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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第109話

更新遅れて申し訳無いm(__)m

色々弄っていたら一日ずれてしまったでござる。

駄女神に強制転移させられた先は、何処かの神殿の様にも見受けられる神域の何処かでした。


咄嗟に、しゃがみ込んでいた体勢を建て直す為、その場に立ち上がって周囲を見回す。

辺りに視線をさ迷わせてみるが、駄女神と思わしき人?影は見当たらない。

……この手の事柄では、普通召喚したやつが近くに居るものだと思ったのだが、そうでも無い……のか?


いや、多分違うだろう。

あの駄女神の事だ。

ほぼ確実に、この近くに居るハズだろう。

何時ものパターンから考ると、隠れて俺の反応を観察していると見て間違いは有るまい。

くそ!何処だ?何処に居る!?


そうやって、俺をこの場に連れてきたハズの駄女神を探している時だった。

唐突に、その、聞き覚え?が有る声が、俺に対して放たれたのは。




「フフフ!♯$※⊿さん、いえ、今はジョンさんでしたね?ジョンさん、貴方が探している私は、ここに居ますよ!!」




最初の部分は聞き取れなかった……いや、違うな。

おそらく、俺自身が『理解する』事を拒否した為に、意味不明な文字列としてしか聞き取れなかったのであろうソレと、次に言い換えられ、俺の耳にも聞こえたソレは、両方ともが『俺』を示す名詞なのだろう事は、直接俺の名前が呼ばれていた事で理解出来る。

そんな声に反応して、真っ先に確認したハズの背後へと振り返ると、そこには無駄に神々しい容姿の女神(推定)が立っていた。


波打ちながら、彼女の足元まで届きそうなその長髪は、まるで黄金から作り出したかの様な美しい金色をしており、ソレ自体から神秘的な光を放っている様にも見える。

その美貌は、『人』が想像出来る限界を超越していると言っても間違いでは無いと言える程に整っており、そこだけ見ていると、まるで人形でも見ているかの様な気分的になってくるが、その柔らかく上向きな曲線を描く口元が、彼女に人間味とでも言うべきモノを与えている。

体型は、最早女性であれば、見るだけで溜め息を突くか、その場で崩れ落ちる事が約束されているであろう程に『女』を強調しており、正しく『黄金比』を体現した存在だと言えるだろう。


見つけた!!!


決して口には出さないが、その時、確実に俺は『歓喜』の感情を抱いていた事は、間違い無いだろう。

思わずその場で叫びそうに成る位には、身体の内側を感情が荒れ狂ったのだから、断言出来ると言っても良い。


その場から、一歩、二歩、と足が勝手に前へと進み、その後は抑えようとしても抑えきれずに、勝手に走り出してしまい、急速に彼女との距離を縮めて行く。


それを見た彼女は、正しく神の如く慈愛に満ちている様に見える笑顔を浮かべ、その場に立ち止まったまま、両腕を開いて、まるで(ここ)へと飛び込んで来いと言わんばかりの体勢で待ち構える。


「ええ!ここです!私はここに居ます!貴方が最も敬愛し、情愛を抱き、そして、現在求めて止まない私は、今、ここに居ます!さぁ、私の元へ飛び込んで来なさい!!そして、この場で私との愛を育み、彼女達ではなく私と結婚するので」




……さっきから、やたらと駄女神が五月蝿い。

何かを勘違いしていたらしい駄女神が、何かを喚いていた様だが、俺には一切聞こえていなかったし、聞いてもいなかった。

ただただ、かの眼前に居る駄女神へと、際高速度にて振るわれる、最高の一撃を、その無駄に整った顔面にめり込ませる為に加速を続ける。


後二歩で衝突する、と言う距離まで踏み込んでから、最後の一歩で急減速を掛け、その運動エネルギーの全てを、脚から腰へ、腰から肩へ、肩から腕へと伝播させ、最終的に拳へと集約させてから、やや下から上へと抉り込む様な形で、眼前の駄女神へと叩き込む!!!




「死に晒せぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!」




「あべし!!!?」



その、僅か一年と少しとは言え、あの世界に送られた事で俺が味わう事になった苦労や苦痛やその他諸々を全て凝縮した正義の鉄拳を、顔面にて受け止めた駄女神は、女性が上げるのは不味いんじゃないの?と突っ込みを受けそうな声を上げながら、その勢いのまま上空に打ち上げられ、四回転半捻りを決めてから、無様に床へと墜落し、まるでカエルが踏み潰された際に上げる様な「グエッ!」と言う呻き声を上げて地面にへばりつく事となったのである。


……邪神滅ぶべし!!!




