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俺、異世界に行ったら結婚するんだ。  作者: 雨音緋色
いざ冒険へ!!
12/34

金欠以外のスリルが欲しい

「何か違う」


 色々落ち着かせた俺は冷静になってこの異世界について考える。何かが違う。

 そう、手に汗握る様なスリルがない。ここまでなんだかんだすんなり来ている。いや、来すぎている。それもこれもレベル上げ用のペットが居るからだとは思うが。


「てな訳でノウンも入った事だし、スリルのある冒険をしたい」


「どんな訳よ……」


 唐突な発言に流石のノウンも頭を抱える。一夜明けてこの主は馬鹿になったのか。それとも馬鹿を隠していたのか。


「聞いてくれ。冒険というのは命懸けで行い死の瀬戸際を共感する事によって更に仲間との一体感が生まれるんだよ」


「ええ、それで?」


 俺の言葉にピンと来ないのか、首を傾げながら返事をするノウン。しかし、その一方でこんな時だけ無駄に勘のいい奴が必要以上な反応を見せる。


「これは……正に我とご主人様の絆を深めるチャンス……!」


「!!」


「まぁわかりやすく言えばな。だからこそスリルのある旅に出たい!」


 そしてあわよくば可愛い『人間』の女の子をパーティに迎えその子といちゃいちゃしたい!昨日のノウンの件から悶々としている俺は実に欲に対し忠実だった。


「だけどこのメンツじゃいざって時に回復出来るモンスターが居ないよ?主様は勿論スライムキングの元はヒールゼリーではないでしょ?そして閣下は自己再生するから回復ないよ?」


「確かにな。回復役が居なければこの旅路は辛い事になる。そこでだ。先ずは回復役を捕まえて俺ら4人のパーティを結成するぞ」


 4人と聞き真っ先にコバルトに対し同情の目を向けたまお。こいつまさか……


「コバルトさんはご主人様のソファ役に決まりましたよ、おめでとうございます!!!」


「何言ってんだお前。俺、コバルト、ノウン、回復役で4人だ。まおは全員のマッサージ役な」


 そのまさかだった。そして俺の言葉により堪らず硬直したまおはコバルトから哀れな眼差しを送られる。ちょくちょくこいつスライムらしからぬ表情するよな。


 気を取り直し立ち上がった俺らは早速目的の場所を考え始める。


「回復役か。コバルトの親戚とかにヒールゼリーは居ないのか?」


『いない事はないがヒールゼリーは全く戦力にならんぞ』


「そうね。それならばプリーストを入れた方が得ね」


「いやいや、それだけは本当に勘弁して下さい!!」


 其々回復役に最適なモンスター達を並べ始める。最高の魔力と最高の膂力を持つエンシェントドラゴンや、回復役としては最高ランクのアークエルフ等が挙げられたが、何れもレベルが足りずに却下。そこで、俺は自己診断の玉を取り出し現在契約可能なモンスターを調べる事にした。


「レベル30か。やっぱまおを殴るといい事ずくめだな」


「あの、凄く喜びにくいのですが?!」


「ふむ。ゴーレム種、オーガ種、スライム種、ウルフ種、下級精霊種、トレント種、マンドラゴラ種か……この中で回復が可能で戦闘力がある種族は?」


「それなら下級精霊種のヒールオブウィスプ、トレント種のマナウッド、そしてマンドラゴラ種のリザマギアね」


 ノウンの言葉を聞き考え始める。まず最初に下級精霊。ウィスプ系は常に光を放つイメージがある。夜寝辛い上にコミュニケーションが取れる気がしない。そしてトレント。大木に生物としての知恵が宿った巨大魔法生物。だがこれ以上大きな奴が増えると邪魔くさい。ただでさえ2m超えのノウン、そして3m超えのコバルトが居るのに、10mは超えようトレントまで仲間にするとマジで寝場所がない。という事で多少煩くてもコミュニケーションが取れて場所も取らないマンドラゴラに決める。というかその方が水だけで済むし。生活費が浮く。


「よし、リザマギアを捕まえに行くぞ。この近くにマンドラゴラ自治区はあるか?」


「いや、マンドラゴラは自治区を作る程の勢力はないわ。存在が希少でかつ破格の力を持っているわけではない生物達は数多くいる種族の自治区で持ちつ持たれつの関係を交わしているの。そうね、この辺なら……うん。隣にあるゴーレム自治区にあるマグマゴーレムが住む火山。『アッスーラ火山』に住んでるわ」


「火山?!大丈夫なのかよ?!」


「ええ、火山灰には多くの栄養素が含まれているからむしろ植物族は好んで火山付近に住んでいるわ。ちなみにリザマギア以外にも声を聞けば呪われるカースドレイク、全身を痺れさせるパラライズエコー、聞けば下種ドラゴン辺りでさえ死んでしまう程の絶叫をあげるデスボイスなど居るから要注意ね」


 何だか先行きが不安になる言葉を紡いだノウンに、思わず不安な表情を浮かべるも、今にも止めるかと聞いてきそうな表情を見た俺は引き下がる訳には行かなくなった。


「その程度で諦めていたら俺は何の為に来たのかわかんねぇよ!!」


「そ、そう。それならば行きましょうか。リザマギアが住む山へ」


 熱くなった俺を見て若干引き気味のノウンを気にもとめず、宿を後にした俺らはオーガの一族がチラ見する中意気揚々と街を出る。目指すはゴーレム自治区。アッスーラ火山だ!


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