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俺、異世界に行ったら結婚するんだ。  作者: 雨音緋色
いざ冒険へ!!
23/34

奏先生の次回作にご期待ください

 ゴーレムの長がカーテンを開けげっそりとした顔でこちらに戻って来た後ろからは、いつものまおの姿に戻った魔王が証書を手にウキウキ気分でこちらに戻って来た。


「予定通りゲットですよご主人様っ」


「よくやったと言いたいんだがもうそろそろお前男の姿をしてくれ。無性に殴りたいが女だと殴り辛い」


「なっ何故殴られるのですか?!」


 自覚がない様だ。しかし精鋭たる同士には分かるだろう。この蓋を開けたら残念というか、初恋の相手が実はニューハーフでした感というか、何とも言えない憤りを吐き出したいという気持ちが!!


「まぁ男共には良い薬よねこれ。私も身に付けようかしら」


「キュリアはそのままがいいよ!うん!!お願いだから可愛らしいキュリアのままでいてくれ!!」


「か、可愛いとか……なんばいいよっとか!!」


「?!」


 顔を赤くしながらバシバシと背中を叩いてくるキュリアだが、その痛みよりも突然出てきた博多弁の方が俺は気になって仕方がなかった。

 そんな姿にやれやれと溜め息を吐いたノウンはコバルトと共にメイド喫茶を先に出る。それに続く様にげっそりとしたゴーレムの長に声をかけつつメイド喫茶を後にした俺らは、いざ目的の火山への向け今日は英気を養う事に決めた。


「この辺の通りはすべてホテルだ。……まぁ俺には無縁だが。ノウンとキュリアはコバルトを連れて休んでくれ」


「いや、だから私が出すから……」


「いや、よく聞けノウン。この先金が必要になるタイミングなんてどれ位ある?その時のために取っておくんだ」


「そ、それは……けど……」


 ノウンの申し出を断り俺は背を向ける。大丈夫。まおを使えば俺はメイド喫茶に泊まれると踏んでいる。


「だったら私が出すわよ。今の奏は私の雇い主みたいなものだし」


「それこそ良いって。キュリアはキュリアでこの先もあるだろう」


『ならば我が出そう。元々金には困ってない』


「いやいや、コバルトは良いって。金がない……えっ?今なんて?」


『む?元々金には困ってないと言ったが……』


「えっ嘘でしょ?!スライムって金持ってるの?!」


『うむ。他のスライムはともかく我は全スライムの興行収益から税金を貰っておる。個体数並びに種族数断トツトップのスライムだぞ?金が無いわけがなかろう』


 コバルトの言葉に絶句する。そしてその言葉を裏付ける形でコバルトの口の中から黄金で象られた財布が出てくる。その中には異様な数の金貨が現れた。


「うげ……これ一体幾らあるの?!」


『む?1000金貨から先は知らぬ。取り敢えず小銭程度を持ってきたからな』


「あ、ありえねぇ……」


 あまりにもかけ離れた金額に全員が言葉を失う。まさかこんな所に銀行があったとは。

 ちなみに1金貨の価値を現実世界で換算すると大体20万程である。つまりこのパーティはいつの間にか所持金が合計2億2000万持っているパーティとなっており、何もしなくても人生をグッドエンドで迎えれる形となっていた。

 最早2週目並の状態で仲間集めをしている事に違和感を感じながらも俺はコバルトの財力に肖る形でホテルへと向かう事に。


「この際コバルトに奢ってもらおうかな」


「おいキュリア。そう言うのは涎を拭いてから言ってくれ」


 うわぁ。この子目が金になってるよ。居るんだな、本当になる人。

 そんなキュリアの姿を見て呆れつつコバルトの方を見ると、路傍の石の如く蹲ったまおが懇願をしていた。


「お願いしますコバルト様!我の借金返済にどうか御融資を!!」


『閣下。それは自分でしてくれ……』



「そこを何とかぁぁぁぁっ」

 

 うわぁ。最強の種族魔王が最弱の種族スライムに土下座してるよ……。何この違和感。いや、まおだからこれが普通か。


 経済の力で下剋上を果たしたスライムを見たところで本題に入る。どうやらアホなやり取りをしている間にもノウンがコスパの良い物件をピックアップしてくれた様だ。流石ノウンできる子は違う。


「成る程。安過ぎず高過ぎずの良い感じの所だな」


「まぁね。散財して何も無くなるのはごめんだし。主様は何処が良いと思う?」


「んー……そうだなぁ……」


 俺は幾つか用意されたパンフレットに目を通す。どれも似た様な内容だし金を出すコバルトに決めさせようかなと思った矢先。俺はある言葉に目を惹かれた。


「ここにしないか?」


「ん……良いけど……皆は?」


「別にどこでも良いわよ」


『我は構わぬ。物件ごと購入しても良いが』


「流石コバルト様!太っ腹ですっ」


 全員が否定する事なく了承したのを見て思わずガッツポーズを取る俺。なんか2匹ほど変な感じだがそんな事はどうでも良い。そんな事より俺には確固たる目的がある。


 混浴。さりげなくキュリアやノウンを誘い混浴。そして同じ様に混浴しているパーティ以外の女の子とお風呂に入る。最高じゃないか。これしかない。というかここで新たな恋が芽生え何かが起きるというのもあり得る。いや、無いわけがない。裸の付き合いだぞ?うん。そして始まる異世界ラブストーリー!次回作はこれだ!!『混浴できる異世界で俺は嫁を作ります』乞うご期待!


「あの、ご主人様」


「どうした雑種」


「いえ、純血です……じゃなくて。あの、我も同行できま……いたいっ?!何故?!?!?!」


「なんかムカついた」


 まるで昔流行ったCMの子犬の如く潤んだ瞳でこちらを見つめるまお。こいつの素性を知らなければ落ちかねないその表情に俺は思わず拳を降ろしていた。

 しかしながら今回はコバルトが出資という事もありまおは普通の待遇を受ける。最早聖天使スライムとまで崇めるまおはまるで鎖に繋がれているかの如くコバルトに付き添い歩き始めた。


「あの、聖天使コバルト様」


『その呼び方止めぬか?』


「いえ、我にとって救いの神ですから!」


「神か天使かはっきりしろと言いたいわね」


「というか魔王が神や天使を崇めるってどうなのよ」


「魔王(笑)だから良いんじゃね?」


 雑談を交えつつホテルを目指す俺らは、一際目立つピンク色のホテル街を抜け風情溢れるホテルへと辿り着いた。どうやらここが目的地らしく、コバルトは先に中へと足というか体を進める。が、その瞬間中から悲鳴と共に大量の客が逃げ出してきた。


「奴が出タァァァ!!!」


「逃げろぉぉぉぉっ!早くっ!!ここから出るんだ!!!」


 逃げ惑う客の姿を見て俺らは思わずまおを睨む。だが、当の本人は全く無害とばかりに首を振り、代わりに逃げ惑う客の1人に声をかけた。


「あの、何が出たのです?」


「奴だ!!危険度が高く冒険者の誰もが諦めた元魔王配下のキラーエイプ『ゴリオ』が出たんだよ!!あんたらも早く逃げな!!」


 その言葉に俺らとまおは別の意味で絶句する。白い目で見つめる俺らにまおは青ざめた表情でこちらに向き直り、咳払いをする。


「……という事なので別のホテルにー『責任とってこい!!!』キャァァァァッ?!」


 強制的な多数決によりホテルの中へと投げ飛ばされたまおは、逃げ惑う客の上空を飛んでいき、フロント横の壁に顔面から着地を決めた。

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