先で確認すべきは確かにそれだ!

色々と聞きたい事はあるが、とりあえずはステータス確認だな。

……しかし、スケルトンでも状態異常なんて発症するのか?


「まぁ、見てから考えれば良いか……【ステータス・オープン】」



******


名前・未設定

種族・スケルトン

レベル・15

スキル・剣術、闇魔法、魔力操作、クリティカル、骨食(ほねばみ)、魔石喰いNew!

ギフト・【ヘルプ機能】、【成長促進】、【?】、【?】

残進化可能回数・3


******



因みに、状態異常等を発症している場合、名前の横に表示が出るんだとか。

で、現時点でソレが無いと言う事は、状態異常『では無い』が、状態異常『だった』可能性は否定出来ない。

……まぁ、今変になってないならそれでいいのだけれどね。


だがしかし。

ステータスにおいて、見逃せない点が2つ有る。


なぁ、ヘルプさんよぉ


解・……何でしょうか?


ステータスなんだがな?


解・はい


俺の目が変になって無ければ、レベルが2つも上がってる様に見えるんだけど?


解・……そうですね


なんか変なスキルも増えているんだけど?


解・……そうですね


なんかおかしくね?


解・……そうですね


……まぁ、いいや

とりあえず、諸悪の根源と思わしきアレの詳細はよ


解・『不明』です。


……は?


解・『不明』です。


何ですと?


解・転生時のインストールデータ内の『スキルリスト』には存在しないスキルです。故に詳細は不明。


MA・JI・DE?


解・はい。ただ、能力の推察程度でしたら出来ますが、いかがされますか?


その程度なら自分でも出来るよ……。

多分だけど、発動の鍵が『魔石を食う』事で、効果が『レベルを上げる』ってとこだろ?

何で勝手に動いたかは知らんけど


解・おそらく、それで間違ってはいないかと

他に何か異常の類いはありますか?


うーん、特にはないかなぁ?

因みに、本来なら魔石ってどう使うんだ?


解・砕いて内容魔力を吸収するので、あんな風に食べる事はしないはずです。


ふーん。


解・他にはまだありますか?

ない様でしたら、早めにここから動いたほうが良いかと


ん?それまた何故に?


解・ゴブリンの習性なのですが、奴らは血の匂いに敏感です。特に同族の血のソレにはかなり遠距離からも反応します。

ですので、現時点のあまりレベルが高くはない状態では、ここに留まるのは少々危険であると進言します。


マジで?なら移動して……!




この時、彼等は油断していた。


たった2体とはいえ簡単に倒せた事


レベルが高くはないがしっかり上がっていた事


謎のスキルの影響と思われる行動による混乱


それらが合わさって、彼等は一時忘れてしまっていた


今居る場所が何処なのか


今その場所がどんな状況なのか


それらを忘れて気を緩めた結果


彼は


自分の背後の茂みから


錆びた剣を降り下ろさんと飛び掛かって来たゴブリンの


その凶刃が届く直前迄、気付く事が出来ずにいた。


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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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