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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第23話

評価ポイントが100ポイントを超えました!

皆さんに感謝です

彼女に先導させて森を走る。

彼女はすでに変身を人族型から獣人族型に戻して、戦闘準備を終えている。身体能力は変わらないのだが、やはり獣人族型の方が負担が少ないらしく、明らかに動きが良くなっている。

しばらくそのまま進んでいたが、目的としている地点に近づいたからか、俺の気配察知にもようやく引っ掛かるようになった。


「先に行くぞ」


と彼女に声をかけて速度を上げる。

そのまま彼女を追い越し前へと出る。

本来の姿ならばまだしも、変身して人型になっている状態では俺の方が速い。……何故かは知らん。何でだろ?


そんなこんなで先行しながら気配を辿って進んでいると、俺の耳にもようやく戦闘音が聞こえて来た。

おそらく敵は大型の魔物が一、生き残りの保護対象は三……いや二か?

敵の方は咆哮や足音の大きさからかなり大型であり、足音のリズムから複数ではなく単体である事が予測出来るし、気配察知にも大きな反応があるからそう判断出来るのだが、生き残りの方はちと微妙である。

戦闘音から察すると、おそらく短剣使いか武闘家(かなり短い間隔で金属音が有り、足音からして細かく攻撃しては離れるを繰り返している)それと弓使い(鋭い風切り音が有るため)それに加えて魔法使い(魔法と思わしき爆音有り)がいると思われるのだが、そんなにバランス良く残っていたならガルムが言う程のピンチって言えるのか?

それに、気配察知的にも、戦闘のリズム的にも、戦っている保護対象は二人……のような気もする。

弓使いか前衛が魔法も使えるとかそう言う落ちかねぇ?


そんな感じで思考を遊ばせていると、森が開けて目的の戦闘地帯に突入した。

するとそこには、案の定の光景が広がっていた。


こちら側に背を向ける形で二人の人間が巨大な蜥蜴のような魔物と戦っている。

まぁ、蜥蜴と言っても、あからさまに表皮が岩っぽい感じでゴツゴツとしているのが遠目でも良く分かる程度に生物辞めてるのだけど。

蜥蜴から視線を外し、戦っている人間の方へと向ける。

一人はフード付きのマントを纏っているので種族や性別の判定は出来ないが、前衛として戦っている獣人族を弓や魔法でしっかり援護しているので、助けるだけの価値はありそうだ。

前衛として短剣を振るいながらヒット&アウェイに徹しているのが、ガルムが気にしていた獣人族だと思われる。

遠目では顔立ちまでは良く分からないが、体型や髪型からして女性と思われる。

その頭頂からは犬系と思わしき耳が生え、遠目でも分かる程にフサフサとしていそうな立派な尻尾を携えていた。



……よし!助けるか!!



いや、別にあの耳をコリコリしたいだとかあの尻尾をモフモフしたいとかではなく仲間でもあり愛しくも思っているガルムからのお願いでもあるのだから仕方ない助けてやるか。

ついでに相方の方も助けてやるかね。

……何?本音を吐け?



あの耳と尻尾をモフモフしたい!



『……さっきから、心の声がただ漏れであります……。』


いつの間にか追い付いていたガルムが、横でじっとりとした眼差しをこちらに向けていた。

どうやら、俺の心から情熱(パッション)が溢れてしまっていたようだ。

意志疎通による念話状態なのは、敵の注意を引かないためだろうか?

……しかし、これはアレかねぇ?

いわゆる『嫉妬』ってやつかね?

何この子、もしかしてジェラってんの?



『そうであります!モフるのであれば、自分をモフるのであります!!』



やだこの子、馬可愛(ばかわい)い。


そんな感じでふざけていると、前衛の獣人族が蜥蜴から尻尾の一撃をもらって吹き飛んでしまう。

どうやら、疲労と負傷による判断力の低下と体力の消耗で、動きが鈍くなった為のようだ。

後衛として戦っていた弓使いの方も、何やら先程から地面に膝をついて脇腹を押さえている。

手元と足元が赤く染まっている事から、かなりの出血が予想される。いつの間に受けたんだ?


まぁ、助けに入るなら、この辺か。


そう判断した俺は隣にいるガルムに視線を送る。

彼女は彼女で理解しているらしく、ただ首肯して応える。

ならば、と俺は魔力による強化を含めて全力で駆け出し、巨大蜥蜴との距離を詰める。

途中、弓使いの(そば)を通ったので、すれ違い様に


「救助に来た。後は任せろ。」


と声をかけておく。

既に後方になったそいつからは、困惑と安堵、そして幾ばくかの警戒が感じられた。まぁ、当然だろうね。

ガルムが吹き飛ばされた獣人族を回収したのを気配察知と視界の端で確認し、お化け蜥蜴の前に立つ。

本来の姿に戻ったガルムよりも大きなそれを見上げながら、どうしたもんかと思考する。

……そもそも、コレって本当に生物か?