******




俺が正義の鉄拳を駄女神の顔面にめり込ませた後、うつ伏せかつ尻を上に上げた状態で地面とお友達になっていた駄女神の尻を蹴飛ばして起こして(実際にやった時に、無駄に色っぽい喘ぎ声が出ていたのは、きっと気のせいだと思いたい)から、小一時間程正座させたままで説教を垂れてやっていたのだが、この駄女神には効果が無かったらしく、まるで『構ってもらえて歓喜している駄犬』と言った感じで俺を見つめていた。


……なので、ボソリと、本当に聞こえるかどうか程度の声量で一言、こう呟いてみたのだ。




「……俺、自身のミスで説教されているのに、反省する素振りすらしない様な奴って大嫌いで、見ているだけで虫酸が走るんだけどなぁ~。特にこの目の前の駄女神とか、見ているだけで吐き気がしそうな位に嫌いになりそうなんだけどなぁ~」




「スミマセンでしたーーーーー!!!!!」



……本当に、呟いた俺本人ですら、辛うじて聞き取れる……かな?って程度の声量での呟きだったのだが、その効果は抜群だったらしく、速攻で土下座を通り越して土下寝?(完全に地面に這いつくばる形を取っている為五体倒地か?)を敢行する駄女神。

べったりと地面にへばりついて居るため、良く聞こえないが、何やら硬いモノで殴打している様な音と共に、「すみばぜん」だとか「もうじばぜん」だとか「もうザボりばぜんがら~」だとか「(ぎら)いにならないで(ぐだ)ざい~」だとかの泣き言が聞こえてきている……様な気がする。


「……なら、ちゃんと反省するか?」


「じばず!!」


「悪かったのは?」


(わだじ)でず!!!」


「これからは、キチンと仕事するか?」


「ざぜで(いだだ)ぎまず!!!」


「……そう言って、またサボるんじゃ無いのか?」


(がみ)(ぢが)っでザボりばぜん!!!」


……勝った!

今後に関しても、こうして言質を取ったのだから、流石にやらかしはしないだろうし、やらかしたとしても自分でどうにかするだろう。

そんな事を考えていた時だった。

突然に



「「「「「……オォォォオオオオオオ!!!!」」」」」



と、周囲に響き渡る様な歓声?雄叫び?が上がったのだ。


それまで気配すら感知出来ていなかったので、慌てて周囲を見回して見たのだが、その時には既に、俺と駄女神とを囲むような形で人垣が出来ており、その囲んでいる連中が声を上げていたのだった。


よくよく観察してみれば、今だに土下寝を続けている(頭部から血溜まりが拡がっている事が確認出来たので、殴打音の正体は、額を地面に打ち付けているモノであると予測される)駄女神と同じ様な服装(古代のギリシャだとかローマだとかの人が着ているイメージのアレに似ている)をしている為、おそらくは『神』なのだろう事が想像出来るが、そんな事を考えている余裕は、今の俺には存在しなかった。


(一体何なんだ、こいつら?てか、どっから涌いて出たんだ、こいつら?)


何故なら、俺の頭のなかはそんな考えでいっぱいになっており、まともに思考を回す事は難しく、ある種のパニック状態に陥っていたのだから。


そんな時、端から見ても、確実にパニクっていると分かったであろう俺に同情したのか、人垣を割って、一人……いや、神だから一柱か。とにかく、一柱の女神が前に出て来て、俺へと声を掛けてきたのだ。


「初めまして、魔王殿。私は、そこで転がっている最高神様のお付きをしている、下級神の一柱です。この度は、最高神様からの無茶ぶりの達成と、普段から馬鹿しかしない最高神様を諫めて頂き、感謝してもしきれない程です。本当に、ありがとうございます」


