第127話
ブックマークにて応援して下さった方々に感謝ですm(_ _)m
ボスとの遭遇です!
「さてさて、途中で出て来た魔物も鎧袖一触に消し飛ばし、結局十階層毎に待ち構えていた階層主もズンバラリンと叩き斬り、こうして最下層付近にて漸く面白くなってきたからと、まだ使っていなかったスキルの数々にて無双を繰り広げ、結果的に最終階層のボス部屋の扉の前に立っているわけなのですが、これまで私の見せ場がどれ程有ったのか教えては頂けませんか?ん?
私の記憶が正しければ、一切の考慮の余地を挟まない程度には、手を出す隙間を作ってすら頂けなかったと思うのですが?これって私必要有りましたか?ねぇ?」
「……いやはや、仰る通りです……」
五十階層で遭遇した階層主を撃破した俺達は、その後も冒険者達の首根っこを押さえ付ける為の材料(踏破階数)を確保するべく、休む事もないまま(休む必要が有る程疲れてもいなかったけど)に階層を次々に踏破して行き、結果としてはこうして最下層のボス部屋の前の扉の処まで到達していた。
そして、そこで俺は、その扉の前にて正座を強要され、笑顔の仮面から怒りの仮面(吊り上がった線目とへの字になった口の切り込みが入っているだけの仮面)へと換装し、目の前で仁王立ちしたメフィストによってお説教を頂いていたのであった。
……いや、ね?
確かに?メフィストが怒りたくなるのも解るよ?
大元を辿れば『着いて来て?』と言い出したのは俺だけど、それはあくまでも念のためだったのでそうそう出番が有るのかどうかは分からないと言うのは、ある意味では当然だろう。
それに、そう言う環境だと理解した上でホイホイ着いて来たのはメフィストなのだし、そこまで言われねばならない事は無い、と俺も若干ながら主張したい処ではある。
……だが、いざ着いてくれば初っぱなからセクハラに強襲に虐殺。途中の魔物は俺が反射で挽肉にしてしまい、階層主もスキルの検証やらノリと勢いやらの犠牲となって参加出来ず。
挙げ句の果てには、ある程度の歯応えが出て来た最下層付近の魔物も、俺がノリノリで蹴散らしてしまったのだから、それは不満の一つや二つは噴出するものだろう。
まぁ、何だかんだ言って、結局その原因は俺である事に変わりはないんだけどね!
そんな感じで脳内だけは何故かテンションが高くなっていると、取り敢えずの怒りは収まったのかメフィストから解放宣言が発令され、仮面の方も普段のそれ(笑顔の仮面)へと変えられる。
そして、アンデッドから神へと至ったお陰か、半分は魔力だとか神性だとかで出来ているみたいだが、もう半分位は物理的な肉の身体として構築されている為に長時間の正座によって痺れた足を擦りながら立ち上がると、ボス部屋の扉を弄っていたメフィストが声を掛けてくる。
「それで?如何なさるのですか?このままボスまで討伐して、ダンジョンのコアまで破壊するのですか?それとも、最下層である百階まで到達しましたので、当初の目的である『公的記録よりも不覚潜る』を達成したとみなして引き返しますか?」
そう、大元を辿れば、俺達がこうしてこのダンジョンに潜った理由は、魔物が地上まで溢れて来ない様に間引く事と、その間引きを邪魔する冒険者を黙らせる材料を得る事が主な目的である。
一応、その両方を既に果たしてはいる(魔物は根刮ぎ。踏破階層は圧倒している)ので、このまま帰ってしまっても良いと言えばよいのだが、根治的な事を考えるのであれば、このままボスを倒してコアを砕く方が良いのだろう。
実際問題、九一階層から下で遭遇した魔物は、俺達であればなんの問題も無く駆逐出来る程度のランクでしかなかったが、俺達を除いてしまうと途端にまともに相手に出来る人が少なくなってしまう。最低でも、俺に引っ張られて『進化』を体験しているジョシュアさん達程度は必要になるだろうし、余裕を持って相手をしたいのであれば現在のジャックやジェラルド程度の戦力が欲しい位である。
しかし、そんな危険な魔物が出て来るから、と言ってコアを砕いてしまうと、今度はダンジョンから産出されるアレコレを主要産業として回っているラビリントや、ダンジョンに潜ることで生計を立てている冒険者達が路頭に迷う事になる。
それをしてしまうと逆に仕事が増えることになるのだそうで、ジョシュアさんからは『それしか無いと言うのでなければ止めてください』と懇願される位だからね。
それらの事情を加味した上で、手持ちぶさたな様子のメフィストに対して提案してみる。
「いや、ジョシュアさんからのお願いもあるし、取り敢えずボスだけは倒しておく、ってことで良いんじゃないかな?聞いた話によると、ダンジョンって言うのはボスを産み出すのに一番力を使うんだそうな。だから、この辺の階層で出て来た様な連中を産み出す様な余力を与えない様に、ボスだけ倒しておけば良いんじゃないかな?そうすれば、ダンジョン自体が死ぬ訳じゃないんだから、産業も守られるんじゃないの?」
それを受け、実際にかつてダンジョンを魔改造して住居としていたメフィストが、ある種の専門家として考え込む。
「……成る程、それならば、確かに私達に出された依頼の条件を全て満たせるかもしれませんね。それに、コアを砕かなくてもボスさえ倒せば帰還用の転移魔方陣が出現しますから、上まで歩いて登らなくても良いですしね。では、それで行きますか?」
メフィストからもゴーサインが出た為に、二人で目の前に在った扉を押し開き、ボスと相対するべく内部へと踏み入れる。
……ここまでは、なんやかんや言っても俺ばかりがアレコレとやっていたし、最後位はメフィストに譲ってやるのも良いだろう。
そうすれば、名実共に俺達であれば『二人で』このダンジョンを踏破したんだ!と周囲に自慢(?)してやれるし、そうした方がメフィストも楽しめるだろう!
