その4
彼の言葉に凄く動揺してしまった。怖かった。
彼との関係を何かの形にしてしまったら、壊れてしまうんじゃないかって……。
彼の真っ直ぐな気持ちを受け止める自信が無い、強がっているあたしが好きなだと言われて、少しだけほっとしたけど、あたしの幻想を好きなんじゃないかと、どうしても思ってしまう、彼はあたしの事をちゃんと見ているのかな……。
だってさ初恋があたしってありえない!!
あたしの不安を感じたように彼が言う。
「絶対嫌いになりませんから」
好きだと言われるより、何だか嬉しかった。
「はぁ〜」
「どうかしました?」
「きみの鈍さに呆れたの」
「そうですか……」
ただたんに私が怖がってるだけで、周りから見たら付き合ってるように見えてると思う。
そして、君の前だと、力抜けてますよ。動揺したり、不安になったりしてるのは、あたしの方だよ。
何でこんなに弱気になってるんだろ、あたしらしくないな、そう思うとつい自分に対して苦笑してしまう。
彼があたしの表情の変化に気付いたのか話しかけてきた。
「どうかしました?」
「どうもしてない」
「ならいいですけど」
「あのさ、前から気になってたんだけど、仕事以外は敬語じゃなくても良いよ」
「癖です。何か抜けなくて……」
「まあ、無理にとは言わないよ」
「直す方向でいきます」
いや……直す方向にいってないよそれ!! 口に出したら、いつまでもこの話題になってしまいそうだし、心の中でツッコム。
あたしが黙った事で、急に2人の空間が静かになった。でも、沈黙が苦にならない。
どちらからとはいわず、そっと手を繋ぐで、あたしたちは、暫く何も喋らず過ごした。
ただただ、ず〜とこうしていたいと思った。