3 FIVE YEAR'S LATER*1
朝。―三年前―
霧の立ち込める草原に、複数の人の影が。
「なぁシルフィエ?」
「・・・?」
「アレ。見えるか?・・・ほら、あのタワー」
「・・・うん」
「あそこにいけば、シルの願いも叶うんだ」
・ ・ ・
昼―2年前―
戦渦の街の中、その2人は惜別する。
「リクア‼」
「逃げろ、シルフィエ‼」
「リクアアアア!!」
・ ・ ・
私は好きだった人を失い、生きる意味をも失ってしまった。
哀しみは何を以てしても癒えることはなかった。
リクア、リクア、リクア。
その名前を呼ぶ時だけが、少しだけ心が軽くなった。
何故、この世界はこんな風になってしまったのだろう?
人と生き、人に恋し、人を愛すことの、そのどこが罪なのだろうか?
この世界では、人はウソツキで在り続けなければならない。
己の気持ちに嘘をつき、人と共に在ることは罪であるさと嘘をつき、人としての自由に嘘をつかなければ、この世界では重罪であり、即処刑される。間違っているのは私たち民ではない。
この世界が間違っている。
同じ種である人同士で愛し合うことの何が罪なのだ?
そこにあるのは罪ではない。どんな力を以てしても決して阻まれることのない心である。
もしカミサマがいるのなら、惨めな私に、私たちに安寧と自由を下さい。
彼の為にも、この腐敗していく世界で私は闘う。