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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第52話

私用で投稿遅くなりました。また隔日投稿になる予定です

あの交渉(?)から三日経った現在、こうして獣人国目指して進軍中なぅ。

三日も掛かった理由だが、ご想像の通り、国境の警備に回していた、ジャック率いるグールナイト隊を呼び戻していたのが一つ。

人の足なら七日は掛かる道程も、奴等なら二日程度で踏破する事が可能なので、今回みたいな急な呼び出しにも対応が可能であり、考えてみれば中々便利な戦力となっている。隊長であるジャックだけなら、一日(二十四時間)以内に戻ってくる事が可能である。

まぁ、もう一つとして、ジェラルド率いるフレッシュ・ゴーレム部隊の装備等の新調に、思いの他時間が掛かったから、ってのもあったりする。ついでに、グールナイト隊の装備の交換なんかもしていたからかも知れんけど。

ドワーフ斬り込み隊の隊長と、鍛冶師達の()も兼任しているドヴェルグには、少々無茶なお願いをして、部下のドワーフ衆にも無理をさせてしまった自覚は有るので、今回の件が終わったら何か贈っておこう。……酒とか。


そんな訳で、内政の類いはアルヴに任せてイストリアを出発したのだが、別段ジャックの隣で馬を走らせている訳では無い。

そもそもの話、今回同行する魔王本人こと俺と、ガルム、シルフィ、ウカさん、ウシュムさん、メフィストの幹部連五人と、獣人国のお姫様であるレオーネと将軍のティーガ、それとフレッシュ・ゴーレム隊の隊長であるジェラルド並びにフレッシュ・ゴーレム部隊は現在地上に居る訳では無い。

普通の馬では時間が掛かりすぎるし、アンデッドであるナイトメア達を恐れてパニックになるので使い物にならないので無駄。

自分で走っても良いのだが、それだと俺と幹部連だけで先行する事になるので、そもそもアンデッド部隊をつれて行くメリットが少なくなる。途中で人族の部隊なんかと遭遇した場合、そいつらの始末まで俺達でしなけりゃならなくなるのは、些か面倒だ。。グールナイトならば辛うじて付いてこられるかも知れないが、フレッシュ・ゴーレムはそこまで素早くは無いのだ。その分頑丈だけど。


そんな理由から、俺達は現在、ウシュムさん(竜形態)の背中に乗って、空からグールナイト隊に少し先行する形で進んでいる。

役割としては、俺達で偵察やルートの選定を行い、グールナイト達でこちらが発見した敵部隊の殲滅や、魔物の討伐等で経験値をネットワークへと流す事をしてもらっている。

ついでに、ジャックには『死霊魔法』スキルを共有化してあるので、使えそうな死体は自分の判断でアンデッド化しても良いと許可を出してあるので、勝手に増えて行くだろう。まぁ、増やしたら報告しろとは言ってあるけど。連絡用の『意志疎通』スキルの方は副長を務めている、ジャックと同じく知性を取り戻したグールと共有化してあるので、離れていても連係はバッチリである。


そして、地上に居ないと言われながらも、絶対的にウシュムさんに乗るハズも無いフレッシュ・ゴーレム部隊だが、実は隊長のジェラルド以外はシルフィの『空間庫(アイテム・ボックス)』に収納された状態で運搬されている。

いざ本格的な戦闘となれば、ウシュムさんに乗った状態のまま、それから敵陣にばら蒔く予定なのだ。

まぁ、作ってみたら以外過ぎる程に体力と防御力に優れた連中になったので、ドラゴンの上から落としても大丈夫かの実験も兼ねているのだけどね?

これで大丈夫だったのならば、夢(?)の航空爆撃戦力の完成である!……自分で言っておいてアレだけど、良く考えてみたら、ドラゴンに俺か幹部連の誰かが乗って強襲すれば、似たような結果に成るような……うん、気にしない、気にしない。

ちなみに、残るジェラルド本人(?)だが、こちらもウシュムさんの背中に乗っている訳ではない。

こいつはこいつで、自前でテイムしたワイバーンに乗って移動しており、俺達からは少し離れた所を飛んでいる。あまり近付きすぎると、騎竜がウシュムさんにビビって操作出来なくなるらしい。

尚、こいつがテイムスキルを持っているのは、生前に持っていたから……らしい。ギルドに残っていた資料にも載っており、進化して知性を再獲得した時に得たと本人も言っていたので、まず間違いは無い……ハズ。ジャックの方は元々騎兵だったこともあるのか、特にスキルは獲得しなかったらしいが、他の連中にも、残っていた記憶で所持していたスキルを再獲得した例が幾つか有るので、おそらくはそうなのだろう。まぁ、要検討だな。


そんな訳で、ウシュムさんの背中に乗っているのは、俺以外は生者のみである。

……俺?俺はほら、アンデッドですし?

