第17話
PVが前話で5000を越えました!
皆様に限りない感謝をm(__)m
今回、対人描写が入るのでご注意下さい
「さて、糞ムシ諸君……」
一時的にでも“敵ではない”と彼女に認識してもらえた俺は、その彼女を散々痛め付けてくれたゲロ以下の糞ムシ共に向き直り、こういい放つ。
「細切れにされた後で、地獄の釜の最奥に叩き込まれる覚悟は出来てんだろうな……?」
……何?『何時もと感じが違わないか』って?
そりゃぁ当然。
だって俺、有り体に言って“ぶちギレ”てますから。
「それともアレか?お前らは、先に手傷を負っているようなヤツを集団で狙うしか出来ないような糞ムシ以下の屑だったか?
なら、こちらから攻撃してやるだけの価値すら無い。皆殺しにしてやるからさっさと掛かって来い。」
だって考えてもみて欲しい。
複数人数で“女性”一人をよって集って暴行しているような連中である。
判決は死刑以外あり得んとは思わんか?
『状況が違う』?『相手は魔物でそいつらは人間』?
……だから何?
お忘れかも知れないが、今の俺は『魔物』だ。
人間じゃあ無い。
それに、人間だって同族が危機に晒されていたら助けるだろう?それと同じさ。
……っとと、イカンイカン。
余りの怒りに脳が沸騰してたわ……。
多分、脳なんて無いけど。
まぁ、今までの思考も台詞も九割五分本心なのだけど、残りの五分的には激昂して突っ込んで来てくれないかなぁ、何て淡い期待を
「……そこまで言ってくれるとは上等じゃねぇか!」
「ぶち殺す!」
「私の魔法で後ろの獣ごと吹き飛ばしてやるわ!」
「……皆さん、アレは神敵です。一切の慈悲も無く排除して下さい。」
「「「任せろ!!!」」」
……どうやら馬鹿共が釣れたようです。
後、一つ訂正しておくが、俺はどちらかと言うと『神敵』ではなく『御使い』なのだがね?……破壊神だか邪神だか魔神だか駄女神だか知らんけど。
あと、あんまり興味ないかも知れないけど、発言した順番に大剣使い・大楯持ち・多分魔術師(長杖+ローブ)・多分神官?(発言的に)となっている。
「まず俺から突っ込む!タイラン、マギ、プリス、後は頼むぞ!」
「シルド!俺も続く!」
「任せなさい!」
「シルドさん、貴方に神の御加護を……。」
……ようやくやる気になった様で、まずは大楯持ちが楯を前面に構えて『宣言通り』突っ込んで来る。
こちらの言葉が分かっているらしいのに、わざわざ声に出してコミュニケーションをとっているのなら、考えられる事は2つ。
一つは何も考えていない馬鹿。
もう一つは……
「『カースドエンチャント』!」
油断を誘う為、だろうな。
後衛にあたる位置から、神官らしき女が何やら魔法を使ってきた。
発動と同時に効果の出るタイプ、しかし、非攻撃型。
(一体なんぞ?)
と思っていると、急に身体が重く感じる。
……あ、はーん。成る程。
さっきのアレ、ステータス・ダウン系のデバフか!
流石ファンタジー世界!そんなのも有るのか!
解・アレは無属性魔法の『付与魔法』ですね。
へー。まぁ、やることに変わりは無いのだけどね。
こんな感じに考えながら、大楯持ちを迎撃するために剣を下段から振り上げる。
が、ここで予想外の出来事が発生する。
楯ごと真っ二つにしてやるつもりで振るった剣だったが、甲高い金属音と共にがっちりと受け止められてしまった。
無論、楯には刃がしっかり食い込んでいるし、相手も渾身の力で受け止めているらしく、脇に抱えた槍を突き出せずに固まっている。
意外とステータスを下げられているのか、楯が余程の業物かは分からないが、膠着状態に陥っている。
追撃に蹴りでもかましてやるか?と考えていたが、そのタイミングで大剣使いが腕が伸びきっていると判断したらしく、横合いから頭部目掛けて刃を振り下ろして来た。
そのまま幹竹割りにされてやるつもりもないので、闇魔法剣を左手に出して受け止める。
相手の刃を真っ直ぐ受けず、角度を付けて受け流す。だが、敵の付与魔法の影響か、角度付けが甘かったらしく、こちらの身体から外れた辺りで刃を立て直され、闇魔法剣を切断される。
このままだと攻撃されるので、新しく出した闇魔法剣を飛ばして反撃、大剣使いに剣を振らせないようにする。
もちろん大楯持ちの方も蹴り飛ばして剣を回収しつつ、とりあえず距離を開けておく。
フム?これは思ってたよりも……。
何て考えていた時、突っ込んで来ていた前衛二人が大袈裟に距離を取り出した。
何をする気だ?と思っていたら、完全に忘れていた後衛の杖持ちが魔法の準備を終えて、こちらに向けて撃ち込んで来るのが見えた。
(流石にコレは……)
直後、魔法が着弾し辺りは土煙に被われた。
******
良し、殺った!
