第112話
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俺を拘束していた縄?綱?鎖?……とにかく、俺を拘束していたモノを腕力に任せて引き千切った俺は、後ろにジョシュアさんとジャックとジェラルドとを引き連れて、俺の進化に巻き込まれたのであろう、最後に見た時とはかなり姿が変わってしまっているティーガさんの先導で、まだ目覚めていなかった面子が寝かされていた部屋へと急行している。
……しかし、こうして至近から改めて見てみると、やっぱり結構見た目が変化しちゃってるよなぁ……。
前方を進むティーガさんの背中を眺めながら、そんなことを考える。
外見的なモノを言わせて貰うのであれば、見方によっては『対して変わってない』とも言えるとは思う。
何せ、外見の特徴を端的に表現すれば、今も昔も『二足歩行している虎』と言う他には無くなってしまうのだから、まぁ、そこまで派手に変化している、と言う訳でも無いと言えば無い。
だが、敢えて具体的な説明を添えるとするならば、進化(多分)する前のティーガさんはあくまでも『人ベースに虎を合体させた感じ』の人であり、恐らくは俺が元々居た世界の住人に以前のティーガさんの姿を見せて、それについて聞いたとしても、多分同じ様な答えを返してくるんじゃ無いのか?と言える程度には自信がある。
と言うよりも、基本的にこの世界の『人獣族』の人達ってそんな感じの見た目になっているからね。
しかし、今のティーガさんはどちらかと言うと『虎を人形に改造したらこうなりそう』と言う様な感想を抱かせる様な外見となっており、身も蓋もない言い方になるがぶっちゃけた話をすれば、どちらかと言えば『こんな魔物居そうじゃないかな?』と思わせられる様な見た目となってしまっている。
一番似たような体型としては、某海賊マンガのヒョウの能力者に似ているかもしれない。
……一応、何に進化したのかだけは『鑑定』でもしておこうかね……?
ティーガ:窮奇
……oh……。
ボクシッテル、コレッテドッチノイミデモヤバイヤツダ……。(白目)
解・この世界の神話にも、主様の知識に有るモノと似たような存在として記述が有りましたが、分類上は『『魔物』に近い存在』となるみたいです。
……ちなみに、その『記述』って、どっちよりに書かれていたか分かるかね?
解・一応、立場的には『守護獣』の方に近いみたいでしたが、条件次第では『怪物』の方に寄る、と言う様な感じでしたので、そうそう無下に扱わねば大丈夫かと思われます。
……マジかぁ……。
まぁ、割合と親しい付き合いをしているつもり(俺としてしているつもり)だし、そこまで無茶ぶりはしていないつもりなので、そう簡単には怪物側には堕ちはしないだろうけど、それでも『絶対に無い』とは言い切れない以上、多少手間でも対処しておくしかないか。
具体的に言えば、聞き取りからの仕事環境の調整だとか、不満点の洗い出しだとかになるかね?
……今、俺がティーガさんの事をコロコロすると思った人、素直に手を挙げなさい。
大丈夫、今なら先生怒らないから。
……怒らないけど、ちょっとだけ首と胴体を切り離すだけだから、素直に言う事!
今言わないと、首チョンパした後に、豚のエサになってもらいますからね!
解・……主様?誰に向かって話していたのでしょか?
……ん?ああ、大丈夫大丈夫。
ちょっとばっかりふざけていたのと、別世界からの電波を受信したってだけだから。
解・ならば良か……った、ので……しょうか……?
そんな感じで内心のみヘルプ機能とふざけつつ、ティーガさんの案内にて廊下を歩き、城内を進んで行く。
すると、少し前から『気配察知』……いや、今は『気配掌握』となっているスキルによって感知していた、以前の俺と比べると桁違いに大きな気配へと段々と近付いて来ており、ティーガさんが止まった部屋の前まで来ると、その大きさがそれまでよりも一段と大きくなった様にも感じられる。
……ほぼ間違いなくここだろう。
そんな思いと共に、特に内部へと誰何する事の無いままに扉を押し開けて内部へと入る。
するとそこは、白を基調とした清潔感に溢れつつ、内部に並べられたベッドや、幾つも置かれた棚と内部の薬瓶から、医療室や救護室の類いである事が容易に予測する事が出来たが、内部へと歩み入った俺の目に飛び込んできた光景は、それらだけでは収まっていなかったのであった。
そう、ベッドを仕切るカーテンの白さ、清潔さを感じさせられるシーツの白さ、恐らく病人着の類いであろう服の白さに加えて、それらを挑発的に押し上げているモノを包んでいる布の白さと、そこから大胆にはみ出した肌の白さ等も加わった、本来『清潔さ』しか感じ得ないハズの空間が、何処か『淫靡』な雰囲気を醸し出している様な光景となっていたのであった。
……早い話が、内部の人達が着替えている途中で扉を開けてしまった、と言う訳である。
思わず反射的に『思考超加速』を使用して、まるで舐め回すかの様に観察してしまっているが、まぁ、相手は全員知り合いだし?俺も『男の子』だし?あと『進化』したお陰か、魔力によるモノではなくキチンと物理的な『肉体』を得た影響か、そっち方面の『欲』が何となく強くなった様な気もする(今までは『出来る』し『快感も感じた』けど『自発的にしたい』と思わなかった、って感じが一番近い)から、仕方ないよね?うん、そう言う事にしておこう。
ついでに『鑑定』もしてしまうとするかね?