そう言いながら、神の身で在りながら、俺に対して頭を下げてくる自称下級神さん。

……何だか、この(ひと)こそが最高神で、そこに転がっている駄女神こそが、下級神なんじゃ無いのか?と思えてきたのだが……。


そんな下級神さんに対し


「いえいえ、こちらこそ。ご丁寧にありがとうございます」


と軽く頭を下げてから、駄女神相手では聞けない様な事を、質問してみる事にした。


「……処で、話は変わるのですが、アレ(駄女神)からの依頼である『人類の衰退』ですが、既に完了したとのお話でしたけど、あの状態で良かったのですか?まだ八割しか(・・・・)殺していませんけど?残りはどうしますか?」


「ええ、アレで大丈夫です。流石に、あれだけやらかした種族とは言え、完全に居なくなられると、それはそれで面倒な事に成りますので、ある程度は生きていてくれた方が、私達的にはその後の管理がやり易くて良いので、貴方の手(・・・・)では全滅はさせないで頂けるとありがたいです。……でもどの道、この後、彼ら生き残りの人族を、そのままにしておくつもりは無いのでしょう?」


そう言いながら、黒い笑みを浮かべて俺に聞いてくる下級神さん。

それに、同じ様な黒い笑みを浮かべて答える俺。


「それはもちろん。むしろ、全滅させてくれ、と言われたらどうしようかと思っていた処です。

彼ら生き残りには、このまま我々に追い立てられ、全盛期の彼らでも、全く歯が立たなかったらしいとヘルプ機能が言っていた『魔境』でもある西部に、全員で逃げ延びて、そこで生活して貰おうかと思っていましたからね」


「首都から見て西側の都市では、わざと人族を殺さずに、ですか?」


「ええ、もちろん。思う存分、たっぷりと酷い目に逢って頂きましょう?これまで散々やらしかしたのですから、精一杯苦しんで頂かないと、ね?」


お互いに黒い笑みを浮かべながら、ガッチリと硬い握手を交わす、俺と下級神さん。

この人とならば、旨い酒が呑めそうだ。

今度差し入れて見ようかしらん?


「……では、今後の人族に対するスタンスが確定した処でお聞きしたいのですが、俺をこちらに呼び出した要件は、これ(対人族のアレコレ)だけでしょうか?これで終わりなら、そろそろ帰りたいのですが?」


仲間達も心配してくれているだろうし、と言外に付け加えてから、下級神さんの答を待つ。

俺が下級神さんと話始めた辺りから、土下寝の体勢を解除していた駄女神が「そこは私に聞くんじゃ無いんですか!?」とか騒ぎ出したが、お前さんじゃあ役に立たんだろうに。


「ああ、そうでしたそうでした!貴方には、そこの最高神様の尻拭いをして貰った報酬として、『神』の位が授けられる事が決まっていたのでした。では、授けますね」


そう軽~く言いながら、指をパチリと鳴らす下級神さん。

突然の出来事に、思わず身体が固まるが、特に何が変化したとも感じられなかったので、視線と共に疑問を下級神さんに投げ掛ける。


「……特に何が変わったとも思えないのですが?それに、その手の事って、最高神らしい駄女神がやることなんじゃ?それに、俺だけ『神』になった処で……」


「特に変わった様には思えないのは、ここが神域だからですね。キチンと『冥界神』になっておられますよ。私がやったのは、既に最高神様はGOサインを出されていたので、僭越ながら私がさせて頂きました。……ついでに、下界の婚約者さん達や、貴方に縁の深い方々も、貴方のギフトのお陰で、連鎖的に『神』の位を得ているハズですので、今心配なされている、寿命による別れに関しても、これで大丈夫になったハズです」


そう説明してくれた下級神さんは、とても素敵な笑顔を浮かべていた。





******





その後、 神になった以上はどうしても発生してしまう様な事柄や、あの世界でやってしまうと不味い事等の説明を受け、どさくさに紛れてプロポーズ紛いの事を口走って来た駄女神を蹴り飛ばしていたら、俺を呼び出した要件は済んだらしく、戻っても良いとの許可が出た。

なので、帰るために、最初に出てきた部屋(実はここが転移の間だったらしい)へと移動し、いざ送り返される、と言った段階で、下級神さんが問い掛けて来た。


「貴方は、今後どうしますか?」


と。

それに対して俺は、人族を西部に押し込んでから、と前置きをした上で、こう答えた。




「そうしたら、婚約者達やメフィスト達悪友と一緒に、改めて世界を回ってみるつもりです」




そう答えて、俺は、神域を後にし、あの世界へと帰還を果たす事となったのであった。

取り敢えず、次回最終話(予定)

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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