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Uninhabited island life  作者: 櫻井 潤
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試練その2

俺は何度もいうが健全?な男子高校生だ。もちろん女子の下着やその中身に興味が無い訳ではない。が決して下着そのものに興奮するわけではないのだ。

「最近少しキツくなってきちゃったからさ。新しいの欲しいんだ♪あ、流石にここは私が自分で買うからね」

何か言っているが俺にはよく聞こえない。我に返ったときは既に四方を下着に囲まれていた。

「あ、これ可愛い。どぉかな?」

どおかな?だと・・・?さてそれを着けている姿を俺に想像しろと?いくら俺の想像力が豊かでもそこまでの想像力は働かん。てかおまそれCじゃね?俺のスカウターではお前の戦闘力はBのはずだが?

よくわからんギミックが胸元についておりそれにより寄せて上げての谷間作成が可能になるらしい。

「あ、ああ。似合うんじゃないかな?」一刻も早くこの場を立ち去りたい俺は取り敢えず無難な返事をし、購入をすすめてみる。てかホント目のやり場に困るんですがマジで勘弁してください。

「あ、アンタちょっとHな事考えてたでしょ?」と二つ目の商品を手に取りのたまうリョウ。

「いや、似合うかどうかちと想像してみたがいいんじゃないかなと思っただけだから」

「ほ~ アタシに似合うか想像出来ちゃったんだ?いつの間に見られちゃってたんだろうねぇ?」

「いやいやいやいや無いから、無いからそういうのマジで。早いとこ買って来てくれよ」

実際そろそろ酸欠気味になってきた。顔が紅潮してるのが自分でも解る位だ。

「ん、じゃこの二つにするわ。会計してくるからちょっと待っててね」

何はともあれこの場を脱出させてくれるらしい。これ幸いとショップの出口へと向かう俺。

ショップを出てすぐのベンチに腰を下ろし、深呼吸をする。うん。酸素が旨い。

世の中の彼氏ってやつはとんでもない試練を味わってるんだなぁと思う。はなから下着屋行くと解ってたらきっと俺はゲーセン辺りに逃げ込んで居ただろうし、今後は必ず事前に確認し、二度と踏み込むまいと誓う。あんな罰ゲームはこりごりだ。

しかしえてしてこういう日は色々とトラブルが重なるものだ。一難去ってまた一難。それはやってきた。

「お、詩音じゃん!今日は釣りじゃなかったのか~?」

うげ!一番会いたくないヤツらに会ってしまった。貴士と裕也だ。

不味い、これは不味過ぎる。普段は気の合う連中だが今は状況がやばすぎる。なんとかこの場を取り繕わなければ明日からのスクールライフは真っ黒になってしまう。

「あ、ちょっと買いたいモノがあってさ。てかお前らは?」

「裕也が靴欲しいっていうからさ、俺も服欲しかったし仕方なくヤロー二人で寂しいお買い物だよ。ってお前も買い物終わってるんだろ?飯行かね?この際一人増えた処で変わんねぇしさ?」

あ、これ詰んだ。完全に詰んだな。俺はこの先の高校生活を裏切者のレッテルを貼られて生きていくしかないんだなぁと自分の運命を呪った。

「ちょっと詩音!アンタどこ行ったのかと思っちゃったじゃんか!お店の外で待っててくれればいいのに」と空気を読めないお方が登場。アンタお店の前って下着屋よ?無理に決まってんでしょうが。

当然その声の主に反応する二人「あ、佐伯さん?ってえ?宮部と買い物中?」

「そうだよ~。鍋買って貰っちゃった♪木島君と渡辺君も買い物?」ああ、終わりました俺。

二人の視線が痛い痛い。特に貴士の視線が痛い。誤解なんだ、ただ俺は買い物に付き合わされてただけなんだ。お願いだからそんな目で俺を見ないでくれ!

