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俺、異世界に行ったら結婚するんだ。  作者: 雨音緋色
いざ冒険へ!!
22/34

7変化!!

 ゴーレムの長がカーテンを開けげっそりとした顔でこちらに戻って来た後ろからは、いつものまおの姿に戻った魔王が証書を手にウキウキ気分でこちらに戻って来た。


「予定通りゲットですよご主人様っ」


「よくやったと言いたいんだがもうそろそろお前男の姿をしてくれ。無性に殴りたいが女だと殴り辛い」


「なっ何故殴られるのですか?!」


 自覚がない様だ。しかし精鋭たる同士には分かるだろう。この蓋を開けたら残念というか、初恋の相手が実はニューハーフでした感というか、何とも言えない憤りを吐き出したいという気持ちが!!


「まぁ男共には良い薬よねこれ。私も身に付けようかしら」


「キュリアはそのままがいいよ!うん!!お願いだから可愛らしいキュリアのままでいてくれ!!」


「か、可愛いとか……なんばいいよっとか!!」


「?!」


 顔を赤くしながらバシバシと背中を叩いてくるキュリアだが、その痛みよりも突然出てきた博多弁の方が俺は気になって仕方がなかった。

 そんな姿にやれやれと溜め息を吐いたノウンはコバルトと共にメイド喫茶を先に出る。それに続く様にげっそりとしたゴーレムの長に声をかけつつメイド喫茶を後にした俺らは、いざ目的の火山への向け今日は英気を養う事に決めた。


「この辺の通りはすべてホテルだ。だがそんな金はない。どうする?」


 街中を移動し宿泊施設の並ぶ地区に足を踏み入れた俺らは、ちらりとノウンやキュリアを見つつ宿について話し始める。


「……はぁ。主様とコバルトの分は出すわよ。その方が安全でしょう?」


「流石ノウン様!!」


『いや、我は自分の分位は出せるが……』


「いいわよ別に。キングスライムだと料金高つくでしょう?」


『だ、だが……我は多分この中で誰よりも金があるぞ?』


「えっ?!」


 突然のコバルトの言葉に空気が固まる。だが、その言葉を裏付けるかの如く形で口の中から財布を取り出したコバルトが中身を開けると、財布一杯に詰まった金貨が眩く輝いていた。


『スライムの王だからな……税収と他国との貿易資金で1000金貨を遊びに使えるほどは余裕があるぞ』


「まじかよ……キングスライムってスゲェ……」


『ま、そういう事で我がお主らの旅費を出そう。特等高い部屋は用意できんがな』


 ぽよんと跳ね出したコバルトに言葉を失った俺らはただただついていくしかなかった。そして高い部屋は用意出来ないと言いつつコバルトが選んだホテルはこの街の中でも最高級の、その中でも国賓級のモンスター達が泊まるようなVIP専用スイートを選んでいた。改めて思うがこいつ1番権力強いんじゃね?


「お泊まりは何名様ですか?」


『我と主、そしてこの2人の淑女だ』


「あ、あの我は……」


『それとペットの魔王が1匹。大丈夫か?』


「ええ、ペット化となっておりますので大丈夫ですよ」


「ちょ……コバルトさんまで染まってきたのですか……」


 パーティ唯一の良心コバルトにすらペット扱いを受けたまおは地団駄を踏みつつもコバルトに着いて歩き回る。それを追うように俺ら3人は案内されるがまま進んでいくと、ホテルの最上階まるまる1つ使った部屋へと辿り着いた。


「うぉ……なんじゃこりゃ……」


『ふむ。まぁこの程度ならば安らげよう。好きに使うと良い』


「やばいわね……もうコバルトに足を向けて寝れないわ……」


 室内を自由に跳ね回るコバルトに唖然とする俺らは三度種族の王の凄さを思い知った。と言うかスライムでこれなら他の種族はもっとやばいのだろう。


「す、凄い……ご主人様みてください!!」


「んぁ?どうした?」


「ペット用のスペースが……こんなに立派です!!」


「……お、おう」


 部屋の角に作られたペットスペースではしゃぐまおは、恐らくかなり硬い素材で作られているであろう格子の中にある天然芝に寝そべり、ニコニコとしながら転がりまわっていた。

 最早自他共に認めるペットとなったまおに呆れつつ俺はふとある事に気付く。


「ベッドが1つ足りんぞ……?あれはコバルト用。そしてあの異様にでかいのはノウン用…で、俺用?にしては横幅が広いな……?」


「私用にしても広いわね。どういう事……?」


『ああ、それなら多分我が主とキュリア嬢が恋人と思われていてな。すまぬ』


 コバルトの言葉に固まる俺ら。もしかしなくてもこれはダブルベッドらしい。その事実を理解した俺とキュリアは顔を見合わせ、同タイミングで顔を赤くしそっぽを向く。


「おやおや?キュリアが嫌なら私が主様と寝るけど?」


「い、嫌と言う訳じゃないけど……」


『我が主。我のミスではあるが嫌ならばすぐに変えさせよう』


「い、嫌じゃねーけど……なぁ?」


「なんで私に振るのよ!」


 ニヤニヤと微笑む2人に対し言い淀んだ俺は、同じく言い淀んだキュリアに返答を求めるが耳まで赤くした彼女の叫びが返ってくるだけだった。だが、どこか変な方向にプライドの高いキュリアはコバルトやノウンの提案を断り、半ば自棄になりながら俺と寝る事を決意する。


「変な所触ったら殺すからね?」


「変な寝相してたら投げ飛ばすからな?」


 互いに若干距離を置きながら睨み合った俺らは、その周りで微笑むノウン達にも八つ当たりしつつ時間を潰す。

 その後、夕食と風呂を終えた俺はこちらに背を向け先に就寝していたキュリアに背を向けつつ同じベッドで転がる。何というか嬉し恥ずかしなイベント多いな異世界。これは俺の時代かもしれない。そんな事を考えつつ、夜が更け切る前に目を閉じた俺は翌日の襲撃までゆっくりと疲れを取る事にしたのであった。

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