そして、そうやってウシュムさんの背中に乗っている俺達だが、基本的に、皆思い思いの所に好きな様に座っている。ガルムなんて頭の上に乗っかっているしね。


で、何でそんな事を話しているのかと言うと、俺の現状に関わっている。


俺は、ウシュムさんの背中、位置で言えば首の付け根所謂うなじの辺りに座っているのだが、一人で(・・・)と言う訳では無い。

かといって、シルフィやウカさんと一緒に居る訳でもなく、メフィストやティーガと雑談しているのでもない。

……そう、消去方により、残されたレオーネと一緒に居るのである。

まぁ、『一緒に居る』と言っても、世間一般的には、もっと別の言い方をされそうな状態ではあるが。



何せ、胡座をかいた状態で座っているレオーネ(・・・・)の足の中に俺が(・・)座り、彼女に背中を預けてもたれ掛かっている状態だ。身長差的にちょうど良い(俺推定180・レオーネ推定200オーバー)のか、時折レオーネが俺の頭に顎を乗せてきたり、首もとに顔を擦り付けて来たりする。それらを事情を知らない第三者に目撃されれば、ほぼ確実に別の表現をされること間違いなしだろう。



……そこは男女逆じゃね?とか、色々と突っ込みたい所があるとは思う。俺もそうだし。

だが事実として、俺は現在、力強く、しかし、しなやかなで女性らしさも兼ね揃えた腕にて、しっかりと抱擁と言う名の拘束をされ、芯に筋肉の存在を感じられるが、豊かで柔らかな山脈に背中を預けた状態で、猫が良くするように、うなじの部分に彼女の顔をグリグリと擦り付けられている。

……どうしてこうなったのかな~?とか、多分アレのせいだよな~、だとかを考えながら、こちらを光の消えた瞳で見つめる二人を意識から閉め出す事も兼ねて、原因となっているあの交渉の後を思い出す。




******




「そう言えば、何で色仕掛けだったんだ?」


アルヴへの細かい指示や各種の手続きを終え、部屋へと戻って来てた俺だが、平静を取り戻した状態でまだ部屋に残っていたレオーネを見て、そう言えば、と聞いてみる。

そう、割と最初の方から疑問に思っていたのだ。

何故に色仕掛け?と。

タイミング的にそれしか無かったって訳では無い。

何せ、報酬の話をしていた時に飛び出た発言だからね。あの時に直接言ってしまえば、回りで何人も聞いていた以上は無視できないし、そもそも願い云々を言い出したのは俺の方なのだから、やっぱり無理とは立場上言えないし言わない。お願いされていれば多分「良いよ?」と返していた自信が有る。

……まぁ、あの時に実行出来たかは定かじゃ無いけど。


本来『色仕掛け』とは、相手に自分側へと有利な様に導く為の作戦、又は何かを得たいが為の代替手段として女の体を使う、と言った感じであるハズだ。

しかし、今回の件については、前者に関しては言えばどうにかなったので違う。後者に関してはなんとなくではあるが、今回については違う様にも思われる。

まぁ、寝物語に男から秘密を聞き出す、って事も有るかも知れないが、俺は基本的に眠らないと知っているハズなので、それも無いと思われる。


んじゃ、何で?って話になるのだ。


まぁ、それ以外の方法、例えば買収や脅迫何かは効果が無いと判断したのだろうが、尚の事意味は無いと思わなかったのだろうか?

で、直接聞いてみる事にした訳だ。

何か理由が有るならば、解決に手を貸すのも吝かでは無いしね。

そう思っての先程の発言なのだが、返ってきたのは予想もしていなかった反応だった。


それは、指先をクニクニと突き合わせながら、その大きいながらも女性らしい身体をもじもじとくねらせ、こちらをチラチラ覗き見しながら、普段からは考えられない程にボソボソとした呟きで




「……強き者に惚れる気質の人獣に対して、万を超す軍を凪ぎ払う強者に惚れるな、と言う方がおかしいと思うのだが……」




……え、マジ?

て事は、あれらの発言は、そのままの意味だったって事?


それを聞いて、数瞬の間、意識に空白が出来た俺。

そして、失っていた我を取り戻した時には、既にベッドへと押し倒され、レオーネに覆い被さられていたのだった。


「……あのー、レオーネさん?コレ、完全に男女の位置が逆だと思うのですが……?」


「……フフフ、中々隙が出来なかったので苦労しましたが、これで貴方は私のモノです!」


「……レオーネさんレオーネさん?俺の話聞いてますか?もしもーし?」


「ええ、もちろん聞いてますとも。今ならばあの四人もここには居ませんから、十二分に愛を深める事が出来ますね!」


「聞いてねぇー!」


この状況は限り無くマズイ。

どうするどうするどうす……ハッ!そうだ!


「ちょっと待て!俺は既にあの四人と関係を結んでいる!俺はお前が思っている程良い奴ではない!それに、既に四人も囲っている様な奴に初めてをくれてやる事なんてあるまい?」


こ、これでどうだ!


「……それがどうかしましたか?」


と不思議そうな顔(多分)で聞いてくるレオーネ。


……ハイ?


「良い奴云々なんて気にもしてませんし、既に四人からは許可も貰ってますよ?」


なん……だと……?


「それに、強いオスがメスを囲うのは、ある意味当然では無いのですか?それとも」


と一旦言葉を切ってから、何やら悲しそうな表情で顔を近付けながら、耳元で囁いてきた。


「こんな毛むくじゃらな女は、嫌いですか?」


「いえ、大好きです!」


反射で返事を返してから、何を言ったのかを思い返して、咄嗟に取り消そうとしたのだが、そのまま唇を奪われて、結局喰われてしまいました。

凄かったです。




******




その後、その時に居なかった四人に襲われたり、五人がかりで手込めにされたりしながら現在に至る訳である。

それ以来になるが、彼女は身内と言って良いモノだけになると、今みたいな感じで甘えて(?)来ることがある。


もちろん、今みたいに、他のメンバーが凄い目で見ていることも多いので、そちらのケアもしっかりとする様に心掛けている。

まぁ、具体的に言えば、おそらくこの後交代交代で二人にも似たような事、休憩の時にウシュムさんと、朝にはガルムと散歩(意味深)って感じになると思われる。

……我ながら爛れているなぁ、等と思いつつ、時折見掛ける人族の部隊を壊滅させながら、空の旅を楽しむこと約十日にして、漸く目的地へと到着するのであった。

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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