楽しそうに話すリョウを横目に軽く意識を飛ばしかかっている俺。

「じゃ又明日学校でね♪ほら詩音行くよ?ランチタイムになるとあの店混むんだから」

ああ、と生返事をし、その場を後にする。

「今日はみんなも買い物結構来てるんだねぇ」と一人のんきなリョウ。

お前、状況解ってんのか?いくらニブい俺でもこの状況の不味さは理解してるぞ?と思い聞いてみる。

「てかお前俺と一緒に買い物してるの見られても平気だったのか?絶対あいつら勘違いしてるぞ?特に貴士なんかはこないだお前に告ったばかりじゃねぇか?いいのか?」

「ん?いいも悪いも買い物付き合えって言ったのはアタシだしね?それともアタシとじゃ不満?」なんか斜め上の回答が返ってきましたが・・・

いや不満とかじゃなくて誤解されると困るのアナタじゃないの?違うのと聞きたいとこだったが目的のお店に着いてしまい、ひとまず話はランチの後にしようと思った。

「やっぱ混んでるなぁ?取り敢えず並ぼう?いつものコースでいいんでしょ?」

時刻は11時半を少し過ぎた処、ランチバイキングを実施しているこの店はいつも盛況だ。

「ん、ああ。いつも通りドリンクバーとランチバイキングのセットでいいや」

正直、腹が減ってるのか減ってないのかもわからない程テンパっていた為、ランチを美味しく頂く自信は無いのだがまぁ食べ始めれば嫌な事は忘れるだろうと前向きに考えてみる。

「あ、ラッキー♪今日はカニのクリームパスタもあるんだ」と本日のおススメを見てはしゃぐリョウ

今日は終始ご機嫌さんだなぁコイツは。反面俺は暗黒面にどっぷり浸かりつつあるんだけどなぁと順番待ちの席に座り、おススメ一覧を俺も眺めてみる。

お、今日のピザはマルゲリータか。取り敢えずピザは確定だな、パスタは・・・俺もカニクリームでいいかとメニューの選択をしていると店員が空席の案内にやってきた。

窓際のBOX席に案内され、オーダーを済ませた処でランチ後の予定を確認する。

「なぁ、飯食ったらどうするんだ?買い物は取り敢えず済んだんだろ?映画見たいのでもあるのか?」と尋ねてみると珍しく優しさ全開の回答が返ってきた。

「ん、アタシの買い物は終わったし詩音の行きたいトコでいいよ?映画も今見たいの無いしね」

お、やっと来ました俺のターン。ここぞとばかりに行きたかったアウトドアスポーツ店の名前を告げるとあっさりOKが出てちょっと拍子抜けした。

「隣のトコでしょ?いいよたまには付き合ってあげる」とやっぱり上から目線なのはちょっといただけないが・・・まぁ目的のモノを手に入れるためにはこの際細かいことは気にしてられない。

「サンキュー、んじゃさっさと食べちゃおうぜ」と急に食欲が沸いてきた俺。出されたピザを二切れ一気に頬張り、まずは空腹を満たすことに専念する。

「ん、やっぱ旨いなここのピザは」と俺

「ピザは流石に作れないけど簡単なパスタ位ならアタシでも作れるから今度作ってあげるよ?せっかくお鍋買ってもらったしね」とリョウ

なんか今日のコイツはやけにアグレッシブだな?何か悪いもんでも食べたのか?と勘ぐってみるが下手の考え休むに似たり。事に男女の機敏なんざ全く疎い俺には意味ないなと食べる事のみに意識を集中させることにする。

ほどなくしてピザ二枚とパスタにサラダを無事完食し、デザートを取って戻ってくるとスマホとにらめっこしてるリョウ。どうしたんだと声をかけるとどうやら他のクラスメイトにも二人で歩く姿が目撃されてたらしい。ご丁寧に2ショットの隠し撮りまで送られて来たみたいだ。

「全くもう、居たなら声かけてくれればいいのにねぇ」と

いやいやいやいやアンタ事の重大さを理解してないよ?危機感ないの?ねぇ明日から大変よホントに?

俺の心配は他所に意外と上手く撮れてんじゃないとご満悦なリョウ。ああ、手繋いでる写真なのね。

「お前、斉藤さんも言ってたが嫁って言われてたけどいいのか?」と疑問に思っていたことをぶつけてみるとあっさりと返された。

「ん?嫁?アンタの嫁か。まぁいいんじゃない?おじさんもおばさんも優しいし。ま、候補には入れといてあげる」と宣言されました。これどういう意味なんでしょう?

その後はお互いデザートをつつきながら他愛もない授業の話などをし、制限時間一杯までランチタイムを満喫したのであった。






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