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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第59話

今回、少々短いです



『マスターへ、こちらゴーレムサブリーダー。フェイズワン完了、次なる指示を求む』



フム、潜入と撹乱は無事に成功した様だね。

この定時連絡と同時に、成功連絡って事は、こちらが予想していた筋書きに沿った形で誘導出来たと見て良さそうだな。

別段、こんな事せずとも完勝出来るだけの自信も確証も有るから、しなくても良かった工作だったが、それでも不安要素は無い方が良いからね。

っと、ゴーレムサブリーダーと通信している最中だったな。返事してやらんと。


「ゴーレムサブリーダーへ、こちらマスター。フェイズワン完了ご苦労、情報の伝達と、然るべき工作の後に待機。フェイズツーの発動はこちらで指示する。まずは、情報から頼む」


『こちらゴーレムサブリーダー。了解しました。では―――』


と入手した情報をこちらへと流してくる。

その中には、予想通りのモノも有れば、何故にそうなる……?と突っ込みを入れたくなる様なモノまで混じっていた。


『―――こんな所です。どうでしたか?』


「フム。予想以上の収穫だった様だね。良くやってくれた」


『ありがとうございます。では、フェイズツー発動まで待機します。通信終了』


そんなやり取りを経て、ゴーレムサブリーダーとの通信を終了させる。

拠点の確保に成功した、と連絡を受けてアニマリアから出立してから数日程たった頃、先行させておいたアンデッド部隊の副長を任せておいたフレッシュ・ゴーレム部隊の副長から、俺に直接指示を仰ぎたいと通信があった事が始まりだったかな?

確か『拠点を嗅ぎ回る鼠がいたので、大半は潰して、ごく一部はそのまま泳がせ、わざと偽の情報を握らせておきましたが、どうなさいますか?』だったと思う。

……ぶっちゃけ、そこまで出来てんなら、俺に聞かんでも良くないか?とは思ったが、取り敢えず面白くなりそうな方向に引っ掻き回す為に、その鼠共に元締めが居るかどうかを確認し、もし居たのなら捕獲しておいてね?と言ってみた所、その日の晩には例の……えっと、なんて言ったっけ?あいつ。……ダメだ、覚えてねぇわ。とにかく、今あいつが入れ替わっている奴を捕まえた、って報告が来たわけだ。

正直、言われて最初はなんの事かと思ったけどね?

だって、指示を仰ぐ通信が来たのが夕方前位で、捕獲完了の連絡が来たのが、日が落ちて少しした位だから……一時間位か?指示した俺が言うのもなんだけど、ちと早すぎない?

んで、そいつは色々とオハナシしてもらった後、素のステータスが高そうだったらしく、丁寧に処理してからお仲間(アンデッド)になってもらったんだそうな。現在は拠点周辺で、絶賛レベリング中だとか。

ちなみに、ゴーレムサブリーダーがそいつの外見そのままで潜入出来ているのは、あいつが生前持っていて、知性と一緒に再獲得した『百面相』ってスキルのお陰らしい。……あいつは俺作のフレッシュ・ゴーレムだったのだが、レベルを上げることでしっかり進化出来たし、それに伴い能力の上昇や知性・スキルの再獲得まで可能であると言う実例でもある。

スキルについてだが、何でも、一度につき一人までだが、自分で殺した相手の外見だけでなく、身長や体重、それに加えてある程度の思考パターンまでコピー出来るのだそうな。……凄まじく暗殺者向けなスキルだったので、いつぞやの調査で判明した時は、血眼になって資料を漁ったっけか……。他にも、そんなスキル獲得しそうなのが居ないか確認するのに、三日間位掛かったっけ……。(遠い目)

まぁ、偶然高位冒険者としても活動している暗殺者が、偶々戦争に参加し、運悪く暗殺するつもりが失敗してバラバラにされ、極低確率にも関わらず関わらずそいつがベースになってゴーレムとして組み直されるなんて事は、基本的にあり得ないのだから、まぁ、大丈夫かねぇ?……イカン、なんか旗が立った気がする……。


まぁ、でもこれで、敵さんには誤情報で勘違いさせつつ、こちらには敵さんの重要情報の類いを横流しさせ放題なので、戦力的にも情報的にも、こちらが圧倒的に優位に立った訳だ。

敵さんには、スパイであるあいつの存在に気付く事も、あいつを排除する事も不可能であり、万が一情報の流失に気付いたとしても、それを止める事も出来はしないだろうな。

何せ、それらを調べ、防ぎ、やり返す事を担当していた人物が、現在それらを行っているこちら側の工作員と入れ替わっているのだから、捕まえ様も調べ様も有りはしないだろう。


新たに変化した状況を伝える為、レオンの居るハズのテントへと向かい、中に声を掛ける。


「お~い、レオン?いるか~?」


「ンム?『モグモグ、ゴクン!』その声はジョン殿か?どうなされた?」


はて?食事中だったかな?


