第123話
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ジョシュアさんからの依頼を受ける事にした俺達は、あの酒場でアレやらコレやらやった次の日、北部で最大級のダンジョンを擁する街である『迷宮街』ラビリントへとやって来ていた。
「……なんだ?冒険者か?面倒は起こしてくれるなよ?」
「へいへい」
そう、別段、何を隠す訳でもなく、あの時登録していたギルドカードをそのまま提示し、真っ正面から街へと入って行く。
「フッフッフッ!案外とすんなり入れましたな。もう少し、何かしらの問答が有るかと思っていたのですが、特には有りませんでしたね」
「そりゃそうでしょ?だって、誰も俺が魔王だとは思わないだろうさ。大方、只の同性同名か、もしくは魔王の名前を知らなかったのか、って処じゃあないのかね?」
「……そんなモノですかね?」
「そんなモノさ」
基本的に、元々俺を魔王として認識出来る様な人物はそこまで多い訳ではないし、俺自身もそこまで民衆の前に積極的に出ていた訳ではないから、俺の顔を知らなくても仕方がないんじゃないだろうか?
まぁ、ソレだけでなく、割りと悪目立ちする普段使っている装備の数々を、割りとありふれている別のモノへと変更している為に、俺がここに居る、と言う事を事前に察知して探していなければ、基本的に見付かる事は無いと考えている原因の一つではあるのだろうけど。
そんな訳で、普通の革鎧に長剣と言った服装の俺と、自身の体型に合わせ直したと思われる燕尾服(ただし、素材は在り来たりなモノ)を身に纏ったメフィストは、俺は腰にぶら下げた長剣だけが浮くほどに良質なモノである事から、メフィストは女性なのに燕尾服を着ている事。仮面を被っている事。腰のモノ以外は明から様に『初心者冒険者』と言った風体かつ、パッと見人族にも見える俺に従っている事から注目を集めたが、それらを完全に無視して冒険者ギルドへと向かって行く。
そして、ギルドの入り口をくぐり抜け、空いていた受付にてダンジョンへと潜りたい事を説明すると、怪訝そうな顔と共にギルドカードを提示する事を求められた。
「このラビリントはダンジョンから産出される魔石や魔道具によって成り立っています。よって、軍による無差別な攻略や無計画な魔物討伐はハッキリ言って迷惑ですし、碌に下準備もせずに押し掛けられ、地図に情報に食料にと何でも押収されるのは、不愉快以外の何物でも無いですからね。よって、こうしてカードを確認して軍関係者でないかを確認しているのですが、失礼ながら貴殿方の種族は何ですか?軍関係者はもちろんお断りですが、人族はソレ以前のお話なのですが?」
そう言いながら、俺達へと敵意の混じった視線を向けてきた受付嬢に対して、苦笑を浮かべながら右手を差し出し、その目の前で『人化』状態を部分的に解除してやる。
「……なっ!?」
「……ちなみに、俺は元『魔王軍』所属で、今はフリー。カードは魔王軍に所属する前に作ったヤツ、って言えば、外見がこうなのも理解してもらえるよね?」
そう、口元に笑みを浮かべながら語り掛けて、それと同時に右手を引き戻して『人化』を掛け直していると、どうやら『元人族の冒険者で魔王によってアンデッド化した為に、ギルドカードを持っていて外見が人族である』と勝手に勘違いしてくれたらしく、手早く手続きの方を進めてくれているみたいである。
……え?大嘘つき??
何処が?俺は本当の事しか言ってないと思うけど?
