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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第45話

魔人族との同盟から約二週間、俺達は今、ウシュムさん率いるドラゴン部隊が壊滅させた、旧エスタの街にいる。

もちろん、何もせず、暇をもて余したからここに居る訳ではなく、俺達の次の行動を決定するためにここに来ているの訳だ。

面子は俺のパーティーに加えて、内政の殆どを任せて(丸投げとも言う)いるアルヴさんに、魔人族軍の指揮を任せる予定になっている魔人王アスタロト(名前はこっちに来てから知った)の計八人である。

……改めて見てみると、女性率高いなぅ。

普段からそうだけど、こう言う時に、改めてメフィストが仲間になってくれて良かったと思うよ……。


「さて、全員集まった事だし、早速始めるか。まずは各員の部隊の状況を報告してくれ」


「私の所の亜人族部隊3000は準備完了しているよ?工兵兼突撃部隊のドワーフ兵1500に、魔法部隊のエルフ兵1500。人員は基本的に、あの時(・・・)の従事者だから、戦闘力は折紙付きね」


「私の所の~、獣人部隊3000も~、殆ど準備完了してます~。最前衛の突撃部隊は人獣族の1500~、残りの獣人族1500は~、遊撃と後方支援になります~。こちらも~、あの時の方々が主軸になっているので~、結構な戦力になっているハズです~」


彼女らに任せた部隊の人員だが、当然の様に、あの時の土木作業に従事していた人達が混ざっている。

そう、俺と契約し、経験値ネットワークに組み込まれ、強制的にレベルとステータスが爆上げされ、更に、工事に従事していた関係で、基礎的な筋力等も跳ね上がったかの作業員達だ。

あの後、レベルやステータスを聞いてみたのだが、トンデモな事になっていた。

何せ、あの時従事していたメンバーの殆どが、レベル200を超え、中には300に届かん所に手を掛けて居る者までいたのだ。

ステータスも、殆どが平均10000を超えており、冒険者で言う所のSSSランクオーバーに相当する所までに来ていたのだ。もっとも、戦闘経験が豊富な者は少ないので、基本的にSランク上位からSSランクの下位相当程度であると思われるのだが。

ちなみに、各部隊それぞれ500ずつ、計1000人は旧イストに残してある。従軍していない住民達の為に、警備や魔物の間引き等をしてもらっている。

一応、万が一の場合(奇襲等)に備えての兵力でもある。


「自分のフェンリル隊も準備は出来ているであります。当初の予定通りに、出撃する80頭の選抜は済んでいるであります」


残りの20頭に関しては、街の護衛や、魔の森に作った道の警護を担当してもらっている。チビ達もこちら側だ。


「私のドラゴン部隊も大丈夫ですよ?旦那様♪上空からの奇襲や大規模破壊はお任せ下さい♪」


どちらかと言えば、この部隊は拠点破壊用だから、使い勝手がそこまで良くはない。攻撃力はピカ一だが、それ故に使いどころが限られてくる。

問答無用で焼き払うのであれば、速攻で投入するのだが、今回は首都その物は確保したいので、投入は慎重に判断せねばなるまい。

ロハの焼け野原は要らんとですよ。


「私のとこからは、魔人族の兵5000だ。こいつらは全員、最低でも、こっちの冒険者のランクで言う所のAランク上位は有るハズだ。あんたのとこの兵隊みたいな化物共で無ければ、そうそう遅れは取らない位の力は有るさ」


……実際の所、一番期待していないのは、この部隊だったりする。だって弱いもの。

一応、向こう(魔人族領)を出る際に、『契約』するかどうかを募集してみたのだが、殆ど参加希望が出ず、結果的に強化は失敗している。

まぁ、数は居るから、後は使い方次第って所か。

アスタロトさんも、一応、SSSランク相当ではあるっぽいし、どうにかなるかね?


「こちらの戦力としてはそんな所か。通常戦力が11000、高速戦力が80、準戦略級戦力が20、そして、切り札相当の戦略級戦力が6って所か。奴らはどんな感じだったっけ?」


俺の疑問に、メフィストが答える。


「取り敢えず、あの豚が吐いた数字だけで、通常の歩兵戦力が凡そ60000、騎馬を用いた高速戦力が約15000、重装備で日常的に訓練を受けている職業軍人の騎士が約10000、冒険者等の非常時戦力が約15000、そして、切り札と成りうる高位冒険者、この場合はS以上として約100。これが、イストリアの戦力になります。

まぁ、十中八九増強されているハズですがね?」


フム。10000ちょっとVS約100000か。

数の上では、約十倍。おまけにまだ増える可能性が高い。

それを聞いて、アスタロトさんは顔を青くしているが、逆に俺が聞きたい。




その程度の相手戦力で、こちらが負けると本気で思ってんの?