ガルム:神喰狼フェンリル
シルフィ:始祖エルフ
ウカ:九尾の狐神
ウシュムガル:地母神龍ティアマト
レオーネ:獅子神王ナラシンハ
……oh……。
解・見事に皆様神族になられているみたいですね。
……そうだねぇ……。
みんな、名前に『神』って入ってるもんねぇ……。
解・……現実逃避中の処申し訳有りませんが、一応シルフィ様も神性を獲得なされている様子ですよ?
……まぁ、俺が居た世界の伝承で、最初のエルフって言うのは神様の一種だった、何て話が有った位だから驚きはしてないよ?ホントダヨ?
解・……では、あの一番奥のベッドに腰掛け、『笑顔の仮面』を被り、サイドテーブルに置かれていたシルクハットと燕尾服に着替えようとしている彼……ではなく『彼女』も『鑑定』すべきではないでしょうか?
……本当にしなきゃアカンかね?
解・しておいた方がよろしいかと。
……なら、仕方ない。『鑑定』っと。
ファウスト(メフィスト):悪魔神アンリ・マユ
……メフィストや、あんさん、何で『女性』になっとるん?
……いや、確かに?元来『無性』だって話だったし?最初の姿も何となくで決めて気に入ったから固定している、って話だったけどさ?だからと言って女性化しなくても良かったんじゃないのかね?
……あと、意外とスタイル良いのね、君。
そんな下らないやり取りと思考を、『思考超加速』によってコンマ数秒の世界で行っていた俺達(俺とヘルプ機能)は、どのみちこのまま開けっ放しはマズイ、との意見に行着き、大人しく扉を閉める事にした。
そして、細心の注意を払って扉を壊さず、そして、内部で着替えていた女性陣(約一名微妙だが)に気付かれ無い様に最大の速度でソッと扉を閉める事を、『思考超加速』を解除した瞬間に試みたのだが、後数センチで達成、と言う段階で扉の隙間に指が差し込まれ、有無を言わさぬ雰囲気と共に、俺のトンでもステータスを振り切って扉が抉じ開けられた。
「あら?わざわざ出る事は無かったのでは無いでしょうか?旦那様?」
そう、笑顔には間違いないのだが、何処か威圧感を満載にした笑顔と共に、着替えの途中であった為か、もしくは故意になのかは定かではないが、そのグラマラスな肢体を惜し気もなく俺だけに晒しながら(角度的に俺にしか見えてないと思われる)、その何処からそんなパワーが出てるんでしょうか?と以前ガチで聞いた事の有る細腕を俺の首に回してくると、問答無用!とでも言いたげに部屋のなかへと引き摺り込んで、ジョシュアさんやティーガさん達が入ってこれない様に扉へと鍵を掛けてしまう。
そして、俺を部屋のなかへと引っ張り込んだ勢いを利用して、空いていたベッドの一つへと放り込むと、何時ものメンバー+1にてその回りを取り囲まれる。
何やら異様な雰囲気に内心冷や汗を流していると、俺を取り囲んでいる面子が次々に口を開き出す。
「主殿!久しぶり?でありますな!何やら雰囲気が変わったようにも感じられましたが、こうして見ればやはり主殿でしたな!」
「どのみち、ジョンさんはジョンさんでしょう?そこまで変わること何て無いって」
「でも~、私達が進化している間に~、『神様』が教えてくれた『変化』は~、私達には好ましいモノじゃあないかしら~?」
「まぁ、それは確かですけどね?それでも、本質的にジョン殿が変わられていないのは喜ばしいと思いますよ?」
「フフフ、まぁ、それでも、私並みに変化していなかったのだから、まぁ良いのではないでしょうかね?」
「「「「それは確かに」」」」
……会話について行けずに呆然としていると、俺を引き摺り込んだ張本人であるハズのウシュムさんが一言も発していない事に気が付いたのだが、それと同時に自身がパンイチの状態に加工されている事に気が付く。
「£∥Å∇∈Ω〇/$!!?」
衝撃により思わず言語化が不可能そうであり、同時に意味不明な音を出してしまうが、それに構うものか!と言わんばかりの勢いでにじり寄って来ていた全員に押し倒され、ベッドに沈み込む事になる。
「さぁ、今の今まで『出来なかった』事を為すチャンスです!この機を逃す手は無いと心得なさい!!」
そして、ウシュムさんによって挙げられた号令により、六対一の絶望的な戦いが幕を挙げる事となったのであった。
メフィストの変化やウシュムさんのセリフについては、次回にて説明の予定です。
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