表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/139

第11話


「カチコミじゃあーーーーーーー!!!」


そう叫びながら、砦(仮)の扉を蹴破って乱入する。

ついでとばかりに、近くでまだ状況を把握出来ていなかった哀れな阿呆共を切り捨てつつ、内部の構造を探る。


大雑把に把握した限りでは外側から順に、

内外に通路を備えた防壁

防壁側の倉庫群

侵入口前の広場

そして、中央部に位置する本丸とおぼしき建物。


……本当に、ゴブリンがこれ等全部作ったのか?

てか作れんのか?


解・……そのハズです。


マジかぁ……。



そんな会話(?)を交わしつつ、広場に最初から散らばっていたゴブリンを追加で撫で斬りにしていると、ようやく襲撃に気が付いたらしく、ゾロゾロとそこかしこから沸いてきた。

……知識の中に存在する、かの黒い悪魔の如く沸き出て来やがった。

本当、こんなにどっから出てきたんだ?

ご丁寧な事に、しっかりと防壁の上にも遠距離型の連中を配置してあるみたいだし。

……さて、どうしたモノかねぇ?


とりあえずとばかりに、背後に浮かべていた闇魔法製の剣を細かく動かし、配置が完了しつつある遠距離部隊の連中へと、近いところから遠斬を時間差で仕掛けておく。

奴等程度を仕留めるのに、両断する程大振りは必要ない。首筋でも一撫でしてやればそれで良い。


そうやって仕込みを行っていると、どうやら展開が終わったらしく、群れたゴブリンの中から変に体格の良い個体が前に出てくる。

普通のゴブリンは身長1m程なのに対し、前に出てきた個体は目測で身長1,5m程、更に全身を鎧で覆った上で分厚い刃のバスタードソードまで構えている。


確実に上位個体、しかもゴブリンの中では最上位に近いと思われる。

さしずめ前線指揮官と言ったところかね?

こちらも剣を構え直す。


いざ決戦かと意識を切り替えたのだが、相手は斬りかかって来ずに背を向けると、ゴブリン共に対して何か言い出した。


「グゲッ!ゲゲ!グギゲゲゲ!!」


……うん、さっぱり分からん。

身振り手振りを交えているところを見ると、なにやら演説ぶち上げているらしい。

何言ってるのか全然分からんけど。


「ギッ!ギギゲ、グギャッ!!」


……アカン。

遠斬の仕込みも、当初の予定通りの遠距離型だけではなく、広間にいる連中にも仕掛けてみたのだが、全部終わってしまった。

結構魔力を食ったが、この数相手にチマチマ斬り合っていられない。

まぁ、必要経費だな。

しかし、それらが終わってもまだ演説してやがる。

ぶっちゃけ暇だ。

あの野郎(暫定)の演説に最後まで付き合ってやる義理も無いし、さっさと殺るか?

……よし!殺るか!


と言う訳で、余裕ぶっこいて演説している馬鹿に自然な動きで近付くと、そのまま剣で心臓をぶち抜く。


「ギ?グゲ----」


「うるさい、黙れ、とっとと死ね」






ゴブリンは信じられないモノを見る目で胸から生えた剣を見つめていたが、周りの状況に違和感を覚えて周囲に目をやる。

自分が攻撃されたのに、周りが静か過ぎる。

防壁の上に配置した連中どころか、目の前にいるハズの連中すら助けに駆けつけもせずにだんまりを決め込んでいる。

そんな馬鹿な、と見回すがそこにはあり得ない光景が広がっている。






「そんな馬鹿なってか?」


俺に串刺しにされたまま、周囲に視線を向けて固まったゴブリンに声をかける。

……まぁ、そうもなろうってモノか。

なんせ



他の連中は全員死んでいるのだから。



いやぁ遠斬が上手く決まって良かった良かった!

時間差発動に加えて、任意での発動も可能だとは思わなかったけどね。

やってみれば意外と行けるものだね。


まだ生きているのは、手元で串刺しになっているこいつだけ。

……分かる範囲ではだけど。

まぁ、とりあえずこいつにトドメ刺すとするかね。


「まぁ、そんな訳だ。

とりあえず死んどけや。」


「ギギッ!」


グリッと手首を回転させて心臓を抉り上げる。

さすがにそこまでされては耐えられなかったらしく、ビクンと全身を痙攣させた後、それっきり動かなくなる。

丁度良く死体に剣を刺しているので、ついでに骨食で吸収しておく。

周囲の死体にも、闇魔法剣を突き刺して順次吸収していく。

この魔法剣、どうやら俺の魔力の塊であるからか、『俺の身体の一部』として認識されているらしく、こうして遠斬や骨食の発動体として使用出来ている。

何でかって?

知らん。

まぁ、便利だから良いよね。


そんな感じでとりあえずの事後処理は終えた訳なのだが、感心のゴブリン・ロードが見当たらない。

この期に及んでまだ本丸に籠っているのか、全く姿が見えない。


(まさか逃がしたか?)


と考えていたが


解・主様。


とヘルプ機能から声をかけられたので、思考を中断する。


おう、どうした?


解・主様がお探しのゴブリン・ロードなのですが……。


どうかしたか?


解・……データによりますと、主様の足元に転がっているソレがそうらしいです。


……ゑ?

なんだって?

もう一回頼む。


解・……ですから、主様が先程まで串刺しにしてぶら下げていたソレが、おそらくゴブリン・ロードになります。


マジかぁ……。

あっけ無さすぎねぇ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