土煙を見た瞬間そう確信する。
何て言ったってプリスがステータスを下げた上でのマギの全力魔法だ。以前、ドラゴンだってこのコンボで倒しきった事がある、このパーティーの必殺技だ。
本来ならば、俺とシルドが突撃した時にそれぞれ一発づつ入れて、更にダメージを与えておくのだけど、今回はアレだけのデカイ口を叩くだけの事はあり、なかなか強敵だった。
まさか、俺とシルドのコンビネーションを凌がれるとは思ってもみなかったが、やはり俺達の方が強かったようだな!
まぁ、ギルドランクAのパーティーである俺達“クレイモア”に難癖着けたのが間違いだったって訳だ!
なんて思いながら後衛のマギに、振り向きつつ声をかける。
「やったな!やっぱあんなヤツより俺達の方が「まだ、だよ……」……え?」
なんだって?まだ?
「まだって一体何の事だよ?ヤツならもう……。」
「まだ、消えてない……」
消えて無い?
「まだ、ヤツの魔力は消えて無いのよ!!」
震えながらそう叫ぶ彼女から視線を元に戻した時、土煙を切り裂いて、無傷のアイツが歩いて来た。
「やれやれ、流石にもう少しは出来るのかと思っていたんだがね。
さて、覚悟は良いか?糞ムシ共。」
先程の剣閃で切り裂かれたであろう、背後の木々が倒れる轟音を聞きながら、俺は手を出してはいけない存在に手を出したのではないかと後悔しだしていた。
******
「やれやれ、流石にもう少し出来るのかと思っていたんだがね。
さて、覚悟は良いか?糞ムシ共。」
そういい放ちながら前に出る。
土煙が鬱陶しかったので振り払ったが、その時に遠斬まで発動したのはご愛嬌って事で。
……ほら、演出的には威圧を強める事が出来たから、ね?
糞ムシ共が固まっているのを良いことに、今度はこちらから攻め込んで行く。
一応言っておくと土煙の中にいるうちに光魔法【浄化】で奴等の付与魔法は解除してある。お陰で身体が軽いです、はい。
まずは楯役から潰すべく距離を詰める。
こちらの注意が自分に向いている事に気付いた大楯持ちは素早く反応し、こちらの斬撃を受け止めるべく楯を構える。一度は防いだ攻撃ならのだから大丈夫と言った自信が伺える。……馬鹿だねぇ。
こちらの斬撃を楯が受け止めきる。
が、それを受け止めた馬鹿はそのまま真っ二つになっていた。
楯はそのままで。
そう皆さんお気づきの通り、スキル・遠斬を使いました。進化したお陰か、以前より負担が減った気がする。コレなら普通に戦闘中でも使えそう。
さて、再起動される前に後衛を潰すべく左手を向ける。こちらが何をしようとしているのか悟った神官が、魔術師の前に出て光魔法の結界を展開する。
……まぁ、その程度で守りきれるか試してみるか?
(用途は攻撃、形状は槍、障害をぶち抜き敵を討て)
「ほれ、【ダーク・ランス】」
使ったのは中級魔法のダーク・ランス。
見た目は紫黒色の槍みたいな1m程の棒だが、威力はお墨付きだ。……まぁ、例の扉は破れなかったけど。
それをまず一発結界に投擲する。
凄まじい音を立てて結界にぶつかるが、壊れるまではいっていないようだ。まぁ、結構罅だらけではあるが。
そんな結界の向こうからドヤ顔でこちらを指差しているのが見えたので、少々本気で三本程同時展開して投げつけてやる。
巻き上がった煙が晴れた時には、おそらく人だった塊が幾つか転がっているだけだった。
さて、後一人……なんて考えていると、そのラス1が叫びながら斬りかかって来た。
……まぁ、目の前で仲間が殺されれば錯乱もするか。
関係は無いけどね。
ただ単に力任せに振り下ろして来るだけだったので、左手で掴んで刃を止める。使ったのは親指と人差し指だけだけど。
なんとなく、出来そうだったので二指に力を込める。
パキィィーーン!
と綺麗な音を立てて大剣が砕ける。
随分と脆い物を使っていたものだと思いながら、元大剣使いの首を落として戦闘を終わらせた。
ちなみにAランクパーティーならば、A+からS-ランク位ならボコれる位の強さがあります。
使っていた装備も最低でもミスリル製です。
どうしてこうなった……。