そんな風に、頭の中だけでふざけていると、手続きを終えたらしき受付嬢が恐々とした様な雰囲気で、俺が提示していたカードを返して来る。
「……あの、今回こうしてここに来られたと言う事は、やっぱりギルドと軍との関係性が危ぶまれているから、でしょうか……?」
「……さぁ?俺はもう魔王軍を抜けた身だし、特には公職には就いていないから発言権も特に無い。こうやってここに来たのは、確かに『粗暴な冒険者が多い』って知人に聞いたからだけど、何でそう思ったのかな?何か、心当たりでも?」
「……それは……」
俺からの質問に、答えにくそうに口ごもる受付嬢。
何となく言いたいことが有るのだろう、とは分かったが、それが何なのかは分からないので続きを促そうかどうしようか……と考えていると、後ろから木製の何かが壊れる音が聞こえて来たので、カードも既に受け取っていた事もあり、そちらへと近付いて行く。
するとそこには、碎けたテーブルや椅子と言った元家具現粗大ゴミに囲まれる様に倒れている、何やら粗暴そうな雰囲気をまとっていたと思われる荒くれ者(笑)数名と、それらの中心にて優雅に佇む、ほんの少し前まで俺と一緒にいたハズのメフィストであった。
「……早速なにしてんの?」
「いえいえ、手続きの間暇だったので酒場に顔を出してみたのですが、何かを注文する前に絡まれましてね?適当にあしらっていたら突然怒り出して襲ってきたので、物理的に説得しただけですよ?あのまま抵抗しなければ、問答無用で犯されていたであろう事を考えると、ソレだけで震えてくると言うモノです」
言葉とは裏腹に、とてもつまらなかった、とでも言いたげな雰囲気と、端から見ていても一発でそうなるなんて思ってなかったよね?と突っ込みを入れたくなる程胡散臭く自らの身体を抱き締め、大袈裟な身震いをして見せるメフィスト。
そんな彼女に
「そいつら程度で、お前さんをどうこう出来るハズが無いだろうがよ」
と、絶対的な事実を呆れが多大に含まれた声色で教えてやる。
すると、メフィストはメフィストでさも『心外だ!』とでも言いたげなポーズを取るが、俺としてはもう既にギルドで済ませねばならない事柄は終わらせているので、さっさと出るぞ、と仕草と視線にて指示をして、その場から踵を返す。
「やれやれ、随分とせっかちな主様だ。まぁ、そんな性格だとは、とっくの昔から知っている事だけど」
そう溢しながらも、その仮面の下ではほぼ確実に笑顔を浮かべていると思われるその声に、何だか胸の内がむず痒くなる感覚に襲われながらも、極力気にしない様にしながらギルドを出て進んで行く。
その後ろに、いつの間にか数歩分の隙間を作って着いてくるメフィストと共に暫く歩いて行くと、目当ての店の前へと到着する。
「……ポーションの店ですか?しかし、私達には必要無いのでは……?」
「まぁ、使っても効かないし、もし使うなら自分で作れるけど、普通はそんな事出来ないんだから、一応であれ偽装工作の為にも買っておかないと不自然だろう?何せ、ポーションはダンジョン攻略の必需品、とか言われる位なんだから」
そんなモノですかねぇ……?と不思議そうと言うか、理解出来ないと言うか、とにかくそんな感じの事を思っているのであろうメフィストの、気の抜けた様な声を聞きながら、店先に有る適当なポーションを一通り買って行く。
「……おいおい、あんた。一度にこんなに買っていくつもりか?金は有るんだろうな?ウチは、他の処みたいにツケはやってねぇぞ?」
そう、訝しげに聞いてくる店主。
まぁ、冒険者なんて荒くれ者、特に、この辺りの粗暴(と聞いている)な連中を相手にしていれば、自ずとそう言う事(金を払わない)も多くなるのだろう、と半ば同情出来なくもないが、だからと言って客全員に喧嘩腰と言うのは如何なものかと思うがね?
そんな事を思いながらも、粗悪品(正規品より一段階効果が低い)だと分かった上で、多少割高に請求された代金(魔王国での販売品の三割増)をキッチリと払ってやると、メフィストと手分けして品物を持ち帰る。
ある程度店から離れた所で、メフィストの魔法(進化してから習得した疑似アイテムボックス。時間は経過する)にてしまうと、今度こそダンジョンに向けて歩き出すのであった。
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