第21話
総PVが一万件を突破しました!ありがとうございます!
今回から街編(仮)スタートです。
前回から少し時間が跳んでます
どうも皆さん。名も無きスケルトン改めて誰だか分からない死体です。
最後に皆さんにお会いしてから、こちらでは約3週間程経過しました。
…何?出だしがいつぞやと同じ?
そんな事、駄女神か作者に言って下さいな。
さて、メタい話はここまでにして、取り敢えず経過報告をば。
まずは彼女の経過から。
取り敢えず、最初の3日程で彼女の傷は塞がるだけはふさがりました。まぁ、と言っても失った血やら体力やらの回復の為にもう少し時間が掛かり、万全と言えるまで回復するのには計一週間程掛かる結果になりました。
コレでもなかなかに素早い回復だったと思うのですが、彼女的にはいまいちな速度だったようで、おまけに『動けない+主人に世話させている』と言う状況に不満があったらしく、少々ストレスを貯めてしまっていたようでした。
彼女本人は口に出してはいませんでしたが、つまらなそうにしている様子や俺に世話されている際の申し訳なさそうな表情を見る限り、間違ってはいなかったはず。
……まぁ、頭撫でてやれば一発でご機嫌になったのはここだけの秘密ってことで。ちょろい。
そんなこんなで彼女がまともに動けるようになってからレべリングで10日程消費する事に。
何でも、彼女は既に進化を経験しており、フェンリルからハイ・フェンリルに進化済なんだとか。そのせいかレベル上限が500と高く、既に480台に乗っかっていたにも関わらず、それだけの時間が掛かることとなった訳です。ちなみにコレでも手早く済んだ方。
どうやら主従契約で結ばれているお陰で、彼女も成長促進の恩恵に預かる事が出来たらしく、効率4倍化する事が出来た為この程度で済んだ訳です。ハイ。
途中でオークの集落を見つけられたのも大きかったかもしれないです。彼女曰く「オーク美味しかったであります」との事。経験値的にも味的にも美味しかったと言うことでしょう。実際に食ってたし。
勿論、オーク共は殲滅しました。
進化の件に関しては、結論から言えば彼女は進化しませんでした。
正確に言えば『出来なかった』が正しいのだけど。
彼女から聞いた話では、なんでもこの世界の魔物には進化のタイプが二種類あるらしく、一つは俺のように進化可能な回数が表示され、好きなタイミングで進化出来るタイプ。もう一つは回数が表示されず、進化するタイミングもレベルが上限に達した時だけに限定されるタイプの二種類になります。
前者のタイプは珍しく、後者のタイプがほとんどらしいです。彼女も聞いたとき驚いていました。
ちなみに後者のタイプの優れた点としては進化時の上昇幅が大きい事らしいです。と言ってもこの世界ではこちらのタイプが一般的なので、どちらかと言えば俺みたいな前者型の上がり幅が小さいと言うべきかも知れませんが。
あと、後者のタイプはレベルが上限に達するとその場で進化するらしいのですが、彼女は上限に達しても、進化出来なかったので、ここで打ち止めのようです。
まぁ、とは言ってもレベルMaxのハイ・フェンリルに勝てる奴がどれだけ居るのか?と聞かれれば、ヘルプの奴にも『ほとんど存在しない』としか答えられないそうで……。
ただ、彼女の父親がフェンリル・ロードらしく、彼女自身もそれを目指していたため、そこに至れなかったからか少々落ち込んでいましたが、慰めてみたら元気になっていました。ちょろい。
そんなちょろい彼女ですが、どうやら俺の事が“好き”らしいです。
……何?『勘違い乙』?『リア充爆死しろ』?
勘違いも何も下着姿で深夜帯に夜襲されれば、誰でも気付くでしょうに。ちなみに説き伏せて撫で回して寝かしつけたので、まだ手は出して無いです。
ただ、俺個人として彼女にどう答えようか悩み中な訳です。
だって俺、アンデッドですよ?
スケルトンなんですよ?
骨だけなんですよ?
他は何も無いんです。
ナニも無いんです。
無論彼女の事は愛しく思っていますが、そんな俺がどう答えたモノかとお悩み中な訳なのです。ハイ。
そんな俺達ですが、彼女のレべリングが終わってから4日程かかった旅支度を終わらせ、砦から街を目指して旅立つところだったりします。
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いつぞやの冒険者から剥ぎ取った背嚢を背負いながら彼女に声をかける。
「よいしょっと。忘れ物は大丈夫か?」
彼女も背嚢を背負い、両手両足に黒色の武具を装着しながら返事を返す。
「一応は大丈夫であります。ただ、主殿との初夜だけが忘れ物であります!」
「ハイハイ。んじゃ、扉封じるぞ~。」
そう言いながら砦の正面入り口の大扉に手を当て、いつぞやの如く闇魔法の魔力でコーティングして行く。
中にそこまで貴重な品が残っている訳ではないが、荒らされるのも面白くないしどれだけ空けるかも今のところ不明なので、取り敢えずドラゴンでも入れない位にガチガチに固めておく事にする。
まぁ、光魔法の浄化で解除出来ちゃうのだけれど。
そうやって戸締まりしていると、少々いじけたような声が聞こえて来た。
「うう、最近自分の扱いが雑になって来た気がするであります……。」
「いきなり下ネタ全開で突っ込んで来るからだろうに。年頃の女の子ならもう少し“お淑やか”になさいな。」
「オシトヤカ?何でありますかそれ?美味しいのであります?」
ダメだこりゃ……。
「それよりも、もっと自分を構うであります!ぶっちゃけ暇であります!つまらないであります!」
戸締まりを終えて扉から手を離しつつ、(子犬か何かか?)と改めて思い直しながら、片手で耳元を中心にモフっておく。途中で「あ、や、そこはらめ~!」とか聞こえた気がするが構わずモフり続け、空いている手で背嚢とは別の肩掛け鞄から目的のブツを取り出す。
おっ!あったあった!
周辺地図~!!
いや~あったら良いなと追い剥いでみたら案の定持ってましたよ“地図”!
この類いの情報が有るのと無いのとでは、天と地程も差が出るから、正直持ってなかったら地獄まで追いかけて行ってまた殺してやろうかと思っていた位重要な情報だもの、当然だよね!
そんな地図を広げて、周辺の地形と照らし合わせて得た現在地から、周辺唯一にして最大の都市“イストの街”までの経路を再確認する。
冒険者であると偽る為の魔物の素材を満載にした背嚢を背負い直し、いつの間にか腰砕けになっていた同行者を立たせて、俺達は人間の街までの第一歩を踏み出した。
-そこで彼等は『ヒト』の醜さを知る事となるが、今はそれを知るよしもない。
最初から街にいるとはいって無い




