超エキサイティン!ゴーレムタウン!!
「認証完了。オーガ自治区の娘ノウンと確認。その後ろに居るのはノウンの契約者竹倉奏とその仲間キュリア、そしてスライム自治区の王コバルトと確認。通行を許可します」
「ノウゥゥゥゥンンンンンンン…………えっ?」
「主様、そんなに叫ばれると恥ずかしい……」
顔を赤らめたノウンとその横を何事も無いかの様に通り抜けるコバルトとキュリア。え、あれ?ボス戦は……?
「あのね、主様。言いづらいけど……ガーディアンゴーレムの親玉だけどこれに戦闘能力は無いわよ?……どちらかといえば脳みそなだけ。ここで認証を受ければこの後襲われる事は無いわよ」
「えっ……ええええっ?!」
驚愕の事実に思わず膝をつく俺。嘘だろおい。あれだけ戦闘開始しそうなイメージあったのにただの門番かよ……!
「さ、そんな所で膝ついてると日が暮れるわ。行くわよ奏」
「お、おう……」
完全に気合いが空振りした俺は耳まで赤くしながら命名セキュリティゴーレムことただの門を通り抜ける。ああ恥ずかしい!!
「まぁ大丈夫。私への愛があるのは分かったから」
「そ、そんなのないんだからね!!」
あまりの恥ずかしさにテンプレのツンデレを発揮する俺。ああもう死にたい。これは異世界での黒歴史になる事は間違いない。
結局何事もなく第3の山を超えた俺らはすぐ様第4の山へとたどり着く。とは言え第4の山は昇ることもなくトンネルとなっており、しかもそこにはトロッコが通っていた。
「あの、ゴーレム自治区便利すぎませんか?」
「そうね、彼らは魔法生物という枠組みを超え人口生命体となった者が多いわ。昇るゴーレムの中で自動化を組み込んでないのはマグマゴーレムとフリーズロック位ね。サンドブロックやアクアゲル、ストーンゴーレムや先のガーディアンゴーレム等殆どは自動化と自動修正のプログラムを組んでるわね」
「あの、ゴーレムというかそれターミ○ーターですよね???」
俺の言葉に首を傾げつつトロッコを操作するノウン。ものの数分で第4の山を超えた俺らは、鉄と石でできた巨大な街並みへと到着した。
「さて、ここが世界一の生産力を誇るゴーレム自治区よ。石と鉄の自治区。熱しやすく冷たい自治区とはここの事ね」
「もう俺らの異世界の常識とは違いすぎる」
何というか、オーガ自治区といいゴーレム自治区といい人間の街よりも豪華なんですけど。普通逆でしょ?!
だが、久々に匂う機械独特の匂いにどこか安心した俺は自然と街中へと足を運び周囲を見渡す。
「すげー。電光掲示板とかネオン灯とかまである……うわっ電話まであるし!!」
「ええ、無論この街しか繋がらないけど。いい連絡手段よねこれ」
「これは楽だぞ。あっえっ……ゲーセンまであるし!!なにこれ?!」
少し昔の現実と然程大差がない街並みに思わず興奮する俺。そんな俺を微笑ましい表情で見つめるノウンやキュリア達は右往左往する俺について回りゴーレムの街を観光し始めた。
「すげぇ……なぁ、ここに住まないか?」
「いやいや、それは無理よ。法外な値段かかるわよ。1日金貨一枚とか普通に飛ぶわ」
「金貨一枚?!」
その値段に俺は思わず腰を抜かす。体感だが金貨一枚は現実では10万位の価格である。
そんな法外な値段を言い渡された俺はこの地に住まう野望を即座に捨て、気になる箇所を見回り始める。最初に目を引いたのはやはり萌えキャラの描かれた看板だった。
「なにこれ?!ここはヲタの聖地だったのか?!」
「??よく分からないけどここはコアな存在が通うお店ね。ゴーレムの街に時折メイド服を着た女型ゴーレムが居るでしょ?その子達の店よ」
「異世界のメイド喫茶キタァァァ!!!」
予想外の店舗に俺は思わずガッツポーズをして叫ぶ。この街の名前はもうアキバに変えよう。
「まぁここに入ると銀貨10枚は最低積まないといけないけどね。今の私達では無理よ」
「なにぃ……VIP専用かよ……!!」
悲しい現実を突きつけられた俺は仕方なくメイド喫茶を諦める。けど考えたら相手はゴーレムだ。萌える要素なんて……
「なにあのロボ子?!可愛いんだけど?!」
「あー、クレイアンドロイドですね〜!ドラゴニュートに次いで人間らしい種族よ」
何だよそれ!!くっそ、一気にゴーレム仲間にしたくなったんだけど!!
結局俺らは周りを見渡しながら街の長が住む家を目指し足を進める。目的は1つ。マンドラゴラの住む山への許可証を手に入れる為だ。
しかし、何分街が大き過ぎて絶賛迷子である。パーティ1の天才ノウンをもってしてもこの街は覚えきれないらしい。
「おかしい。前に私が来た時とまた風景が違う」
「あー、親戚の家に久々に行くとあるよねこういう現象」
「道は分かるはずなんだけど風景が変わって分からなくなるやつ?あるある」
迷子とは思えない程能天気に話す俺ら。そんな一行が気の向くまま歩き回っていると人だかりと言うべきかゴーレムだかりが出来ている広場へと到着した。
どうやら見世物を行うらしい。興味がわいた俺はノウン達を連れゴーレムだかりの中を進み前へと出る。
「さてさて、ここに現れるは世にも不思議な存在。魔導を極め悪魔として最高位の立場にあられるお方です!」
「ほぇ〜。やっぱり悪魔って希少なんだな」
「そりゃそうよ。魔王が殆どを冒険者に売り渡してしまったもの。その最高位ともなれば見つけるのも大変よ」
キュリアの説明に納得する俺。そういえばそんな話を昨日していたっけ。
小太りな体型をしたクレイアンドロイドのオスは鼻の下にある三日月型の髭を触りながらレースのカーテンに手をかける。そしてそれを一気に引き抜いた瞬間ー
「我こそは時の魔王である!!!」
『……』
「あ、あれ?ご主人様?!ちょっ何でそんな残念な表情しているんですか?!」
「皆、行こうか」
「ええ、そうね」
「あっあれ?!待って下さい、あの……ちょっ、ちょぉぉぉぉっ!!」
見慣れた悪魔に絶句した俺らは、その場を離れ長の家を再び探し始めた。




