3 FIVE YEAR'S LATER*1.5
私はシルフィエ・ハーフォルトン。
いつ私に不慮の事態が起こり闘う事が不可能となっても、この意思を継ぐ人の現れることを祈って、日記を以てこの闘いを記録し、後世へ伝える。
この世界は、私の生きる星暦11*2年、堂谷ヒトシという男が支配しているという。
堂谷は一人の友人を殺し、それをきっかけとして数多の犯罪に加担し、時には自ら犯罪行為に及び、その履歴を隠蔽した。
己の邪魔になる者を殺し、それを隠して善人を演じて、とうとう奴は政界を牛耳った。
彼は建前としての善政を行い、裏では人身売買、薬物、ねつ造、贈収賄にトトカルチョ・・・。
その罪は多く、とても数えられたモノではない。
善良な精神で人を選ぶ?
犯罪に犯罪を重ねて人生を築いた奴が笑わせてくれるな。
彼の言う善良な精神が何なのか、私に解ったモノではない。
奴の築いた街に行った時、私は民衆が、彼の政治を心から祝福してなどいないことに気が付いた。
心の良い者を選ぶのは、確かに犯罪発生率の低下など、良い影響を生むだろう。
だが、賢い者達の能力を省みず、その素晴らしき才能をまるっと棄てるというのはいかがなものか。
無論能力だけで人を選ぶというのも危険である。
他に勝る能力と、それを正しく扱える精神。
その二つともが揃って、初めて人は人を制する。
その権限を持つことを赦されるべきだ。
なればこそ。
善き未来を創る為に、今の世界を壊す。
私と同じ志を持つ者達と、かつてそうであった者達で在るべき世界を取り戻す為に。
私はシルフィエ・ハーフォルトン。
ここに記したのは私たちの闘い。
同志を、歓迎する。