確かに、数の上ではこちらが圧倒的に不利だ。

そして、数は力だ。数の暴力は、時にどんな強者も捩じ伏せるだろう。

おそらく、ウシュムさんや、メフィストでも、一人でこの数に立ち向かえば、敗北は免れないと思われる。

だが、今回は、この戦場ではそれは当てはまらなくなる。何故なら、俺達が揃ってしまったから。

そして、その下には、一般的に超人や人外と呼ばれるランクの戦力が揃っている。

ならば、勝てない通りは無い。

それに、俺にはある策が有る。

それも、今回みたいなのだと、笑える位に効果が有ると予測される策が。


俺は、その策を皆に説明する。

その内何人かは、渋そうな顔をし、そうでない者、特にシルフィとメフィストはやたらと楽しそうな雰囲気を醸し出している。


結果として、その策は採用される運びとなり、俺はまだ見ぬイストリアの連中に、心の中でのみ合掌した。





******





-イストリア執務室


元イストリア王国国王、現統一王国東部イストリア郡総領主シュバリエ・フォン・イストリアは、己の執務室でここ最近急増した仕事を片付けていたが、突然に響いたノックの音で作業を中断する。


「失礼します!至急お耳に入れたい情報がございまして……」


部屋もの主からの許しも無い内に扉を開いた執事を睨みながら、手の動きで話せ、と指示を出す。


「実は、つい先程、城壁外の難民街でアンデッド、しかもかなり高位の個体が発生し、かなりの被害が出ております」


「ほう?それは良かったな!ムダ飯喰らい共に喰わせてやらねばならない食料が減ったではないか!!

で?そのアンデッドはまだ殺しているのか?もしそうならば、しばらく放っておけよ?そうすれば、ただ飯喰らいをもっと減らしてくれるハズだ」


「……それが、そのアンデッド自体は、冒険者が討伐してしまったのですが……」


それを聞いて、シュバリエは首を振る。


「チッ、バカ共め!これだから冒険者は好かん。で?それだけならば、わざわざ報告に等来るで無いわ!!儂がどれだけ忙しいのかは、貴様も知っているであろうが!!」


事実、その程度の話であれば、この男の所までは話が上がって来るハズもなく、同時に、この執事がここまで慌てる事も無いハズなのだ。


「では、恐れ多くも申し上げます。実は、そのアンデッドなのですが、ポルコ子爵の可能性が高いと思われます」


「な……何だと!!!」


この世界において、死体がアンデッド化する事は、そこまで珍しいことではない。

無いのだが、問題はそこではない。

この件の最大の問題点は、アンデッド化したのが貴族であり、そのアンデッド化した貴族が、例の竜殺し(ドラゴンスレイヤー)に対する使者(こいつらの感覚ではそうなる)である事だ。


「どう言う事だ!何故ポルコ子爵がアンデッドになんぞなっている!そもそも、奴は『聖別』を受けているハズであろう!」


ちなみに、『聖別』とは、この世界における祝福の様なものであり、それが成されていれば、死後アンデッドに成らずに済むのである。

しかし、それを受けるには、教会(人族の宗教、駄女神は関わり無し)に多額の寄付が必要であり、必然的に貴族しか受けられない。

一般的には、死体を火葬して予防する。


「『聖別』の刻印が刻まれていた部分の皮を剥がされた様です。それと、体の各所には拷問の痕が残っておりました。最期は首を落とされていた様で、デュラハンとなっていたそうです」


デュラハンとは、自らの首を脇に抱えた亡霊騎士である。危険度はA-程度。


「なんと言う事だ……。我等の様な高貴な血を引く貴族に対し、そんなことをしでかす等と、あの竜殺しは一体何を考えているのだ……」


この期に及んで、まだ貴族(こちら)側に非が有るとは、欠片も考えていないシュバリエ。

そもそも、その竜殺しと、現在自らの頭を悩ませている事件の元凶が=で結ばれていると、脳裏を掠りもしていないのには、驚きを禁じ得ない。

そんな大貴族(バカちん)に更なる追撃が叩き込まれる。


「……大変申し上げ難いのですが、実は、ポルコ子爵の亡骸には、この様なものが括り付けられていたようで……」


それは、一通の手紙だった。

その手紙は、ポルコ子爵の口の中に、身元を証明出来るモノと共に詰め込まれており、宛名は『イストリア郡総領主へ』となっていた。

それは、執事の手で既に開封されており、彼の表情からは、既に読んだ後であると理解出来た。


シュバリエがその手紙を奪い取り、読み始めると、みるみる間に顔色が変わって行く。

ちなみに、内容は



『イストリア郡総領主へ


こちらに危害を加えてくれたお前達を許しはしない。この手紙が到着してから数日の内に、首都であるイストリアごと殲滅しに行く。しかし、俺は慈悲深いので、俺が到着するまでに、着の身着のまま逃げ出すのであれば、別段殺しはしない。

だが、あくまでも、俺達の手で殺される為に戦うのであれば、容赦など一切せず、あの豚の様になぶり殺しにする事だけは約束しておく。


竜殺し兼魔王より』


となっていた。


顔面を真っ赤に染め上げたシュバリエが執事を怒鳴り付ける。


「さっさと全軍に戦闘準備をさせろ!!この調子に乗っている無礼者を、真っ向から叩き潰してやる!!」




かくして、魔王の望み通りにイストリアは全面戦争を選択、これから三日の後、魔王・魔人族連合軍11000と、イストリア軍約100000は、真正面から激突する事となる。



この時は、誰も予想してはいなかったで有ろう結果に終わるとも知らずに……。

ここで一応、陰謀編(仮)終了?次回からは、魔王編(仮)になる予定です

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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