ゴーレムなんかの類いと言われた方が納得する自信が有るぞ、俺は。

とりあえず鑑定してみるか。



ギガントロックリザード・脅威度S+

年月の経て巨大化したロックリザード

元々硬い表皮がさらに強硬になっている

異常にタフ

非常に美味



……本当に蜥蜴だったのかコイツ。

てか生き物かよコレ!

まだ建築物と言われた方が納得出来るぞ!

しかも『美味』って本当に旨いのかアレ?てか食えんのかアレ?

……それにしても、最近『簡易鑑定』さんの鑑定結果があんまり『簡易』じゃなくなっている気がするなう。


そんな事を考えながらとりあえず、眼前の岩蜥蜴に斬りかかる。

強硬な表皮を持っているとか説明が出ていたので、ちゃんと斬れるか微妙ではあるが、モノは試しとやってみる。

とりあえず、一番近かった左前足に狙いをつけ、剣に魔力を流して強化し、助走も着けて全力で振り抜く!

これで斬れればいいんだけど、ねっ!!!



ズッッッッッパァァァァン!!!!



「ギィィアアアアーーー!!!」



……あっれー?斬れちゃったよー?

強硬な表皮がお仕事してないよー?

しかも斬れすぎて左前足両断しちゃったよー?

……どうしてこうなった……。


まぁ、良いや。

今の手応えから、全力でなくてもコイツの表皮は切り裂けそうだと分かったし、保護対象の連中も早めに回復してやった方が良さそうだし、とっとと解体(バラ)してしまうとしようか。


痛みでのたうち回る岩蜥蜴に再度近づく。

激痛に襲われながらも一応はこちらに意識を向けていたらしく、丸太のような尻尾で反撃を仕掛けて来た。

こちらも何かしてくるとは思っていたので、そのまま大上段に構えた剣を尻尾目掛けて降り下ろす!


ザン!!


と心地好い音と共に尻尾を切断する。

しかし、こうなるであろう事は分かっていたであろうはずなのに、敢行した意味が分からん。

……解せぬ。

そんな風に考えていると、足元に影が差している事に気が付く。

さっきまで影なんてなかったはず、と思って見上げると、そこには岩蜥蜴の頭が迫って来ていた。

成る程、尻尾は囮で本命がこっちか。

感心していると、どこかから悲鳴が聞こえた気がするが、素直に食われてやる気など更々無いので反撃させてもらう。

俺を食うつもりで口を開いて迫って来る頭に対して、その顎先に全力でアッパーカットをカウンター気味に叩き込む。


一応全力でぶん殴った為か下を向いて迫って来ていた頭が真上に跳ね上がり、その首元ががら空きになる。

まだ何かやらかされると面倒なので、硬度無視の遠斬で首を落として戦闘を終わらせた。




******




振り返って見ると、弓使いが気絶した獣人族を抱えたガルムによって治療を受けている。

剣の血糊を振るって落とし、納刀しながら声をかける。


「こちらは終わったぞ。そっちはどんな感じだ?」


「お疲れ様であります。獣人族の娘の方は今のところ大きな外傷は無いであります。こちらの方は脇腹の外傷が重傷と言えば重傷でありますが、命に別状はなさそうであります。」


フム。

まぁ、それならどうにかなるか。


そういえば、もう一人は顔すらまだ見てないと思い出す。

獣人族の娘はまだ意識が無いし、何でこんなことになっているのか知るためにも声をかける事にした。


「よぉ、調子はどうだ?」


そう声を掛けつつ、ガルムが重傷と診断した脇腹に闇魔法で回復魔法をかけておく。いつぞやと同じ、あの名状し難いナニカだ。

ガルムでは、魔法属性的に治癒系は苦手なので、応急処置程度にしか出来ていなかったようだ。

そいつはいきなり発生したそれに対して最初は慌てたが、無害どころか自分の傷を癒すモノだと分かっておとなしくなる。

そして、フードを外して顔をさらし、その長い耳(・・・)を露にして頭を下げながら返事を返してきた。


「救助して頂きありがとうございます。私はシルフィ。エルフ族の者です」


とそこで一端言葉を切ってから猛烈な勢いでこう続けた。




「でも、一回助けたからって勘違いしないでよね!ハッ!もしかして助けた事を傘に私とこの娘にエロい事をさせるつもりなんでしょ!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!!私にも『くっ、殺せ!!』とか言わせる気なんでしょ!薄い本みたいに!薄い本みたいに!!

まぁ、こんな事言ってもこの世界(・・・・)の人には通じないだろうけど!!!」



…………コイツ、まさか俺の同類か?

新キャラ登場、この後どうなる?

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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