「いや、結果的にスパイになった奴が居たって言っただろう?そいつから、連絡が有ってな。一応伝えておこうかと思ったんだが、食事中なら後にするか?」


「いや、大丈夫だ。入って頂いて構わない」


そうなのか?なら、お邪魔しますかね。


「んじゃ、失礼しまーす」


と声を掛けながら入口の垂れ幕をめくり、中へと入る。

するとそこには、右手に骨付き肉を持ち、豪快に噛み千切ってからモグモグと咀嚼し、米で作られた特大のオニギリ(グレープフルーツ大)を追加と言わんばかりの勢いで口へと放り込み、なんとも幸せそうな表情を浮かべているデカイ猫……もといレオンの姿が有った。


「……『ゴクン』はぁ~、やはり、この『米』は良いなぁ。最初は独特の食感に戸惑ったが、慣れてくるとこの粘り気が良いと思えて来るな。それに、何と合わせても喧嘩しないのが素晴らしい!」


……何やら米の魅力に取り付かれている様だが、お前さん、最初はその絶賛している米の事を『雑草だ』って言ってたんじゃなかったっけ?

それを指摘してやると、「いや、あの時は知らなかったのじゃし……」と目をそらしながら呟いていた。まぁ、良いか。

レオンを弄るのはそこまでにして、俺はいつの間にかウォルターさんが容れてくれたお茶に口を着けながら、今回の来訪の本命について話し出した。


「で、だ。以前に伝えておいたと思うが、こちらの部下のアンデッドが入れ替わりに成功していてな。そこから入って来た情報なんだが、サウザンは暫く動かないみたいだぞ?」


「……フム。その情報の確度はどの位だろうか?ジョン殿が居る以上は、負けることはあり得なさそうではあるが、流石に不確かな情報に踊らされるのは遠慮したいのだが?」


「ああ、その点については大丈夫。花丸を付けられる程に確かな情報だから。何せ、潜入した奴が、直接そっちの方向に流れる様に議会を調整した、って話だったからね。おまけにそいつは裏の情報にも、比較的簡単にアクセス出来る所に潜んでいるから、そっちを無視して何かしようとしても、その前に俺の所に情報が来る事になっているから、心配は無用だよ?」


「……なぁ、ジョン殿?我には、その『議会で重要だと判断される発言が出来、表のモノでも裏のモノでも関係なく情報を仕入れられる』人物に、一人だけ心当たりが有るのだが?」


「ふ~ん?ちなみに、その入れ替わりの元になった奴は確か……、えーっと、確か……ナントカ将軍って言ったハズなんだけど……」


「……なぁ、そのナントカ将軍って『ノイン将軍』じゃあ無いだろうか?」


「あ!多分それだ!!」


そう言って『納得!』って感じで手を叩きながら、外していた視線をレオンへと向けると、そこには頭を抱えたレオンの姿が有った。

どうしたのだろうか?


「……ちなみに、そのノイン将軍は今?」


「え?抱えていた情報を全てゲロって貰った上で、配下の中で、進化に伴って知性を再獲得した元フレッシュ・ゴーレムの皆さんに、練習用の素材として渡した、って言ってたよ?丁度今『元フレッシュ・ゴーレムでも、フレッシュ・ゴーレムを作れるか、又そのゴーレムは経験値ネットワークに組み込まれるのか?』と言った実証実験を行っていてね。ステータスが高そうな感じだったから、下処理を終わらだ後、素材としてそっちに回したってさ」


「……結果は?」


「ん?一応成功?現在は、拠点周囲の警戒兼魔物狩りで絶賛レベリング中だったっけ?」


それを聞いて、「マジかぁ……」と呟いた切りで静かになったレオンに対して、議会で決まった事柄を伝えて行く。


「―――って訳で、暫くは相手さんは動かない様なんだ。で、だ。お前さんに提案が有るんだが、どうする?」


レオンは視線で『聞くだけ聞く』と返事をして来たので、俺の考えを説明してやる。

すると、最初は呆れ顔だったレオンだが、徐々に獰猛な笑顔になって行き、最後には俺の提案に全面協力を申し出てていた。



そして翌朝、獣人国アニマリアの王であるレオンは、精鋭1000程を引き連れて、確保してある拠点へと駈けて行くのだった。

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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