……なんて事を考えていた時期が、俺にも有りました……。
死んだ魚の目をしながら、目の前に広がる非常識的な光景から全力で現実逃避を試みるも、俺の前にて跪く漆黒の鎧兜を纏ったこのダンジョンのボスの存在感はどうしても掻き消す事が出来ず、強制的に現実へと引き戻されてしまう。
……何故にそんな状況になっているのか?
それは、むしろこっちが知りたいって……。
ボス部屋に入って、ボスを確認するや否や、その長身巨体で人型をした姿に似合わぬ優雅さと軽やかさで俺達へと歩み寄り、その少し前の辺りで今の継続している様に頭を垂れながら跪いて来たのである。
特に何をした訳でもないのに、突然なその行動に思わず二人で顔を見合わせたけど、互いに心当たりが有るわけでもなかった為に、こうして気まずい状況となっていたりする訳なのである。
解・主様、少々よろしいでしょうか?
……なんだい?ヘルプさんや?
解・見たところ、その魔物はアンデッドの類いの様ですし、常に主様の動きに合わせて微妙に体勢を変えている処を見ますと、主様に対して跪いているのではないでしょうか?
……何故に?俺、こいつに何もした覚えは無いんだけど?
解・『冥界神の権能』に、アンデッドからの好感度上昇、と言うモノが含まれておりますので、それが原因なのではないでしょうか?丁度、騎士が主に対して剣を捧げる時の様な姿勢ですし。
……え?マジで??
解・はい、恐らくは。
なら、近寄っても大丈夫なのだろうか?と思いながら、好奇心半分警戒心半分位の気持ちで近寄ってみると、俺がギリギリ間合いの外に居る位の距離で、その腰に差していた長剣を跪いた姿勢のままに抜き放つと、咄嗟に構えてしまった俺に対して刃を自ら握って柄を差し出すと言った、お手本の様な『剣を主に捧げる』図を披露してくれたのだ。
……これって、俺が『主』として受け取らねばならないのかね……?
一瞬、受け取らずにズンバラリンとしてしまおうか?とも考えたが、人族相手でも無いのだから、そこまで非道に走らなくても良いか、と思い直してその柄を握って剣を受け取ると、その切っ先で軽く左右の肩に触れてから、差し出されていたその手に剣を戻してやる。
そうすると、一瞬本当にしてくれるとは思っていなかった、とでも言いたげな感情が込められた視線を兜の隙間から向けられるが、その次の瞬間には立ち上がって長剣を両手で握り締め、俺に対して捧げる様に掲げていた様子から、行動選択肢としては間違っていなかったのだろう、と一先ずは安堵する。
「……いや、結局このボスどうするんですか?」
そして、考えない様にしていた事を、メフィストの突っ込みによって強制的に思い起こされた俺は、半ば自棄でボスに
「この階層近辺で魔物が溜まってきたら、定期的に駆除して貰っても良いかな?」
と聞いてみた処、まるで主人から構って貰えた犬の様な雰囲気をぶち撒きながら、見た目だけは重々しく頷いて見せる。
「……大丈夫っぽいし、この人(?)に任せておけば良いんじゃないかな?……多分」
「……まぁ、この様子でしたら、多分どうにかなるのでしょう。
……結局、私の活躍の場が有りませんでしたが、それは『次』に期待をしておきましょうかねぇ……」
そんな事を話し合いながら俺達は、ボスが俺に対して忠誠を誓った為に『倒された』判定が出たらしく発生した転移魔方陣へと入ると、間引き要員としてお願いした『不死者』系の上位種と思われるボスに手を振ると、魔方陣の力で数日振りの外へと跳ぶのであった。
ボスとは遭遇するとは言ったが戦うとは言っていない←(オイッ!
後数話掛けて冒険者達にお仕置き兼ブートキャンプ(調教)をした後に後日談を入れてお終いにする予定です
後少しだけお付き合い頂けると大変有難いですm(_ _)m
面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価、感想等にて応援して頂けると大変有難いですm(_ _)m




